香港海洋博物館の主要展示物&中国航洋ジャンク船模型　[香港・中環]

香港海洋博物館（Hong Kong Maritime Museum, HKMM）はかつて香港島南岸 の町・赤柱（スタンレー）という風光明媚なウォーターフロントにあった。現在 (2015年11月) は、香港島のビジネス 中心街の中環地区 (セントラル Central) のスター・フェリー発着場のピア (埠頭) のうちの一つピア第8 (Central Pier No.8) に所在する。展示規模や内容は旧館よりもはるかに充実している。常設展示の主要テーマや陳列内容について紹介する。 http://www.hkmaritimemuseum.org 世界や中国の昔のいろいろな木造帆船模型 中国の航洋ジャンク船の構造模型、中国明代の大航海者・鄭和と宝船の模型および彼の南海遠洋航海について、 明・清代の沙船模型、航洋船模型、15世紀の朝鮮の亀船、9世紀の朝鮮の「板屋」貿易船の模型、その他茶や麻薬などを高速 輸送したクリッパー船 (ティー・クリッパーまたはチャイナ・クリッパー、オウピアム・クリッパーなど)、東インド会社船、 1628年のオランダ船「バタヴィア号」、ポルトガルのカラック (ナオ)、 マニラ・ガレオン船（マニラーメキシコ間を行き来したガレオン船／1593－94年）、ナオ船などの模型。 茶・陶器などの中国－西欧間の貿易に従事した船の歴史 ・　宋代の指南針(鉢式)・羅針儀：　中国伝統の乾式コンパス（drypoint compass;　木製・ガラス蓋付き）、宋代の指南針や 航海用具（測深錘索　hand sounding leadなど)、中国の航海の歴史と文化、中国の造船技術について。 中国古代の竹筏・羊皮筏、中国・東漢時代の埋葬用の陶船、紀元618－907年の唐代の河船、インドネシア・ジャワのボロブドールの石レリーフ に描かれた船をベースにしたインドネシアの9世紀の航洋船、奈良・平安時代の遣唐船、北宋時代の客船、北宋時代の載貨河船、宋代の 外輪軍船、機雷を積み込んだ船首部を切り離すことを可能とした宋代の軍船、15－18世紀の琉球朝貢船、明・清代の廣船 (guangchuan) などの模型、その他、明・清代の福船 (fuchuan)、ティー・クリッパー「カティサーク号」、オウピアム・クリッパーの「ファルコン号」 （opium clipper Falcon）、1826－27年の英国東インド会社の帆船、「ランドスプライド号」（Landspride）（1940年代後期）などの模型。 中国との海上交易ネットワークへ参入した西欧列強の歴史、17世紀のオランダ東インド会社商船のライオンの木製船首像、 巨大ジャンク船「Keying」の模型（1846年12月に香港を出港し、喜望峰を周回後、ニューヨークへ初めて到着した中国のジャンク船）、 その他、各種の近代船、フェリーボート、高速船、ホバークラフトなどの模型、木製のハーフモデルなど その他の展示テーマやジャンル、陳列品を列挙すると、 ・　船員たちと港湾労働者に関する展示 ・　中国の造船用工具、西洋の船大工用工具類、ジャンク船搭載の典型的な家庭用品 ・　船の絵画：　清代の官船など ・　海盗（Sea Bandits）の史実について ・　観音船首像の展示 ・　シナモン、ナツメグ、胡椒、クローブ、丁子などの交易品 ・　古地図：　1596年の中華の東南アジア諸島の地図（Map of Southeast Asia, 1596)を含む古地図など ・　歴史上の人物や船の図絵、交易品の陶器、麻薬の密輸とその取締りの歴史、中国の八葉の屏風（Chinese eight-leaf screen）など ・　西洋人たちの来華・広東への来航の歴史、東インド会社商船（1759年「Belvedere号」）の航海日誌、麻薬（opinum) の製造・ 貿易・喫煙の歴史 ・　清時代における景徳鎮などでの陶磁器の製造工程やその貿易の歴史について ・　香港ビクトリア・ハーバーの港湾整備や発展の歴史、港湾荷役、コンテナーヤードの開発・発展、香港周辺での海難事故、 灯台や浮標などの航行援助施設 ・　李鴻章の近代化政策、清国の海軍や北洋艦隊の創建、海洋税関（海関）業務 ・　香港と世界を結ぶ豪華客船による船旅に関する展示 ・　香港・マカオ間のフェリー運行の変遷と発展史 ・　香港の海運、水上交通、造船などの変遷と発展史、海軍ドックヤードの変遷、船舶解体事業 ・　海上保安・船舶消防活動について ・　海洋潜水艇 ・　スキューバダイビングなどの水中レジャー. ・　ドラゴンボートの構造、その競漕について ・　海底浚渫、海底石油、海底地図の作成 ・　海中考古学的遺跡の発掘・記録・分析に関するパネル展示、その遺跡発掘のジオラマ展示 ・　潜水による海中作業、潜水服・ヘルメットなどの潜水用具の展示 ・　石油リグ模型の展示 ・　海洋法制に関するパネル展示 ・　海洋環境保全のためのキャンペーン、特にプラスティック・ゴミによる深刻な海洋環境汚染と生物への負の影響に関する 展示。因みに、Sylvia Earle 博士の名言「You might not care even if you know, but you can't care if you don't know.」の紹介など [画像撮影　2015.11.20&21　香港海事博物館にて][拡大画像: x27138.jpg]

1 2 3 4 1.　中国木造船の船体構造模型。　 2.　中国航洋ジャンク船模型。　[拡大画像: x27139.jpg] 3. 英国ティー・クリッパー「カティ・サーク号」。　 [拡大画像: x27141.jpg] 4. 観音像のフィギュアヘッド (Kwan Yin figurehead)。　[拡大画像: x27155.jpg]