「蒲郡市生命(いのち)の海科学館」における代表的展示物は「インカクジラ」の化石である。2016年に新属新種に認定された。
学名は「Incakujira anillodefuego」である。インカクジラは、ヒゲクジラ類(歯をもたず、クジラヒゲという独特の器官を
もつ)の下位にあるナガスクジラ科に属する。ハクジラ類は鼻の穴が1つだが、ヒゲクジラ類は2つもつ。ナガスクジラ
科鯨類とは、喉からヘソにかけて畝(うね)とよばれるアコーディオン状の構造を持つ鯨たちのこと。なお、地球上で最大の動物
であるシロナガスクジラが同科鯨類に含まれる。
鯨の種類を同定する場合の重要な生物学的形質の一つが頭骨である。頭骨は複数の骨の集合体でいろいろな特徴が見られる。例えば、
インカクジラの頭骨の特徴として、同じナガスクジラ科のそれらと比べて吻部が細長いこと、また上顎骨(じょうがつこく)の
後端の幅が狭いことが挙げられる。
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同館のこのインカクジラ化石はホロタイプ標本に指定されている。ホロタイプとは種の基準となる標本のことである。
その種を最も代表する標本のことでもある。ホロタイプ指定理由に挙げられることとして、例えば、ほぼ全身の骨格が揃っていて、
骨同士が関節した状態を保ち、骨の変形も少なく、また保存状態がとても良く、さらに脊椎骨の状態から観て大人に近い個体で
あることが理由である。また、本来化石化しないクジラヒゲの跡が母岩に残されていることから、大変珍しい化石標本とされる。
インカクジラについて
学名: インカクジラ・アニーリョデフエゴ 「Incakujira anillodefuego」
採集地: ペルー、アレキパ州
年代:約750万年前
本クジラの骨格化石は1999年の開館以来展示されてきたが、生物学的分類は分かっていなかった。だが、2016年に新属新種
であることが同定され、「インカクジラ」と名付けられた。
(参照資料: 同館発行の「新属新種! インカクジラ」と題するリーフリット、展示パネルの説明書きなど)
[撮影年月日:2024.12.21/場所: 蒲郡市生命の海科学館]