一枚の特選フォト⌈海 & 船⌋
海辺のアート「宇宙の旅から帰還したカプセル」
オーストラリアのシドニー市内に「ウルムルー」(Woolloomooloo)という変わった名前の地区がある。
その地先に「ウルムルー湾」(Woolloomooloo Bay)という、奥行きの深い小さな入り江がある。
英語で「Bay」(湾)と称されるも、小さな小さな入り江(英語でいえば「Cove」・コーブ)である。その入り江に
「ザ・フィンガー・ウォーフ」(The Finger Wharf)と名づけられた
数百メートル長の桟橋が突き出ている。それを右手に見ながら岸沿いに暫く歩くと「アンドリュー・チャールトン・
プール」という、ガラス張りの洒落た、会員制らしきスポーツジムがある。 4月10日の日曜日のこと、ジムは大勢の家族連れや若者たちで賑わっていた。海側のベランダに出て湾奥方向を眺めると、ふと眼下に 茶色っぽいものが目に入った。それが何であるかを理解するのに 暫く時間を要した。最初はなぜこんな美しいウォーターフロントに茶色に錆びた鉄のガラクタが放置されているのか、 不思議であった。率直なところ、それが脳裏を瞬間的によぎった直感的印象であった。遠くの桟橋に目を移し、今度はガラ クタに目をやる。何度かそれを繰り返しているうちに次第に目が慣れて来て、ステンレス製のクレーンの アームのようなものにもしっかり目が届くようになった。
鉄製のガラクタとステンレス・アーム、その組み合わせが不思議であった。何度目をやってもそれが一体何なのかを
理解できなかったので、ときに意識的に被写体を縮小するかのように身を引いて、まじに物体全体を見つめ直した。
アッ、やっぱり、これはアートだ! で、何のオブジェなのか? 「宇宙から地球に帰還する時に大気圏を通過、
カプセルは焼け焦げたものの、海に無事着水できた。それをクレーンで回収しているのだ」。
そう思えるのだが、、、、、果たしてどうだろうか。見つめ過ぎ、想い過ぎてそれ以上の観賞の気力は消失していた。
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