画像は秋田県にかほ市の「象潟郷土資料館」に展示される北前型弁財船の模型である。案内パネルによれば、1990年(平成2年)に旧象潟町の
船大工・佐々木甲治氏が製作し寄贈したものと記される。船体には杉が、また強度の必要な部位にはケヤキとヒノキが使われている。
模型縮尺は実物の13分の1の大きさである。
弁財船は500石から1500石積みまで大小さまざまであったが、北前航路を通った商船(廻船)
はその中でも大型のものであった。瀬戸内で早くから使われていた弁財船が北国廻り航路の発展につれて次第に改良型
へと変遷して行った。日本海航路を通る弁財船は船首尾の反りが特段に大きくなり、船梁は肋骨のような曲材が用いられるなどして
、その強度が増して行ったとされる。以上、案内パネルより。
同資料館では、旧塩越港の繁栄を示す物証として北前船にかかわるさまざまな実史料が所蔵・展示されているが、それらの
主な展示物は以下の通りである。
・ 北前型弁財船で使用されていた鉄製の大型の四爪錨(よつづめいかり)。秋田市土崎沖4マイル(nautical miles, 海里)、水深50メートルで底引き
漁船(金浦町の金浦漁港所属)の網にかかり引き揚げられたものである。錨は長さ2.7メートル、重さ250㎏。その他小型の四爪錨が
展示される(にかほ市の海岸や由利海岸の沖合でしばしば発見されるという)。
・ 「長宝丸」、「象潟丸」(画像3)、「大福丸」、「永久丸」などの北前船の船絵馬のいろいろ。なお、「永久丸」の船絵馬は、
にかほ市象潟町・戸隠神社に1780年(安永9年)に奉納されたもので、秋田県で最古の船絵馬であるという。
・ 塩越湊と北前船が写る古写真。
・ 方位目盛が十二支で表わされた和磁石(画像2)。方位目盛の回り方が順・逆の二方式がある。その他、三角舷燈、船箪笥(画像1)、櫓櫂などが
展示される。
船箪笥は船で用いられた箪笥で、重要書類・金銭・着物などを収納した。構造によって、懸硯(かけすずり)・半びつ・帳箱の3型があった。
・ 大須郷の方角石、北前船の航路と主な湊図。
・ 川崎船模型: 川崎船はハタハタ漁やタラ漁に多く用いられた。また、日本海各地で活躍した。
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[撮影年月日:2022.06.02/場所: 秋田県にかほ市象潟郷土資料館]
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