一枚の特選フォト⌈海 & 船⌋
潮の満ち干を利用してエビを捕獲する、自らは動かない
エビ・トロール漁船(3)/満ち潮時の船景
韓国・南西部の全羅南道にある漁港町・木浦 (Mokpo・モッポ)。そこに文化財庁所属の有名な国立海洋文化財研究所 (National Research
Institute of Maritime Cultural Heritage) がある。研究所には国立海洋博物館 (National Maritime Museum) が併設されている。
画像は、博物館の岸壁に係留・展示されるエビ・トロール漁船で、韓国西海岸でのエビ漁に使われていたものである。 この漁船は、韓国語で「Meong-teong-gu-ri-bae」と呼ばれる。 「Meong-teong-gu-ri-bae」とは「fool boat」(バカな船)という意味である。何故そんな名前なのか。簡潔にいえば、自身では動くことが できないから、という。だが、ある意味では「賢い船」ではないか。 重くて巨大な錨を着底させ、「船形木箱の漁船」を強い流れに抗して留めおかれる。両舷から張り出した長いブームに取り付けられた トロール網が水流で拡網される。そこへ、流れとともにエビが迷い込み、捕獲される。燃油も漁船乗組員の人件費もかからず、再生産可能な 漁撈形態にして、風雨に負けず24時間操業してくれる「賢い、働き者の船」、理に適った理想的な漁撈船ではなかろうか。 だが、経済的には持続可能な漁撈船とはいいがたく、今では廃船状態なのか、それとも今なお現役漁撈船として活躍しているので あろうか、、、、、。 [2011.09.27 木浦・国立海洋博物館 (National Maritime Museum)にて][拡大画像: x24357.jpg]
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[雑記帳] 国立海洋文化財研究所&国立海洋博物館について
研究所の主な活動は、水中文化遺産の発掘・保存・展示・教育である。過去の古い沈没船、伝統的な韓船の復原、海洋
文化遺産の収集・保存、海洋交流史や民族学的研究とともに、海に隠された文化遺産の再発見よって韓国の海洋の歴史・文化を
再評価するなどの研究活動を行っている。
○ 第2展示室: 中国の商業貿易交易船の「新安船」は、1323年に中国から日本への航海途中新安沖で難破したものである。 船には中国の多様な工芸品、高麗の青磁、日本の陶器、東南アジアの香辛料、薬剤など積載されていた。沈船の船底・船側の部材も 展示されている。 ○ 第3展示室: 各種の伝統的な沿岸漁具、豊漁祭りなどの漁村民族学的な資料、1814年著の海洋水産生物辞典などが展示される。 ○ 第4展示室: 先史時代から近代までの韓国の船舶史を紹介する。古代船形土器、高麗から朝鮮時代、近代にいたるまでの 韓国の伝統船の模型などが展示されている。 |