一枚の特選フォト⌈海 & 船⌋
南洋の海、潜水艦「Deepstar」での海中散歩
南洋の楽園・サイパン島。サイパン島の繁華街の一つであるガラバン地区の数㎞沖合に浮かぶマニャガハ島。
はしけ船はサイパン島西側の礁湖 (ラグーン) の中ほどにある、そのマニャガハ島の少し手前で停船した。
我らが乗艦することになっている潜水艦は何処にも見当たらない。波に揺られて待つこと4、5分。50mほど先の
エメラルド・グリーンの海に黒い筒のようなものが見えた。海面が少し黄色に染まった次の瞬間、あざやかな黄色の巨艦が
眼前に浮上していた。
母船とケーブルで繫がれることのない(アンテザードの untethered)、自航型の本格的な観光用
潜水艦ディープスター「Deepstar」である。 潜水艦はゆっくりと潜航開始。艦内の深度計は23メートルを指す。片舷7、8の丸窓が並ぶ。各窓には2人ずつ陣取る。 いろいろな熱帯魚、脳サンゴ、テーブルサンゴなどが舷窓の中をゆっくりと流れ行く。海の生き物だけでなく、 太平洋戦争・サイパンの戦いにおける残骸も過ぎ行く。米軍の爆撃機のプロペラ、機関銃などの他に、ばらばらになりひん曲がった 日本の沈船 ("Suehiro Maru"との説明がなされる; 全長100mほど)も海底に横臥している。
今では乗艦する客のほとんどが中国人である。彼らは太平洋において日米二大軍事強大国が海洋覇権を争った戦争の証を一体どんな思いで
鑑賞しているのであろうか。21世紀初頭の現在、米国と中国との間で、太平洋の海洋覇権を巡る闘い、あるいは太平洋の軍事バランスを
二分するための闘いの序章の幕がすでに開かれた、と推察する者もいるかもしれない。
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