三重県・志摩半島の「大王埼灯台」
が立つ岬を一度は訪れてみたいと、鳥羽駅のある市街地を通り抜けて志摩半島を一路南下した。大王埼灯台へのゲートウェイである
波切漁港の波止場に一歩足を踏み入れて驚いた。
漁港手前の集落内の一本道を走行していたら突然視界が開け、気が付けば漁港の岸壁に辿り着いていた。そして、周辺の地理的状況が
未だ掴めていないまま、視界の中に何人もの若い女性の姿が飛び込んできた。女性たちに殆ど動きがなく静止した状態であった。
一体これはどういう状況にあるのか、暫く理解できなかった。波止場空間ではまるで時間が止まり、若い女性たちが完全にフリーズ
してしまっているかのように見た。女性たちの他には、漁師の姿も動くものは何もなかった。
車から降りて、波止場の周囲に目を凝らし観察してみた。ようやく理解できた。彼女らは、港内に浮かぶ漁船、緑豊かな鎮守の森、防波堤
に立つ灯台などに向かって、思い思いに、岸壁際に立ったまま或いは腰を下ろし、写生しようとスケッチブックと向き合っていた訳である。
彼女らの写生の邪魔をしないように岸壁沿いにそっと散策した。
散策中、「絵かきの町宣言」の案内板を見つけた。説明書きを読んでようやく彼女たちがフリーズしている訳を深めた。
大王町は「絵かきの町」であることを知った。雄大な太平洋と波静かな英虞湾に抱かれる大王町には、白亜の大王埼灯台、石畳の細道、
美しい漁港、街並み、風光明媚な海岸線、さらに豊かな自然環境の中で暮らす人々の生活など、「絵を愛する人々の創作意欲を掻き立てる
風景がある。そんな恵まれた環境を誇りにし、その保全に努力する」ことが宣言されていた。
[撮影年月日:2025.7.31/場所:志摩半島南東端の波切漁港・大王埼灯台にて]