一枚の特選フォト「海 ＆ 船」

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[海のエッセイ]南米ブラジル・アマゾン河での一風景

ブラジル／写真: I. Ohue／2003.7

悠然と流れ、はるか大西洋に注ぎゆく南米大陸の大河アマゾン川、 それは海の如し。 時もまたゆったりと流れ行く。 アマゾン川の中流域に位置する大都会マナウス。 行き来する船は必ずマナウスに立ち寄る。 だから港はいつも人や物の往来で賑わう。 河岸にたつと、その眼前をアマゾン川の支流ネグロ川が流れる。 その水はまさにアメリカンコーヒーのように黒ずんでいる。 ネグロ川はマナウスの近くでアマゾン大河の本流と合流する。 その本流はいかにもカフェオレのような色合いだ。 そんな本流と支流はずっと交わることなく流れゆくといわれる。 ガイドにくっついてマナウスからジャングル体験ツアーへ出かけた。 ｢ジャングルの中のジャングル｣へと。 いつも五感は研ぎ澄まされ、全てが新鮮さと驚きの連続であった。 アマゾン探検の旅も終わり、落日近し。 ボートはマナウスの船着き場に帰り着こうとしていた。 港近くでは大きな船が錨を下ろしていた。 ボートは、そのそびえたつ舷側、まさに鉄の壁を横目に走り抜けた。 見上げれば、甲板ははるか上である。 そして、ふと振り向くと夕陽がさす。 夕陽が水面に映え、もはやアメリカン･コーヒー色は消え失せ、銀色の世界と化していた。 アマゾン流域のど真ん中でのジャングルツアー。 心に刻まれ、その余韻は今も消えることはない。