一枚の特選フォト「海 & 船」


One Selected Photo "Oceans & Ships"

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国際海事機関(IMO)による北極海航路での
国際通航ルールの設定
[2014年11月4日付け読売新聞記事]

画像は、国際海事機関(IMO)が北極海航路における国際通航ルールの設定に積極的であることを報じる、2014年 (平成26年) 11月4日付けの 読売新聞記事である。

1. 北極海では、その海氷の融解により、その面積がますます縮減傾向にあることが明白になりつつある。 国際社会の温暖化効果ガス削減対策が不十分な場合には、いかなる結果となるのか。 21世紀半ばまでに、夏時の多年海氷の事実上の完全消滅となる可能性が高いと指摘されている。

2. 他方、北極海航路 (ロシア沿岸沿いの北東航路; ベーリング海峡、ロシア北部沿岸を経てロッテルダムなどへ) の利用、北極海 周辺域におけるエネルギー資源開発への関心は高まる趨勢にある。2010年には4隻、2013年には71隻が北極海を通過したと報じられる。 今後、融解の拡大につれ、北極海航路の利用の拡大、年間の船舶の航行期間や通航量のさらなる 拡大が進展するであろう。現在は7月から4か月間の利用のみであるが、海氷融解の進展によって、通年通航が可能になるのは時間の 問題となるかもしれない。
[参考]北極海航路は、マラッカ海峡・スエズ運河を経る南回り航路に比較して、航海日数は40%短縮、燃費・人件費は大幅に 削減されるという。

3. スエズ運河経由の南廻り航路では、現在年間15,000隻であり、北極海航路の30~40隻程度とは全く比較にならない。 だが、安全にして通年通航が可能となり、船舶通航量の大幅増が実現していけば、21世紀中に世界の海運・海上物流に大きな変革を もたらすことになる。

4. ロシアが独自の国内通航ルールを各国に適用している現状がある。現在は北東航路の大半がロシア国土沿いであり、 事故防止名目にてロシアの原子力砕氷船の先導による砕氷サービスを義務付けるなど、独自ルールがある。サービスに対する 課金を徴収している。沿岸諸国のさまざまなルールの強制的適用、通航に先だつ事前通告の義務など、国内規制の内容と適用は どこまで許されるのか、重要な課題である。

5. 翻って、国際海事機関IMOは北極海航路の国際ルール作りを積極的に進めようとしている、と報じる。 IMOは、国際基準を満たした船舶は自由に航行できる国際航路にする考えである。 関連条約の改正によって強制力のある安全・環境基準の作成準備を進める。さらにまた、船員資格に関し極地航行の新資格を設定 する方針である。油・油分の排出禁止、船体安全基準の強化に向けた新たな環境基準も策定されよう。 関係諸国での調整された通航に関するルールづくり、国際規準化を図ることが国際共益に適う。国際協調・協力が期待される ところである。

6. 地球温暖化の結果、全く意図しなかった、棚からぼた餅式の「副産物」が浮上しつつある。世界はこれを「好機」としてとらえ、 海上輸送のより高い安全性、世界的規模での物流効率化と経済効率性を北極海航路に追い求めることになろう。 新たな世界的物流ルートの開発への挑戦は既に始まり、その開発圧力はますます高まると予想される。

[2017.2.11 記/To be continued & revised][画像: 2014年11月4日読売新聞][拡大画像: x27206.jpg]


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