海洋総合辞典 Comprehensive Ocean Dictionary, 特選フォト・ギャラリーPhoto Gallery, 深海潜水艇 「しんかい6500」 と支援母船 「よこすか」 deepsea submersible "Shinkai6500", mother ship Yokosuka, Japan

一枚の特選フォト「海 & 船」


One Selected Photo "Oceans & Ships"

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深海潜水艇 「しんかい6500」 と支援母船 「よこすか」

作: マドロス2世/日本



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[1: 拡大画像(x5343.jpg)][2: 拡大画像(x5345.jpg)][3: 拡大画像(x5327.jpg)]


日本が世界に誇る、海洋科学技術センター(JAMSTEC)の深海調査用の有人潜水艇 「しんかい6500」。
「よこすか開国祭」にあわせて、その支援母船「よこすか」とともに、横須賀新港埠頭で一般公開された。
多くの人々が視察した。未来の深海探検家(アクアノート)を夢見た子供達もいたことであろう。

水深数千メートルの深海まで潜れる有人の潜水艇は世界でもそう多くはない。
米国ウッズホール海洋研究所の「アルビン」号、米国海軍の「シークリフ」号、
フランス国立海洋研究所の「シアナ」号、「ノティール」号、
ロシア科学アカデミー「ミール」号など、数えるほどである。

世界の海洋の平均水深は約3,800mであるので、「しんかい6500」は世界の深海のほとんどをカバーできる。
たが、マリアナ海溝などの10,000mを超える超深海底までの潜航は難しい。
支援母船からのテザーケーブルに繋がれたランチャーから無人探査機 「かいこう」 を潜航させれば可能である (画像4参照)。
(不幸にも2003年ケーブル切断問題でその探査機を失うという事故が起きた。
海洋科学技術センターでは現在その再建に取り組んでいる)



「しんかい6500」の要目
全長: 9.5m
最大幅: 2.7m
高さ: 3.2m
空中重量: 26ton
最大潜航深度: 6,500m
耐圧殻内径: 2.0m(その板厚 73.5mm)
乗員: 3名


水深10mごとに1気圧下がる。水深6,500mでは650気圧に耐えねばならない。
耐圧殻はそんな水圧にも耐えられるよう、厚さ7.5cmのチタン合金でできている直径わずか2mの球体である。
その殻内のコックピットに3人 (パイロットと研究者、合計3名) が乗り込める。
耐圧殻上部には直径50cmのハッチがあり、ここから出入りする。
耐圧殻そのものは画像に写っていないが、ちょうど 「しんかい6500」 と銘々されたあたりに格納されている。

耐圧殻内は深海を潜航中であっても陸上と同じ大気圧に保たれる。
乗組員が吐き出す二酸化炭素は吸収され、その分酸素が補給される仕組みである。
操縦や観測のために3つの覗き窓がある。
窓の材質はメタクリル製で、その厚さは14cmもある (一般公開ではそのサンプルが展示された)。



音響航法システム/艇図
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[4: 拡大画像(z5212.jpg)] [5: 拡大画像(z5213.jpg)][6: 拡大画像(z5214.jpg)]


耐圧殻の外側には、各種の装置が配備されている。
海底の熱水鉱床、深海生物などを撮影するためのビデオカメラ、スチールカメラ。
試料を切り取ったり、採取したりするマニュピレーター(マジックハンド)。
サンプルを入れて、海上へ持ち運んでくるサンプル・バスケット。
前後に動くための主推進器、垂直方向へ動くためのスラスター。
水を取り込んで降下するためのバラストタンク (水を吐き出して浮力を確保して上昇するためでもある)。
その他、浮力材、暗黒世界を照らす投光器などが装備されている。
潜水艇の動力源はバッテリーである。
これで通常1日8時間の潜航がなされる。

一般公開では、耐圧殻の周りの構造が分かるように透明板がはめられている。
(操縦室の様子はパネル写真で展示された)。
音響航法システムが分かるようにパネル展示された。
電波の届かない海中では、潜水艇の位置は音波の送受信をもって割り出される。
音響航法システムの重要な構成要素であるトランスポンダーも目にすることができた。
その他、インド洋にてマニュピレーターによってカッティングされた熱水鉱床のサンプル、
暗黒に棲息するために目が退化した深海えび、実物の浮力材なども展示された。


7 [7: 拡大画像(x5349.jpg)]

2003.08.02



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