一枚の特選フォト⌈海 & 船⌋


One Selected Photo "Oceans & Ships"

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旧犬吠埼霧信号所・霧笛舎と霧笛音響装置 [千葉県銚子]

画像は、千葉県銚子の犬吠埼 (いぬぼうさき) 灯台敷地内に所在する旧犬吠埼霧信号所の霧笛舎の外壁面に掲示された図絵である。 「霧笛」(むてき)と題され、金子周次氏の作である。霧笛舎は文化庁登録の「有形文化財」で、今では貴重な国民的財産である。

霧信号所とは航路標識 (灯台など) の一種であり、音波標識に分類される。 海上が霧や吹雪などのために視界が悪い時に、ヴオーと規則正しく音を発する。その音を聞いた船は信号所からの 自船の概位や方向を知ることができる。霧信号は霧笛と呼ばれることがある。

音を用いるために風音や付近の騒音の影響を受けやすい弱点があるが、その鳴り方(周期: 音を発する時間と無発の時間 との組み合わせ)が霧信号所によって異なるために、船はその信号所を識別することができる。 旧犬吠埼信号所の霧笛は、30秒間を隔てて5秒間吹鳴(すいめい)するという周期であった。

霧信号(霧笛)を発する装置には、ダイヤフラムホーン(電磁力によって発信板を振動させて吹鳴する。日本では かつて主流の方式)、エアサイレン(圧縮空気によりサイレンを吹鳴する)などがあり、犬吠埼信号所のそれはエアサイレン が用いられていた。

明治初期以来、航海安全のための重要な役目を担ってきた霧信号所も、近年の航海計器の発達などによって、たとえ視界不良となっても 船は他の方法で容易に自船の位置測定をすることが可能になったことから、順次廃止される運命をたどってきた。

因みに、霧笛舎は1910年(明治43年)に建造された。建物は堅牢な鉄構造物で、蒲鉾型(ヴォールト屋根方式)の屋根をもつ。 犬吠埼信号所としての役目は2008年(平成20年)3月末に終えた。燈台、建築、および技術史の観点から、 大変貴重な歴史的建造物として高く評価されたことから、取り壊される運命を回避し、文化遺産として後世に伝承すべく保存されてきた。

参考:犬吠埼霧信号所は1910年(明治43年)4月に運用を開始、2008年(平成20年)3月末に運用を終了し、2014年(平成26年) 12月に文化財登録原簿に登録された。

[画像撮影: 2016.5.22/銚子の犬吠埼灯台にて][拡大画像: x27185.jpg]

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1. 蒲鉾型をした霧笛舎。 [拡大画像: x27186.jpg][拡大画像: x27187.jpg(霧笛舎説明書き)]
2. 霧笛舎内に設置されている、霧笛を鳴らすための機械装置。 [拡大画像: x27188.jpg]


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