漁業技術の画像集・FishTech
著作者/水産大学校名誉教授・理学博士 前田弘
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第 5 部 16 タイ南部における漁業 [ 1 ][ 2 ] 2. Terutao島周辺における漁業 Terutao島はMalaysiaとの国境に近いAndaman海に面した島である。ここでは加工船を伴う巻き網とトロール が見られた。
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No.13 No.1−No.3 巻き網船(左または遠景)とそれに随伴する加工船(右または前景) 加工船は網船に接舷して、 網船が巻いた魚を受け取り、釜茹でに加工する。 No.4 島影に仮泊する網船 操舵室より前は投揚網するために広い作業甲板になっており、船室は後方の1/3から 1/4を占める。日本の旋網船では揚網作業はほとんど油圧機器類によるが、タイではほとんどが人力によっている。 したがって、乗組員は多く、船室は3層から4層にわたり、その上に見張台がある。色はタイに国旗に使われる 青・赤・白を基本とする。 No.5−No.7 船首付近に太いマストがある。船上で網を扱うときには、そこから操舵室まで竿をわたし、それに 網をかけることが多い。 No.8−No.11 揚網中の網船 No.10−No.11 揚網には補助の小舟を使うことがある。すべての作業を人力で行うために、乗組員は多い。
No.12 仮泊中の加工船
No.13
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No.18
No.19 No.13−No.19 作業中の加工船 No.18とNo.19は船首より船尾に向かって写した。
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No.22
No.23
No.24 No.20−No.24 マラッカ海峡で曳網中のタイ式トロール船 No.21とNo.24 操舵室の前には人力でワープを巻くドラムが見られる。このドラムは、この地方では見られる が(No.25−No.31)、Songkhla湖内に停泊していたタイ式のトロール船では見られなかった。無線電話とテレビ のアンテナが見られる。 No.22とNo.23 ワープを巻くドラムは見られない。
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No.46 No.25−No.35 Satunにおける漁船の溜り場 (SatunはTerutao島に渡る船の発着場である) No.25 Satunの川口には、多数のトロール船が見られた。Andaman海側では潮の干満の差が大きい。ほとんどの トロール船は小さく、船室は1層である。左端は巻き網船 No.26 遠景の何隻かは巻き網船である。左端はトロール船で、船室の後端の屋根の上には人力でワープを巻く ドラムが見られる。左から2隻目の船の後にある船には、多数の電球が見られる。これは巻き網で漁獲する魚を 集めるため(灯船)と考えられる。No.8−No.11に示した写真は早朝に撮影したもので、揚網の最終段階で、 役割を終わった灯舟は先に引揚げたらしく、付近に灯船は見られなかった。No.5−No.11に示した揚網の補助を する船には、灯火の設備は見られない。 No.27 右の2隻は巻き網船である。左の船は、球形の浮子を付けた網を船尾と船室の上に載せているが、 オッターボード等トロールを行っていると断定する手がかりがない。 No.28 手前は川沿いに人や荷物を運ぶ船で、長く狭いことがタイにおけるこの種類の船の特徴である。対岸に 小屋が並んでいる。これは養魚イカダの見張小屋である。トロール船の基地の近くには、それによって揚げられる trash fishを利用する養魚場が多い。 No.29 左端の船は巻き網の灯船であると考えられる。それ以外の船はタイ式のトロール船で、船尾付近に オッターボードと船室の屋根の上に人力でワープを巻くリールが見られる。 No.30 ほとんどは曳縄船である。縄を曳いているところは、No.37で見られる。 No.31 タイ式のトロール船 左から2隻目には人力でワープを巻くリールの代わりに、機関室横にワーピング エンドが見られる。それ以外の船には人力でワープを巻くドラムが見られる。 No.32 桁網 No.33 桁網 桁は低い。船尾を張出す。 No.34 調査船 No.35 対岸にある養魚イカダとその見張小屋 No.36 操舵室の前にはいろいろの装置がある。子供を含めて少なくとも8人が乗っている。船に比べて網は 大きく、この船では曳けないだろう。したがって、小型の旋網の可能性がある。 No.37 延縄を兼ねた観光船 No.38 船で押すサデ網 船で曳く網は世界各地で知られているが、船で押す網はあまり知られていない。 No.39−No.42 小枝で作った定置網 No.43−No.45 Terutao島とSatunの間で見た船 No.43とNo.45では船首材が長く伸びている。 No.44 進行方向に向かって船尾に立ち、オールで前に向かって漕ぐ。東洋では港町の一部で見かける漕ぎ 方である。 No.46 自然の木を曲げて作った枠に網を張ったカゴ 3. Phuket島における漁業
