海洋総合辞典 Comprehensive Ocean Dictionary, 特選フォト・ギャラリーPhoto Gallery, 英国深海探検船「チャレンジャー号」報告書 Report on the Scientific Results of the Exploring Voyage of H.M.S. Challenger 1873-76, 国立科学博物館National Museum of Nature and Science, 東京Tokyo

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One Selected Photo "Oceans & Ships"

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英国軍艦チャレンジャー号による深海調査(1873-76年)に関する報告書
(いわゆる「チャレンジャー・レポート」)

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英国海軍コルベット艦(3本マスト)「チャレンジャー号」は、19世紀中葉の1873年から76年まで3年半を費やして世界のさまざまな 海域において深海調査を行った。 世界の海の外洋部、特に深海部の水深測量、水質、底質、そこに棲息する生物に重点をおいて調査することが最大の目標であった。 1872年12月7日シアネスから出港、1876年5月24日スピットヘッドに帰着するまで、68,890マイルを走航し、可能な限り等間隔を 保ちながら362地点において観測と生物などの採集活動を行なった。

帰国後、「チャレンジャー号委員会」の手で調査結果が全50巻、本文3万ページ、図版3000枚以上の報告書に取りまとめられた (一般に「チャレンジャー・レポート」と称される)。特にジョン・マーリが編纂の推進役となり、 彼の献身的努力と情熱をもって、約20年間かかって最後まで取りまとめられた。報告書の最後の 2巻はマーリの筆による「総括編」で、1895年9月に刊行された。

海洋研究の世界ではいつも言われることであるが、 「チャレンジャー号」の深海調査は近代海洋学の礎を築いたと、最高の学術的評価が与えられてきた。 チャレンジャー号の深海調査とそのレポートはまさに全人類の知的財産目録に書き加えられる、海洋科学史上最高級の偉業であり、 その成果であった。 英国人は先人たちの不滅の偉業の成果を永遠に誇ることができることになった。


深海底に眠る「マンガン団塊」はこのチャレンジャー号の探検航海において発見された。太平洋においても、そのいたるところ の深海底から大量に、多い時には1回のトロールで半トンもの団塊が採集された。その大きさは豆粒大から鶏卵大まで、 時に直径10p以上に及ぶものもあった。 今回の調査によって、世界の深海底にはかかるマンガン団塊が莫大に賦存しているものと結論された。その後の研究によれば、 塊の内部ではサメの歯、鯨の耳骨、貝殻などが核となっていて、それに酸化マンガンが皮殻状に凝固していることが非常に多い。 これもチャレンジャー号にて発見されたところである。


* 画像1は「チャレンジャー・レポート」の一冊である。説明パネルには、
"Report on the Scientific Results of the Exploring Voyage of H.M.S. Challenger during the Years 1873-76"
Zoology, Volume 1 (1880), Narrative, Volume 1, First Part (1885)
と記されている。

* 画像2は「チャレンジャー・レポート」の中の挿絵(Narrative of the Cruise −201頁− の「St.Paul's Rocks」における チャレンジャー号)。挿絵には「Fig.86−H.M.S. Challenger at St. Paul's Rocks」というキャプションが添えられている。

[参考文献]西村三郎著、「チャレンジャー号探検 〜近代海洋学の幕開け〜」、中公新書、1992年、175-176ページ。

[2013.10.04 国立科学博物館・特別展「深海」にて][拡大画像: x25497.jpg][拡大画像: x25498.jpg]


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