一枚の特選フォト⌈海 & 船⌋
海賊フランシス・ドレーク船長(1)/肖像画 ①
英国人海賊フランシス・ドレーク船長が座乗する「ペリカン号」 (ガレオン船) を含む5隻の船隊は、1577年11月15日午後、
イギリス南部プリモスを出でて、大西洋を横切り、南米大陸東岸沿いに南下後、マゼラン海峡を経て南米大陸西岸沿いに北上し、
パナマ方面に向かうという、長い航海の途に就いた。その途上において、航海の出資者の一人であるクリストファー・ハットン
卿の紋章に因んで、同船を「コールデン・ハインド号」 (Golden Hinde) と改名した。 南米大陸東岸沿いに南下したドレークらは、かつてのマゼラン艦隊と同じように、現在のアルゼンチンのパタゴニア地域の サン・フリアン (San Julian; 南緯49度30分辺り) で、1578年の冬を越した。その後、1578年8月20日マゼラン海峡に進入した。 ペリカン号をゴールデン・ハインド号に改名したのはこの直前で、海峡入り口にあるビルヘネス岬 (一万一千の聖母の岬) を回った辺りである。 9月4日にマゼラン海峡を無事通過したものの、その通過後に2か月間弱も悪天候に見舞われたため、 南米最南端周辺海域 (現在彼の名をとってドレーク海峡 Drake Passageと称される) をさまよい続け九死に一生をえた。ドレークは、 後にオランダ人ハウステンによってホーン岬と命名される南端地点にクイーン・エリザベス I 世の名を刻んだ石碑を据え付けた。 その後、ドレークは、10月30日に錨を揚げ南米大陸西岸沿いに北上を開始し、バルパライソ (チリ・サンチャゴの外港)、 アリカ (チリ)、カジャオ (またはカリャオ、ペルー・リマの外港) などを経て、1979年6月に北緯48度付近の現在の米国ワシントン州 オリンピック半島辺りまで北上した。その後、6月17日に、現在のサンフランシスコの少し北にある泊地 (北緯38度30分辺り; 今日ドレーク 湾と称される)に停泊した。 ドレークは航海途上でいくつもの海賊行為を働いた。最大の「成果」は、南米西岸沖でスペイン船「カカフェゴ号」を襲撃し、 約18万ポンドという莫大な金銀財宝を強奪したことであろう (出資者には相応の配当がなされた)。 ドレークは、英国出港当初世界周航の計画はなかったとされるが、ドレーク湾で錨を揚げた後、太平洋を横断し、ついに香料諸島、 即ちモルッカ諸島の一つテルナーテ島にたどり着いた。1579年12月12日にインド洋・喜望峰をめざして出航し、ついに1580年9月26日 英国のプリモス水道まで帰還 (港には接岸せず)、史上2番目にして世界周航を果たすにいたった。
ドレークの海賊行為の数々、英国の海戦・海軍発展の歴史や国運の行方において果たした英雄的役割など、機会を見てふれる ことにしたい [To be continued]。 * コールデン・ハインド号の主要目: 全長:36.5m、全幅:6.7m、メインマスト高い:27m、帆面積:386m2、排水量:305トン、 帆走船速:15㎞/h、ペトラ砲(船首2、船尾2)、ファルコネット砲(船首2、船尾2)、ミニオン砲(14門)。 [2013.06.02 英国ロンドン・「ゴールデン・ハインド号博物館」Golden Hinde Museum Shipにて /Ship Location: St. Mary Overie's Dock, Cathedral Street, London, SE1 9DE] [拡大画像: x25224.jpg] |
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3 1. ドレーク船長肖像画 (船内展示)。 [拡大画像: x25358.jpg] 2. ロンドン・テムズ川沿いのビルの谷間のドック (St. Mary Overie's Dock) に泊渠する、3本マストのガレオン船 「コールデン・ハインド号」。 [拡大画像: x25227.jpg] 3. ドレークの世界周航ルートを示す航程図[拡大航程地図]。 [拡大画像: x25225.jpg] 4 5 6 4. 船尾楼には、ドレーク船長の寝室、指揮を執る航海室などがある。 [拡大画像: x25229.jpg] 5. バウスプリット、フォアマスト、メーンマストとそれらの見張り台 (crow's nest)。 [拡大画像: x25228.jpg] 6. 船尾楼のドレーク船長寝室。 [拡大画像: x25353.jpg] * 周辺概略図: ロンドン・ブリッジの少し上流の、テムズ川沿いのSt. Mary Overie's Dock (画像左上端)。 Southwark Cathedralが目印である。最寄りの地下鉄駅は「London Bridge」。 [拡大画像: x25342.jpg]
* 博物館説明書き [拡大画像: x25226.jpg: 「Francis Drake & The Golden Hinde」] * 参考資料:「海賊キャプテン・ドレーク -イギリスを救った海の英雄-」、杉浦昭典、講談社。
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