日本周辺海域おける大陸棚の200海里以遠への延伸について [日本と海洋法制]
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画像 1 は、2014年 (平成26年) 10月5日付けの日本経済新聞記事である。見出しは、「海洋立国 大陸棚をのばせ、太平洋の2海域
日本の権利確定」。日本周辺の排他的経済水域の海底およびその下(大陸棚のこと)の200海里以遠への延伸について報じている。
画像 2 は、2012年 (平成24年) 4月28日付けの読売新聞に掲載された、「大陸棚31万平方キロ拡大」と題する記事
[拡大画像: x27485.jpg]に添えられた大陸棚延伸図である。
1994年発効の国連海洋法条約に基づけば、沿岸国は一定の条件と距離制限の下に、大陸棚を200海里以遠へ延伸することが認められる
(200海里は約370km)。その国際海洋法制の概要および模式図については、既に
こちらのページで紹介した。
日本が国連の「大陸棚限界委員会」に申請し認められた延伸について、それらの記事等を参考にその概略を紹介する。
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1. 2008年 (平成20年) 11月。日本は、大陸棚の200海里以遠への延伸に関し、日本周辺の太平洋7海域の海底およびその下
が我が国の大陸棚に含まれることを勧告するよう、2008年 (平成20年) 11月に海底地形や地質情報をもって「大陸棚限界委員会」に申請していた。
申請した総海底面積は約74万平方㎞に及ぶものであった(日本の国土面積は約38万平方㎞)。
2. 2012年4月になって、画像2のとおり、同委員会は4海域、総面積31万平方㎞の延伸について勧告した。
海洋法条約規定上、日本が同勧告に基づき設定する大陸棚の限界は最終的なものとなり、かつ拘束力をもつ(委員会の勧告は
事実上の認定を意味する)。因みに、勧告によってお墨付きを得た総海底面積は日本の国土面積の約80%に相当する。
3. 延伸が勧告されたのは以下の4海域である。
(1) 本州(西日本)、沖大東島、沖ノ鳥島、小笠原諸島などの200海里経済水域によって囲まれた海域には、
ドーナツの真ん中の空所のように、公海部分が残されていた。この海域は「四国海盆海域」と称される。
勧告された範囲は、延伸を申請した当該海盆海域のすべての海底およびその下であり、その海底面積は17.4万平方km。
(2) 勧告されたのは沖大東島南西の「沖大東海嶺南方海域」のうちの一部分。その海底面積は0.3万平方km。
当初延伸を申請した海底はほぼ半円形をしていたが、認められたのは小細い三ケ月形に縮小された。
(1)+(2)の海底面積は17.7万平方㎞。2014年10月1日に、当該延伸関係法令が施行された。
(3) 勧告されたのは「小笠原海台海域」のうちの大部分。その海底面積は12.1万平方km。
(4) 勧告されたのは「南硫黄島海域」のうちの一部分。その海底面積は1.0万平方km。延伸を申請した海底よりもかなり縮小された。
(3)+(4)の海底面積13.1万平方kmについては、米国との間でその境界画定に関する調整がなされる必要がある。
4. 2008年に申請済みであった、沖ノ鳥島南方の「九州パラオ海嶺南部海域」の海底面積25.2平方㎞については、勧告は先送りとなった。
5. 下記2海域については、大陸棚の延伸を認めないとの勧告がなされた。
(1) 小笠原海台海域北方の「茂木海山海域」での延伸。
(2) 「南鳥島海域」での延伸。南鳥島西方において、同島の200海里水域外の海底へ延伸する部分。
6. 最大の関心は「沖ノ鳥島周辺海域」での延伸である。
沖ノ鳥島自体が、条約規定などからして、経済水域や大陸棚を設定できる「島」ではなく設定できない「岩」であると定義される場合、
「四国海盆海域」や「九州パラオ海嶺南部海域」につき部分的あるいは全面的に延伸するための根拠を失う可能性が出てくる
かもしれない。
中国と韓国は、同委員会に対し、沖ノ鳥島は「島」ではなく「岩」であるので経済水域・大陸棚の設定は認められない、
との異議申し立てを行なった。台湾も同様の主張を表明している(台湾漁船が同島周辺水域を公海と見なし操業すること
もあった)。また、将来、国際司法の場に訴える可能性もある。
翻って、「大陸棚委員会」が沖ノ鳥島周辺での大陸棚延伸を認めるか否かが大きな注目点となっていた。
今回、同島の南側の「九州パラオ海嶺南部海域」における勧告が見送られているが、同島北側の「四国海盆海域」における北方への延伸が
認められたことから、沖ノ鳥島が「岩」でなく「島」であると認められていることの証左と受け取られている。日本にとっては、その意義は
極めて大きいものがある。
[To be continued for updating and enhancing the contents, March 29, 2025]
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