一枚の特選フォト「海 & 船」


One Selected Photo "Oceans & Ships"

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世界の「新発見地」を二分界したポルトガル・
スペインの1494年「トルデシーリャス条約」



画像はスペイン南西部の大都市セビーリャにある 「インディアス古文書館 (Archivo de Indias)」 において展示される資料の 「トルデシーリャス条約」(複製)である。キャプションには 「Tratado de Tordesillas/Treaty of Tordesillas Documentos escogidos, 1 Doc.1./Reproducción」(トルデシーリャス条約 選別文書(文書1の1)複製) と記されている。

サンタ・マリア号 (旗艦)、ピンタ号、ニーニャ号の3隻をもって、東方の世界インディアスを目指してパロス港から航海(第1回目)に 出立したコロンブスは、大西洋を西航し、1492年10月12日西インド諸島のバハマ諸島のうちの「サン・サルバドール島」を視認し、上陸した。

(1) コロンブスらによるこの「新大陸」との地理的遭遇を受けて、翌1493年には、ローマ教皇アレクサンデル(Alejandro)6世は、 両国間の属領地争いを調停するために、カーボ・ヴェルデ諸島西端の西方100レグア(legua)の地点を通過する子午線(教皇子午線;  西経31度8分付近)を分界線(Línea de la Demarcación)とし、その東側をポルトガルの、西側をスペインの独占的航海・貿易・布教域と設定した。この分界線は 現在のブラジル本土東端の沖合を南北に通るものであった。
* Línea arbitrada por Alejandro VI , 4 de mayo de 1493. 1493年5月4日のアレクサンデル6世の調停による線。
[参考]ポルトガル人バスコ・ダ・ガマは、1497年に喜望峰を周回し、翌年1498年にインドのカリカットに到達し、インドへの航路を拓く。

(2) その子午線の設定からわずか1年後の1494年、ポルトガルはその分界線よりも西方にある「新発見地」の属領化に関する 権利を得るべく、分界線の変更につきスペインと直接交渉を重ね、 「トルデシリャス条約(Tordecillas Treaty)」を締結した。同条約は、1493年の当初の分界線を 西方へ270レグア(1500kmほど; 西経46度30分付近)移動させ、カーポ・ヴェルデ諸島西端の西方370リーグの地点を通過する子午線を 分界線とし、両国が発見する陸地のうち、この線の東側にあるものは すべてポルトガルに帰属し、西側にあるものはすべてスペインの領有とすることを約するものであった。 結果的には、その後、新大陸ではブラジルがポルトガルの属領地となり、両国間での分界化に関する棲み分けが図られることになる。
* Líinea del Tratado de Tordesillas, 7 de junio de 1494. 1494年6月7日のトルデシーリャス条約。

その後、スペインは主に新大陸の征服・植民地化をめざし、他方ポルトガルはアフリカ西岸や東岸で多くの堅牢な植民拠点を築きながら、アジアへの進出を 図ろうとした。当時の2大強国の世界海洋進出の必然的結果として、その後、現在のインドネシアのモルッカ諸島をめぐり両雄間の紛争が 起こった。

(3) かくして、両国間で東半球における分界線を画定すべく、1529年4月22日に「サラゴサ条約」が結ばれた。大西洋上での分界線に対し地球上の 反対に位置する分界線が、東経144度30分付近に引かれ、世界の勢力圏の二大分界化がさらに強化されることになった。 モルッカ諸島については、スペインが35万ドゥカートの賠償金と引き換えにその領有権を放棄し、ポルトガルがそれを領有した。 翻って、スペインはフィリピン諸島を領有することになった。

辞典内関連サイト: 一枚の特選フォト「1494年のトルデシリャス条約によるポルトガル・スペインの世界 二分界化」

[撮影: 2018年9月29日 スペイン・セビーリャのインディアス古文書館][拡大画像: x28316.jpg] [拡大画像: x28320.jpg: 条約の説明書き・スペイン語][拡大画像: x28321.jpg: 条約の説明書き・英語]




[参考: スペイン語]
/legua: f.レグア[長さの単位; スペインでは5,572m] [英語]league.
/legua marítima, legua marina: [海]海里、海上レグア(=5,555m, equivalente a tres millas) [1海里(una legua marítima)=1,852m].
[参考]現在では通常"milla marina" (「海里」、「ノット」) が用いられ、1海里は1,852メートルの距離に相当する。


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