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No.22 No.1 漁港の全景 左側は巻き網船 中央やや右よりの船は、近くを回る客船である。 No.2 巻き網船 Terutao島周辺で操業していた巻き網船は、夜間操業をする可能性はあるにもかかわらず、 網船には灯火の設備はなかった。しかし、Satun港では灯船らしい船が見られた。Phuket島では巻き網船自身に 強力な水上灯を備えている。 No.3 巻き網船(手前の左)とそれに随伴する加工船(手前の右) 対岸にはタイに売却された北転船 (空色の船)が見られる。 北転船は寒い海で操業するのに適した構造になっている。(暖房設備は完備しているが、冷房設備は ほとんどない)。備えられている多数の計器類を使いこなせるかどうか、それらの計器類を保守できるかどうか、 Andaman海に高馬力の主機関を装備した船が十分に稼動できる漁場があるか疑問である。 No.4 巻き網船に対する網と氷の積込み No.5 巻き網船が使う網 巾着網で環綱には組ロープを使い、網裾には目合いの大きな縁網を使う。 身網はほとんど同じ網地を使っている。 No.6 網の積込み 浮子はかなりの密度であるが、それでも本格的な巾着網に比べると浮子の密度は低い。 (環締めの際にあまり大きな力はかからないと考えられる)。浮子綱(網の右端)と沈子綱(網の左端)の 縁網の部分だけが網地が異なり、他の部分は同じ網地でできている。積込み作業をしている人の約半数は 婦人であった。 No.7 左の遠景には、北転船が見られる。手前の左は近くを回る客船、右は網船である。レーダを備えている。 No.8 手前は網船、後は加工船 No.9 手前の2隻は網船、3隻目は加工船 No.10 加工船の内部(中央より船尾方向を見る) 漁獲物を煮る釜の配置は、この写真がもっとも分 かり易い。 No.11 トロール網の仕立 袖網の端の部分を示す。 Head ropeとground ropeの近くはflymeshになっている。 ground ropeにはチェーンが使われる。 このような仕立て方が古くから地元に伝わっているものか、どこから伝わってきたか疑問である。 No.12 見張台と水上灯があるので、巻き網船と考えられる。 No.13 遠景の2隻には、見張台と水上灯がないので、操舵室が前にあるトロール船であると考えられる。 No.14−No.15 造船所 木造船を作っている。 No.15では巻き網の網船の水線下の構造が分かる。 No.16−No.17 舟で押すサデ網 No.16はそのソリとチェーンを示す。 No.18−No.19 刺網 浮子は少なく、浮子縄と沈子縄はともに細い。 No.19 舟は船首材が長く伸びているのが、この地方における小型舟の特徴である。左側の舟はTerutao島 周辺における漁業のNo.44に示したような漕ぎ方をする可能性がある。 No.20 海のジプシーの集落にある養魚イカダ ここは観光コースになっている。右手は観光用のレストラン No.21 延縄 これだけしかなかったので、何らかの方法で、この海上に作られた足場から流し出すのか、 船で使うのか分からない。 No.22 カゴ 海のジプシーの集落はこのような足場の上にある。 4.タイ南部における水産物の利用と加工
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No.15 No.1−No.6 Songkhlaの市内にある市場の鮮魚コーナー 底魚類の種類が豊富である。各店には秤があり、種類・鮮度・目方を勘案して値段が決められる。 No.7 Songkhlaから北の対岸に渡るフェリーの船着場に見られる魚市 No.8−No.15 市内にある市場では別のコーナーで魚の干物や魚の醗酵食品が売られる。No.10の右手前の 山は乾しエビ、ビンは魚醤とシオカラに似た食品
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No.17 No.16−No.17 乾しエビを作っている。この広場一面にエビが乾してあった。エビはほとんど壊れていないし、 需要が多いので、これはトロール以外に専用の漁法によると考えられる(例えばSongkhlaにおける漁業の 「その他の底曳漁船」No.21からNo.24はその可能性がある。)
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No.26 No.18−No.24 クサヤに似た干物の製造 Songkhlaにおける漁業の「1.3 唐草模様で飾り立てた舟」が見られたモスレムの集落で作っていた。この製品は、 先に示したNo.8―No.15にも見られる。 No.25 Phuketにおける魚の加工場 No.26 ここではナマコの乾物から体長20cm位浮魚類の開きまでが乾してあった。 巻き網の漁獲物は、随伴する加工船で釜茹でまで加工されるが、その後更に陸上で乾燥させるのは見かけ なかった。
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