一枚の特選フォト⌈海 & 船⌋
廻船問屋にそびえる望楼
現在「伏木北前船資料館」となっている建物は、かつて北前船で繁栄した伏木 (富山県高岡市) の廻船問屋の数少ない貴重な歴史的遺構である。
その建物は永く廻船問屋を営んだ旧「秋元伊兵衛」家の住宅である。
高岡市教育委員会は平成10年(1998年)7月1日にその遺構を文化財に指定した。 建屋は、主屋と、3つの2階建て土蔵 (衣装蔵、調度蔵、米蔵) からなる。土蔵の前者2棟には覆屋がかけられていて、 その屋上には望楼が設置されている。 文化財にはこの望楼も含まれる。かつて、この望楼から望遠鏡などで、眼下の伏木港に入港する船の出入りの見張りを行った。 現在高岡市内でこのような望楼が残っているのはこの建物だけである。 資料館の展示パネルなどによると、旧秋元家は、資料館の建つ現在の地で、近世末から代々廻船(海運)を生業としていた。 秋元家は安芸 (広島県) の出身と伝えられており、遅くとも文化年間 (1804~17) には既に現在の地に居を構え、居住していたことが 同家所有の古文書等で確認できるという。当初は小宿 (船頭や水主(かこ)=船乗りなどの宿泊施設) として、後には「長生丸」 や「幸徳丸」といった弁財船を自ら所有して、手広く廻船業を営んだ。屋号は「本江屋」(ほんごうや)であった。
* 伏木北前船資料館 Fushiki Kitamaebune Museum
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