一枚の特選フォト⌈海 & 船⌋
南洋の島サイパンの「凪の海、平和な海」
西太平洋、マリアナ諸島のサイパン島。眼前に信じられないほどのべた凪の海が広がる。
西の空には、没するにはまだ早い太陽がギラギラと輝く。「赤道付近における無風帯(ドルドラム)」のような様相を呈している。
海は大凪で、海面はまるで鏡のようである。帆船でこの海を航海していたとすれば、まさに船乗り泣かせの完全無風状態である。
風が吹き出すまで我慢強く気長に待つ他あるまい。それにしても、地球の全陸地を呑み込むほど広大な大洋でありながら、
何と波穏やかな海であることか。 歴史は消し去ることはできない。日米両軍が1944年6月から7月にかけて25日間の死闘を繰り広げた。米軍が6月15日にこの近くの海岸に上陸 し、激闘は続いた。米軍側 14,000人、日本軍側 30,000人、また日本・朝鮮民間人ら15,000人の戦死者を出し、生存者わずか1000人余 であったという。 すぐ眼前の平穏な海には、爆撃機のプロペラ、沈没した日本商船など、戦争という愚行の「歴史的遺物」が眠る。
|
1
2
3 1. 西の空に陽が没し行く。一本の蝋燭を立て掛けたような強烈な光の柱が、無風にしてべた凪の海面に映える。そのうち、 その輝きは最高度に眩しいものとなった。 [拡大画像: x24496.jpg] 2. つるべ落しのように陽はあっという間に没する。燃え盛る火の玉は天空の雲を真っ赤に焦がしながら沈み行き、海一面を茜色に染める。 太陽が空と海を超大のカンバスにして創作した「水彩画」を切り撮る。 [拡大画像: x24497.jpg] 3. 翌朝にはいつものブルースカイが広がり、積乱雲が天高く上昇する。サンゴ礁の海が織りなすブルーのグラデーションが美しい。 [拡大画像: x24498.jpg] |