海洋総合辞典 Comprehensive Ocean Dictionary, 特選フォト・ギャラリーPhoto Gallery, 船車Funaguruma, floating-on-river wind mill, flour-milling ship, 埼玉県立川の博物館Saitama Museum of Rivers, 埼玉県大里郡寄居町

一枚の特選フォト⌈海 & 船⌋


One Selected Photo "Oceans & Ships"

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船車(ふなぐるま) [河川浮体式水車小屋、水力製粉所]

埼玉県寄居町の荒川沿いに建つ「埼玉県立・川の博物館」の本館側壁に巨大な 板画が飾られている。 川合玉堂の筆による日本画・屏風絵の「行く春」(重要文化財)が、長さ21.6m、高さ5.04mの大陶板画(信楽焼)にして屋外 展示されているもの。 屋外に展示した日本画の美術陶板としては日本最大という。
なお、 「行く春」は、大正5年の傑作で、川合玉堂が大正2年に訪れた秩父地方の長瀞の岩畳(いわだな)と荒川・中流域の船車を描いた、 6曲1双の屏風絵である。原画は東京国立近代美術館に所蔵される。

館内には、その船車の大型模型が展示されている。その説明パネルによれば、概略以下の通りである。
河岸段丘域から扇状地域にかけての荒川では、川船に水車小屋を乗せた、いわゆる船車で小麦粉を作っていた。荒川の河川水の 増減に影響されることなく製粉を営むことができ、万一の大水の時には船車を避難させることができた。荒川の特徴をよく 知っていた人々の知恵そのものであった。 麦作地帯が広がる寄居町から川本町周辺の荒川では、昭和13年(1938年)頃まで、昼夜別なく稼働していた。
また、船車は 1 haの田畑と同じほどの貴重な財産とされた。小麦の製粉工場である船車をそっくり農家に貸し出すこともあった。 支払いは現金のほか、出来立ての小麦粉を拠出する場合もあった。粉ひきは昼間の農作業を終えた後に、船車に寝泊まりしながら 行うことも多かった。
* タッポ: 水車の水輪(すいりん)を回すために、水車のすぐ上流側で造作された堰・流れ。
[2012.4.28 川の博物館にて][拡大画像: x24435.jpg]

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1. 本館側壁の大陶板画「行く春」。 [拡大画像: x24436.jpg]
2. 船に水車小屋(製粉所)が乗せられている。船小屋の左横には水輪(すいりん)(水車部分)が取り付けられていたが、 平成23年(2011年)3月11日の東日本大震災(M9.0)で損壊し、現在修復中であるため実物写真を参照ありたいとの掲示あり。  [拡大画像: x24537.jpg]

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3. 川岸に繋がれ稼働する船車の風景。花園町小前田。昭和10(1935)年代。 [拡大画像: x24538.jpg]
4. 船車の繋留の概略図である。船車の左上の矢印部分辺りにタッポがある。  [拡大画像: x24539.jpg][拡大画像: x24542.jpg: 船車画像][拡大画像: x24540.jpg/「船車の活やく」と船車の分布地図] [拡大画像: x24541.jpg/「粉ひきの知恵」(粉ひきのメカニズムを示す構造図)]


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