一枚の特選フォト「海 & 船」


One Selected Photo "Oceans & Ships"

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行徳における江戸前の海苔摘みとべか船

千葉県市川市立市川歴史博物館 (Municipal Museum of History in Ichikawa, Chiba-ken) の展示によれば、海苔養殖は江戸時代の中期頃 に始まり、浅草海苔の名前で広く売られた。 行徳(千葉県)での海苔養殖は明治末期に始められ、今でも細々と行なわれているという。東京湾岸の殆どが埋め立てられ、 工場排水、生活汚水などの海洋環境の悪化などのために苦難の道を歩んできた。

博物館では海苔養殖・生産工程がパネル展示により分かりやすく解説されている。また、篊 (ひび)、台簀干しなどの実物展示の 他、数多くの海苔養殖・生産用具が展示される。画像はべか船に乗った漁師が浅海に建てておいた篊から海苔を採取する ところを再現したジオラマである。

展示パネルには、海苔生産工程について次のような概略説明がなされている。

    1. 篊 (ひび) づくり: 篊とは海苔の種苗 (しゅびょう) を付着させ生育させるための材料のことである。 篊には木篊と竹篊がある。木篊の材料としては、楢 (なら)・樫 (かし)・栗・槻 (けやき) などが用いられた。
    2. 篊たて: 8月から9月上旬に、漁場の場割り (ばわり) を行い、篊を立てる場所を決める。これを「たていれ」 といい、又棒 (またぼう) でもって海底に穴を開けて、そこに篊を差し込み立てる。
    3. 海苔採り: 海苔を採る作業は干潮時にべか船を使って手で行なう。海苔採りは寒い冬の海での厳しい 作業であるため防寒用胴着 (どうぎ) を身に着ける。
    4. 海苔切り: 採取された海苔は、抄 (す) く作業に入る前に刻まれる。明治時代までは薄刃 (うすば) の2丁の包丁 を用いて刻んでいた。その後は2、3枚の刃がついた飛行機包丁が使われた。
    5. 海苔抄 (す) き: 海苔抄きとは、四斗樽 (しとだる) の中に溶かし込んだ海苔を「抄き升 (ます)」ですくい上げ、 これを簀 (す) の上においた抄き枠の中へあける作業である。この方法は「投げつけ」と呼ばれた。
    6. 海苔干し: 近世から、台簀干し (だいすぼし) と呼ばれる干し方が行われた。これは収穫の終わった 田んぼや空き地に、藁 (わら) の垣根を作り、そこに海苔簀を並べ目串 (めぐし) でとめる方法である。
[画像撮影: 2017.5.24 千葉県市川市立市川歴史博物館にて][拡大画像: x27810.jpg]


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