海洋総合辞典 Comprehensive Ocean Dictionary, 特選フォト・ギャラリーPhoto Gallery, クルット・へーン・ヘット御座船Krut Hern Het Barge, タイ王室御座船国立博物館 National Museum of the Royal Barges, タイ、バンコクBangkok, Thailand

一枚の特選フォト⌈海 & 船⌋


One Selected Photo "Oceans & Ships"

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クルット・へーン・ヘット御座船・船首像
Krut Hern Het Barge figurehead

クルット・へーン・ヘット御座船
ガルーダ・ヘーン・へット・バージ Garuda Heren Het Barge ともいわれる。
Phra Buddhayodfa Chulalok (Rama I) のラーマ1世王朝時代に建造されたガルーダ・タイプの御座船である。文化省美術局は、 第二次世界大戦での爆撃による損壊を修理して、前の船首を使って1968年に当船を再建した。船首は蛇(へび)のナー(naga)を捕まえる ガルーダをかたどる。
船体の内側はレッド・カラー、外側はブラック・カラーにゴールドの花模様が施されている。
船体の全長は28.58m、最大幅は2.10m、船体(ハル)の深さは60cmである。乗組員は漕手が34名、舵手が2名である。

ビシュヌ(Vishnu), ブラーマ(Brahma), ナーラーイ(Narai)もヒンドゥー教の神である。ガルーダはヒンドゥー教ではそのビシュヌ 神が乗る神鷲/半人半鳥の姿をした聖なる鳥・神の鳥である。タイ語ではガルーダを「クルット」という。
インドの伝説 (legends) では、ガルーダはナーラーイ (ヴィシュヌ) 神の乗り物であるが、イーグル (eagle・鷲・わし) の頭、 くちばし、翼、つめ (talon・タロン) をもつ生き物 (creature) であり、人間の胴体 (torso) をもつ。古文では、ガルーダはナー (naga・蛇) のハーフブラザー (half-brother・片親違いの兄弟、異父(異母)兄弟) であるとされる。神秘学によれば、 彼らの母親の争いゆえに、ガルーダはナーの不倶戴天の敵 (sworn enemies) される。クルット・ヘルン・ヘットのデザインはこの 伝説から由来する。

* torso: [人体の]胴; [彫刻]トルソー[頭や手足のない胴体だけの像彫].

[2011.06.19. 国立王室御座船博物館にて][拡大画像: x23620.jpg]


「王室御座船国立博物館」は、バンコク、バーンコークノーイ区、シリラート地区、アルンアマリン通りに所在する  (バーンコークノーイ区、バーンコークノーイ運河のチャオプラヤー川との合流点の北岸に位置する)。
王室御座船パレードに使用する王室御座船とエスコート船の8艘のほか、さまざまな王室行事で使用される装飾、祭具が展示されている。
・ 1932年4月、バンコク・チャクリー王朝建国150周年を記念して、ラーマ7世がスパンナーホン御座船に乗り、 メモリアル・ブリッジから王宮までパレードを行ったのが、タイ王国絶対王政の最後のパレードとなった。
・ 1932年6月立憲革命が起こり、立憲君主制に移行すると、御座船は王室とタイ海軍の管理の下、バーンコークノーイの乾ドック に保管された。 しかし、第二次世界大戦時の連合軍によるバンコク空襲により、日本軍関連施設(鉄道操車場・造船所)のあったバーンコークノーイ地区は 甚大な被害を受け、御座船も損壊した。
・ 1947年、王室とタイ海軍は御座船の管理を文化省美術局に移管し、その監督の下一年以上をかけて御座船と展示施設の修復を行った。
・ 1972年、美術局は御座船を国宝に指定し、さらにドックを美術局所管とするとともに「王室御座船国立博物館」として開館させた。

参考文献: 「Guide to the National Museum of the Royal Barges」, published by Office of National Museums, Fine Arts Department, Ministry ofCulture, Bangkok, 2006, pp.63. ISBN 974-425-054-2




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1. 御座船の案内パネル。"The Garuda Hern Het Barge: Width 2.10 m. Length 28.85 m. Depth 0.56 m. 34 oarsmen and 7 crews. Original head with the reconstructed hull, completed in 1968"と記されている。 [拡大画像: x23899.jpg]
2. 訪問時、大勢のアーティストが船首像を修復していた。 [拡大画像: x23900.jpg]
3. ナー (naga・蛇) を両手に捕えるガルーダ。 [拡大画像: x23901.jpg]

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4. 船首像の意味を説明するパネル。ガルーダはヴィシュヌ神(Vishnu)が乗用する聖なる鳥・神鷲である。 [拡大画像: x23902.jpg]
5. 博物館館内のパノラミック・ビュー。 [拡大画像: x23903.jpg]


* 辞典内関連サイト
・ 世界の海洋博物館
・ 海洋博物館-タイ
・ タイ王室御座船国立博物館
* ウェブサイト
・ 王室御座船国立博物館 (The National Museum of the Royal Barges) 公式ホームページ(タイ語)


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