一枚の特選フォト⌈海 ＆ 船⌋

徐福、秦・始皇帝の命により仙薬を求め、東の海へ船出する [中国航海博物館]

画像は徐福の石像である。徐福は秦の始皇帝 (在位B.C.246年－B.C.221年) の命により、不老長寿の仙薬を求め巨大な船を仕立てて、 東方海上にあるという三神山 (蓬莱、方丈、えい州) に向け、大勢の童男童女を引き連れて船出したという。 徐福は故郷に戻ることはなかった。始皇帝に仙薬なるものを持ち帰ることもなかった。 徐福の故里である山東省龍口市 (りゅうこうし) によって寄贈された石碑には、徐福の生立ちや時代背景、始皇帝の命による東方海上への 船出、蓬莱の国といわれる熊野での定住や生活ぶり、そこでの中国文化の紹介などが記されている。 徐福 (Xu Fu) は秦の時代の人物であるが、生まれは不詳である。 「徐福さん」と呼ばれて今も親しまれている徐福は、秦代の著名な方士で、中国・斉 (せい) 郡の徐郷県 (現・山東省龍口市 (りゅうこうし)) で生まれました。幼少の頃から苦学し、学問に努め、その誠実な人柄は村人を窮状から救うなどして 民衆からの信望は厚いものがありました。 当時、中国を統一した秦の始皇帝は、中央集権支配を強化するため幾度か全国を巡幸し、功績や徳行を顕彰する 碑を各地に建てたり、萬里の長城を築くなどして、天下に武力を誇示し威厳を見せつけていました。中国の 歴史書「史記」によれば、巡幸に出た始皇帝は「不老長寿」の仙薬を探し出そうと躍起になり、困った策士 たちは方々を尋ねたあげく、今の龍口市内において、方士で名医の徐福に出会ったとされています。始皇帝から 命を受けた徐福は、巨大な二層式の船を仕立て、東方海上の三神山 (蓬莱、方丈、えい州) にあるという 不老長寿の仙薬を求め、三千人の童男童女を引き連れて船出したのです。 萬里の波涛を越え、絶海を渡り、蓬莱の国といわれる熊野にたどりついた一行は、この地に自生する「天台烏薬 (てんだいうやく)」 という霊薬を発見しましたが、気候温暖、風光明媚、さらにはこの土地の温かい人々の友情に触れ、ついにこの地を永住の地とし、 土地を拓き、農耕、捕鯨、紙すきなどの当時の高度な中国文化をこの地に伝え、全国に広めたといわれています。 日本国内には徐福ゆかりの地がいくつかあり、それぞれ古くから地域伝承を育み、様々な文化が形成されています。 特に熊野地方には、徐福渡来の地として数々の伝承資料が残されており、遅くとも鎌倉時代の文献に見ることができます。 また、阿須賀神社の蓬莱山の麓には「徐福の宮」があり、古くから徐福の功績をたたえ、尊信を受け継いできました。徐福が両国の 永い歴史的交流の象徴として、さらには中日友好の掛け橋として大きな反響を呼び起こしています。 本公園内の「秦徐福之墓」の墓碑は、江戸時代初期に紀州藩祖徳川頼宣公が儒臣の李梅渓 (りばいけい) に筆を執らせ、 建立を合図したものと伝えられており、傍らには徐福に随行した七人の重臣の「七塚の碑」も祀られています。墓碑が建てられて 以来、今日まで墓前には香花が絶えることなく、人々はその遺徳を偲んでいます。 1994年 (平成6年) 8月12日　　徐福故里　中国山東省龍口市　寄贈 [註釈] えい州の「えい」は複雑な漢字を書く。「東えい」とは日本の別称である。「えい州」は東海の神山のこと で、「蓬莱」、「方丈」と並ぶ伝説上の山である。 その他の展示パネルでの説明書き Xu Fu's eastward voyage　徐福の東方航海 The voyage of Xu Fu was recorded in the "Biographies of Qin Shi Huang, the First Emperor" in the Historical Records written by Sima Qian in the first century. "The emperor was told of three islands on which lived celestial beings", as it was written, "so that Xu Fu "was sent to those celestial beings." [2017.4.3-10 中国京杭大運河の旅／2017.4.4 中国航海博物館にて]. [参考]徐福東渡：「史記・始皇帝本紀」、徐福石碑： stone tablet of Xu Fu. [拡大画像: x27790.jpg][拡大画像: x27791.jpg][拡大画像: x27792.jpg: 石碑説明書き]