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日本丸の船首楼と船尾楼の甲板材にはチークが、一層低い凹甲板には米松が使用されている。建造以来、実習生は
早朝の作業として、甲板に砂を撒き、椰子の実の二つ割りを用いて磨いてきた。船乗り用語では朝食前のこのような早朝の作業を
一般に「タンツー」と称している。「仕事に取り掛かる」という意味の英語の"turn to"に由来する。普段においては、この二つ割り
の椰子の実を使って、実習生が総出でワッショワッショと掛け声を掛けながら、あるいはタンツー節を歌いながら、甲板磨き作業を
行う。しかし、作業をした後などの甲板の汚れがひどい時には、椰子の実の代わりに一種の砥石(といし)が使われる。船乗り用語では
この石を「ホリーストーン」(聖なる石)と呼んでいる。
実習生は起床後にして7時30分の朝食まで、この椰子割りで「タンツー」(仕事始め;turn to)をする。55年間の甲板磨きの
結果、いくら堅いチークからできた甲板であっても、何センチも削り取られ磨り減って来た。画像はそれを立証する。
[参考文献] 荒川博 「帆船への招待」 海文堂、昭和61年、14-16頁
[2010.03.日本丸メモリアルパーク(Nippon Maru Memorial Park)・練習帆船「日本丸」sail training ship Nippon Maru、横浜]
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1. 日本丸の雄姿。 [拡大画像: x22601.jpg]
2. 早朝の作業「タンツー(turn to)*」の甲板磨き風景。甲板磨きはまさに一日の「仕事始め」である。撮影:浅水嘉治夫。
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3. 右舷の上甲板。多くの実習生が航海のたびにこの甲板を椰子割りで磨き上げた。 [拡大画像: x22599.jpg]
4. 二段式になっている寝棚/ボンク(bunk)。 [拡大画像: x22600.jpg]
* turn to: 朝食前の早朝作業; タンツー.
辞典内関連サイト: 世界の海洋博物館-日本
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