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一枚の特選フォト⌈海 & 船⌋


One Selected Photo "Oceans & Ships"

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画家・柳原良平の「船&港の世界」(2)/絵皿に見る「あるぜんちな丸」
[大阪・なにわの海の時空館]

大阪の海洋博物館「なにわの海の時空館」が2013年 (平成25年) 3月末で閉館になる前に何んとかもう一度訪れたいと願っていたところ、 2012年10月12日に実現した。その時、閉館の間際に、運よく柳原良平氏の特別展が開催されているところに遭遇し、 願ってもない良い見学の機会をもつことができ幸運であった。

柳原良平氏は1931年 (昭和6年) 東京生まれ。1954年に京都美術大学を卒業し、現在のサントリーの前身に当たる会社に職をえた。 サントリーウィスキーのブランド・キャラクターである「アンクルトリス」を案出する。1959年に同社を退社し、フリーとなる。 開高健、山口瞳らとともに株式会社サン・アドを設立した。船・港に関する著書多数である。

個人的なことながら、私も海と船が大好きで、少年時代から外国航路船、とくにニューヨーク航路か南米航路の船乗り、 それも一等航海士か船長になって、異国の文化に触れることに強い憧れをいだいていた。そんな私には、同氏の描く 「キャプテン・アンクル」の船の絵は大好きであった。 そして、海、船、そして港々の異文化への憧れを掻き立て、その実現に向けて自身を励ましてくれた。今回の時空館見学で、 同氏の若い頃の創作活動を知ることが出来、大変嬉しく感じた。

画像は、同氏が所蔵する、初代「あるぜんちな丸」就航記念の絵皿である。説明キャプションには「1939年 (昭和14年) 建造さた 大阪商船南米航路の貨客船あるぜんちな丸の就航記念の絵皿で船ファンにとって垂涎の品である」と記されている。 「あるぜんちな丸」、そして同じ大阪商船の南米航路に就航していた「ぶらじる丸」 (1954年・昭和29年建造。2代目) は、 ともにボディーラインが実に優美な「彼女」であり、同型の姉妹船のようであった。
[2012年10月12日 大阪・なにわの海の時空館 Osaka Maritime Museum にて][拡大画像: x25730.jpg]

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1. 大阪商船の「ぶらじる丸」 (2代目)。1954年 (昭和) 29年建造。 [拡大画像: x25731.jpg]
2. 南米移民船「あるぜんちな丸」。良平氏の小学生当時から船好きな親友として今も付き合っている寺田昌平氏から贈られた 近作模型船。 [拡大画像: x25732.jpg]

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3. 大阪商船「ぶらじる丸」模型。実船が完成する1年前の1953年 (昭和28年) に大阪商船工務部から一般配置図を借りて 良平氏が制作したもの。 [拡大画像: x25733.jpg]
4. ボトルシップ「あるぜんちな丸」 (1973年良平氏作)。 [拡大画像: x25734.jpg]
特別展には、この他、関西汽船「こばると丸」 (1973年作)、大阪商船の別府航路「に志き丸」などの良平氏制作の模型も展示された。


* 柳原良平氏の主な著書
「柳原良平 船の本」、至誠堂、全5巻/「柳原良平 船の画集」、海文堂出版/「柳原良平 船の世界」、誠文堂新光社 /「船旅の絵本」、文藝春秋/「船キチ良平と氷川丸」、日本少年文庫12/「オランダ帆船と北欧フェリーの旅」 /「船とボク」ちくま少年文庫16など。

* 「柳原良平画集 船旅と世界の港町」 (講談社、昭和53年発行) には、例えば次のような船の絵が掲載されている。

    米国東海岸のミスティック・シーポート博物館の帆船「ジョセフ・コンラッド」(油絵)や捕鯨船「チャールズ・W・モーガン」(油絵)、 ボストンのグリフィン波止場に再現された茶条例事件の船「ビーバー」(油絵)、サンディエゴの海洋博物館の帆船 「スター・オブ・インディア」 (油絵)、サンフランシスコの海洋博物館の帆船「バルクルーサ」 (油絵)、バーレーンの ダウ漁船(油絵)、UAEドバイの運河に泊するダウ船 (油絵)、沼津三津浜のフローティング・ホテル「スカンジナビア」 (水彩)。 その他北欧、南米の港町での船の絵が多数掲載されている。

* 特別展では、「アンクル・ギャラリー Capt. Uncle's Gallery」と称して、良平氏が国内および世界各地で収集した 次のような船の模型・置き物が展示された。(一部、同氏に贈呈された模型もある)

    マルク諸島 (昔はモルッカ諸島と呼んでいた) の丁字の実の帆船、英国帆船のハーフモデル、ブリキの船、メキシコの椰子の実の帆船、 ハイネッケンビールの缶の帆船、アフリカの5人の民が漕ぐカヌー、インドネシア・スマトラ・バタック族のカヌー、ジャワのカヌー、 水牛の角製の帆船、中国のジャンク、香港のスターフェリー、インドの黒檀製カヌー、タイの祭り船、ナイジェリアのカヌー、 古代エジプトの漕ぎ船、チリのくり舟、ブラジルの古代漁船ジャンガーダ、シアトルのフェリー、アメリカ・インディアンのカヌー、 ペルーのチチカカ湖の葦舟、オランダの木靴の舟、ポルトガル・ナザレ漁港のコルクの漁船、エスキモーのカヌー、 スペインのコロンブスの帆船サンタ・マリアとニーニャ、ノルウェーのバイキング船、イタリアのゴンドラのオルゴール、 ギリシャの海綿採りの船、イギリスの陶製の船、ニュージーランドのマオリ族のカヌー、下田の黒船、沖縄のサバニ船、水軍軍船大阿武船、 因島水軍の船、アイヌの丸木舟、高知の鯨船、屋久島の丸木舟など。


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