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タイの首都バンコクの「王室御座船国立博物館 National Museum of the Royal Barges」の前身は、王室および
王立海軍の管理下にある御座船 (ロイヤル・バージ) や軍船の乾ドックであった。第二次世界大戦時の爆撃によって甚大な損壊を
受けたが、タイ政府は1949年に文化省美術局 (Fine Arts Department, Ministry of Culture) を通じてそれらのバージを修復した。
かつて最高の職人技術 (クラフトマンシップ) によって建造されたこと、また国家の文化遺産としての価値の高さを鑑みれば、
当然の修復事業であった。美術局の指導の下、アーティストらはその損壊の修復に成功した。また、1972年にドックは改装され、
王室御座船国立博物館へと生まれ変わった。博物館での限られたスペースゆえ、52艘の重要な御座船のうちの8つが展示されている。
展示されている8艘の御座船およびエスコート船は、以下の通りである。
* 御座船
1. スパンナーホン御座船 Royal Barge Suphannahong
2. ナーラーイ・ソン・スバン・ラーマ9世御座船 Royal Barge Narai Song Suban - RamaIX
3. アナンタナーカラート御座船 Royal Barge Anantanagaraj
4. アネーカチャートプチョン御座船 Royal Barge Anekchatbhuchong
* エスコート船
5. クルット・へーン・ヘット船 Krut Her n Het Barge
6. クラビー・プラープ・ムアン・マーン船 Krabi Prab Muang Mar n Barge
7. アスラ・ワーユパック船 Asura Vayuphak Barge
8. エーカチャイ・ヘーン・ハーウ船 Ekachai Her n How Barge
アナンタナーカラート御座船 Royal Barge Anantanagaraj
アナンタナーカラート御座船は、モンクット (ラーマ4世)Mongkut (Rama IV) 王朝時代に建造された御座船「Royal
Barge Ballung Anantanagaraj」に取って代わる船として、ラーマ6世 Vijiravudh (Rama VI) 王朝時代になって建造されたもので、
その完成は1914年である。
その船首は7つの頭をもつヘビ「Nagaraj」の形をなす。ゴールド・ラッカーで塗られ、またガラス装飾が豊かに施されている。
船体外側はグリーン・カラー、内側はレッド・カラーとなっている。
船の全長は、44.85m、最大幅は3.17m、船体(ハル)の深さは94cmである。
乗組員としては、漕手 (そうしゅ・oarsmen) が54人、クルーが18人である。舵手 (だしゅ・steersmen) は2人。
インド伝説(legends)では、ナ―(Naga)とは水中界に住む一種のヘビである。ナーの王 (the King of Naga) が「アナンタナー
カラート」(Anantanagaraj)である。ヒンドゥー教世界の守護神「ナーラーイ(Narai)」または「
ヴィシュヌ(Vishnu)」が世界終焉時にミルクの海を掻き回す間手助けをしたのが、このアナンタナーカラートである。
アナンタナーカラートは「永遠の存在」、「不滅」のシンボルである。
アナンタラーカラートに身を休めるナーラーイ神 (ヒンドゥー教の神; ヴィシュヌ神と呼ばれる) のように、ヴィシュヌ神 (Vishnu) の化身
(アヴァター・avatar*)としての王がこのアナンタナーカラート御座船に宿っているという信仰を表わしている。
* avatar: [インド神話] 神が化身してこの世に下ること; 権化、化身(けしん) [注] 化身とは、一般的には神仏が人間の形
になって現われ民衆を救うこと、あるいはこの世に現われ出たその人間の形をいう.
* naga: [ヒンドゥー神話]ナーガ [ナーガとは蛇・竜を神格化したもので、雨や川などの神霊].
参考文献: 「Guide to the National Museum of the Royal Barges」, published by Office of National Museums,
Fine Arts Department, Ministry ofCulture, Bangkok, 2006, pp.63. ISBN 974-425-054-2
[2011.06.19. タイ・首都バンコク・王室御座船国立博物館 (The National Museum of the
Royal Barges) にて][拡大画像: x23909.jpg]
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