一枚の特選フォト「海 & 船」


One Selected Photo "Oceans & Ships"

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ニカラグア運河における節水対策(節水槽の建設)

ニカラグア運河の概要について

* 運河ルートの地理的位置について
太平洋側での運河への入り口はブリット川河口近くとなる。ニカラグア湖西岸における運河への入り口はリーバスの南側に位置する。 ニカラグア湖東岸での運河への入り口はテューレ川の北に位置することになる。カリブ海側での運河への入り口はプンタ・ ゴルダ川河口近くとなる。運河の推定される総延長距離は278kmである(ニカラグア湖を通過する区間の105kmを含む)。

* 主要な技術仕様
運河の計画幅員は230~520m(船舶待避のための側湾では幅員520m)、計画水深は27.6m~30mである。25,000TEU積載コンテナ船、 40万トンのばら積み船、32万トンの石油タンカーの通航を可能とする。年間通航可能量は5,100隻で、船舶の通過所要時間は30時間である。

* 運河には2つの閘門が建設される。太平洋側では、ブリット閘門(la esclusa Brito)がリーバス県内の村落リオ・グランデ 近くに位置することになる。 カリブ海側ではカルニロ閘門(la esclusa Carnilo)が、カーニョ・エロイサ(Caño Eloisa) およびリオ・プンタ・ゴルダの 合流地点近くに建設されることになろう。

* 閘門は一つのレーンからなり、3連続式の閘室の階段(3 escaleras continuas)をもつ(3段方式の水の階段をもつ)。 水資源を節約するために、また閘門での水の消費量 (閘門操作に伴う排水量) を減じるために、各閘室につき3つの節水槽 (3 estanques de ahorro de agua para cada escalera)が付帯して設けられることになる。

* 運河のオペレーションによってニカラグア湖の水位に実質的な変位をもたらすことなく、基本的にいつもの状態を維持する。 ニカラグア湖流域の住民らの生産活動にも、また家庭への水の供給においても、影響をもたらさすことはない。
運河はプンタ・ゴルダ川を堰き止めてできる水を利用することになる。即ち、カリブ海側のアトランタ(Atlanta)の近くに、 パナマ運河のガトゥン湖のような人工湖を造る。アトランタ湖と称され、その湖水面積は395平方kmである。その水量は運河の オペレーションにとって十分である。 アトランタ湖の水位はニカラグア湖とそれと同じ高さに維持される。アトランタ湖は生態、観光、水産養殖面での中核として 開発される。


運河での船舶通航量を左右する水資源、節水の必要と方策

運河計画では、ニカラグア湖という大きな湖が、船舶の航路としても、また運河のオペレーションのための水源としても 利用される。また、ニカラグア湖と大西洋との間に人工湖 (アトランタ湖) が建設される。それらの2つの湖と大西洋・太平洋との 水位には、26m以上の高低差があるとされる。この水位差の克服のため、3つの閘室が連続する水の階段(3連続式閘門システム) が設けられる。

運河を通航する船舶はこの階段を昇り降りする。その際、一定の水量が高位にある湖側から下方の海へと順次流れ去る。 1隻の閘門通過オペレーションによって消費される水量×2閘門×年間10,000隻はそれなりに莫大な水量となる。 2つの湖の水容量に一定の限界があり、消費可能水量の限界は船舶通航量の限界にもなるので、可能な限り湖水は節約される 必要がある。

運河での貨物通行量や船舶通航量は、閘室の寸法限界、閘門を通過する際の所要時間数、消費される水量や湖面の水位 などによって決定的な制約を受ける。因みに、ニカラグア運河でも、消費水量を節約するために各閘室に3つの節水槽が併設されること になっている。 これは、パナマ運河の第二拡張閘門システム建設において、各閘室に3つの節水槽が併設されたのと基本的に同じ設計思想である (パナマ拡張閘門運河は2016年に開通している)。 画像はニカラグア運河の3連続式閘門と節水槽システムの基本構造を俯瞰する図である。 [2017.2.7 1st description]


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