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一枚の特選フォト「海 & 船」

One Selected Photo "Oceans & Ships"

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    [海のエッセイ]日本が世界に誇った南米航路定期船
    - 「ぶらじる丸」 と 「あるぜんちな丸」 -

    ブラジル/作: マドロスII世/2003.6



    写真には次のように記されている。

    ぶらじる丸 (Brazil Maru)

      1954年7月10日、神戸の新三菱造船所にて建造
      総トン数: 10,100.67
      排水トン数: 5,782.86
      載貨重量トン数: 9,725.86
      最大吃水: 8.72m
      最大速力: 20.3ノット
      全長: 156.0m
      船幅: 19.6m
      収容船客数: 982人
      船種-混合型 (貨物・旅客)

      博物館への寄贈者 Mitsui O.S.K. Lines(大阪商船三井)


    日本の商船隊は第二次世界大戦によって壊滅的な打撃をこうむった。
    だが、戦後における復興はめざましく、かなりのハイ・ピッチで戦前と同じ船腹量レベルにまで回復したといえる。
    そして、戦後まもなくして日本の造船・海運業界が世界に誇った船がある。
    その当時の造船技術を結晶させた「船の最高傑作」ともいえる、最新鋭の船である。
    それこそが、日本から太平洋を横断し、パナマ運河を経て南米にいたる定期航路に就航した、
    外航船 「ぶらじる丸」、「あるぜんちな丸」である。

    日本も今でこそクルージング(船旅)専用の大型豪華客船を建造し、就航させている。
    しかし、過去に数多く建造された貨物・旅客兼用の船(いわゆる貨客船)の中にあっては、後にも先にもこれほどまでに華麗にして威風堂々たる船はない。
    そう考えるオールド・ファンは少なくないであろう。

    その2隻の船の大写真を、何とブラジルの「サントス港博物館」で見つけた (2001年)。
    ここにその雄姿をご紹介したかった。
    やはり、ブラジルの港や海運関係者の間でも高く評価され、また深い感銘を抱かせた船であったに違いない。

    ぜひともその航海記や乗船記などの文献を読んでみたい。
    ご存じあらばご紹介下さい。






    写真には次のように記されている。


    あるぜんちな丸 (Argentina Maru)

      1958年4月30日、神戸の新三菱造船所にて建造
      総トン数: 10,863.72
      排水トン数: 6,403.55
      載貨重量トン数: 10,314.42
      最大吃水: 8.72m
      最大速力: 19.8ノット
      全長: 156.48m
      船幅: 20.40m
      収容船客数: 1,055人
      船種-混合型 (貨物・旅客)

      博物館への寄贈者 Mitsui O.S.K. Lines

      [注] Argentina Maru: 英語では「アージャンティーナ」丸、スペイン語では「アルヘンティーナ」丸となる。いずれも、アルゼンチンを意味する。




    全くの余談だが、小学校6年生の頃から、南米航路船のマドロスにあこがれていた。
    中学英語教科書「Jack and Betty」のグラビアによく出てきたニューヨークの摩天楼、エンパイア・ステートビル、そしてニューヨーク航路船 にもあこがれがなかった訳ではない。
    だが、なぜか南米航路のそれに強烈なあこがれを抱いていた。
    自分でも、今でもその理由は分からない。

    当時、サントスはコーヒーの積出港として活気を帯びていた。
    また、数多くの日本人南米移民が夢と大志を抱いて降り立ったサントス。
    溶岩ドーム型の山、山の頂上に立つ巨大なキリスト像が出迎えてくれる世界三大美港リオデジャネイロの港
    (幼少の頃の船の雑誌にはリオに入港する日本船の写真がよく掲載されていた)。
    そして、何よりもタンゴが流れる港町ブエノスアイレスに、なぜだか強烈なあこがれがあった。

    青年になってからも、一人で神戸のメリケン波止場で大きな船をぼんやり眺めながら、
    幼い時の夢を思い起こすことが多かった。

    話せば長くなるのでやめるとして、そんな夢は破れ去り、遠い過去のものとなっていた時代が長く続いた。
    しかし、小学6年の時から数えて何と25年後にして、ブエノスの地に降り立ち、タンゴにも触れた。
    それからさらに10数年して、あこがれだったサントスの波止場に自分の脚で立った。
    (最初の移民船「笠戸丸」が1908年に着岸したとされる14番埠頭―港の拡充で位置は今は異なっている-は訪れてみたい地であった)

    人生何と遠回りしたことか、という思いを捨て難かった。
    そして、幼少の頃の夢が今実現しているのだという感慨で、自分一人で人知れず身震いさえ感じていた。
    その感激を決して忘れることはできない。

    [画像撮影: ブラジル・サントス港博物館にて/2001]


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