一枚の特選フォト⌈海 & 船⌋
ハンド・レッド・ライン (手用測鉛線)
香港島の南西部地先沖合いに「南Y島」(ラマ島, Lamma Island) という、かつて漁業が盛んであった小島がある。
香港島のセントラルにあるフェリー乗り場から20分ほどである。そこに「漁村文化村 Lamma Fisherfolk's Village」
というテーマパークがあって、漁業にまつわる伝統的な民族財(実物・模型の漁船、各種漁具など)が展示されている。 その展示品の一つがこのハンド・レッド(hand lead)である。ハンド・レッドとは、手用(しゅよう) あるいは手動(しゅどう) 測深鉛(そくしんえん)のことである。 手用測鉛(そくえん)、軽測鉛(けいそくえん)ともいう。測鉛線 (lead line) の先端に結び付けられた鉛 (レッド、lead) を船上から水中へ投げ入れ、水底・海底まで垂らす。水底までのライン(測鉛線)の長さをもって水深を測る (海流、潮の流れ、潮の 満ち干などによって補正される)。 科学技術の進歩によって現在では音響測深(補正あり)が当たり前になっているが、それ以前の何世紀もの間、 人類は海での測深にこのようないわば原始的な方法、「縄に鉛を括り付けた手用測鉛」による方法に頼ってきた。 特に、未知の沿岸海域を正確な海図のないまま航海せねばならなかった 帆船時代にあっては、時にハンドレッドラインによる測深を慎重に進めながらの航行が不可欠であった。
ワイヤ・ロープ製の測鉛線の先端に鉛を取り付けて、動力付きの巻き揚げ装置をもって測深するという、いわば
動力機械式測鉛法は、現代でも、海洋調査研究・測量などの目的のために、多々行われることである。
関連サイト: 世界の海洋博物館-中国/マカオ/香港 |