「しながわ水族館」において「品川と海」と題する展示パネルを見かけた。画像1&2はパネルに添えられた錦絵(多色摺りの木版画)である。
画像1には「潮干狩りで賑わっていた頃の品川」と、また画像2には「海苔養殖で賑わっていた頃の品川」という註釈が添えられている。
その昔、江戸湾品川沖にも江戸庶民が潮干狩りを楽むことができた干潟が広く残されていたので、花見と共に、大衆娯楽として彼ら庶民に大いに
親しまれていた、とパネルに記される。画像1では、沖合いに千石船らしき数多くの帆掛け船が碇泊し、干潟では大勢の旦那衆や奥方衆
が潮干狩りに興じ、浜が賑わっている様子が描かれている。
また、その昔、品川辺りから千葉の浦安にかけての地先浅海域において、海苔養殖が盛んに行われた。特に、品川から羽田にかけての地先海面では
品質の良い海苔の養殖がなされ、やがて「浅草海苔」の産地として全国にその名が知られるようになった。
画像2では、漁師のお上さんたちであろうか、採取され木樽に容れられた海苔を四角い型枠(海苔付け版)に流し込んで「海苔付け」をして
いる様子を描いている。
いずれの錦絵も、品川での海辺における庶民の生き生きとした当時の社会生活の情景を映している。
パネルは錦絵の作者につき記しておらず不詳である。だとしても、これらの錦絵には、豊かな干潟が品川沖にあり、江戸庶民の社会生活を豊かに
していたという遠い過去の歴史的一端が刻まれている。今では過去の多くを知るための貴重な図絵そのものである。
東京・大森の都立「海苔ふるさと館」では、品川沖などでの海苔養殖の変遷史、海苔の生産工程などの詳細について、養殖作業用の親船
やべか舟・道具、その他多くの実物陳列品、関連写真、史料などを通して学ぶことができる。
辞典内関連サイト: 品川地先での海苔養殖 [品川歴史館]
[撮影年月日:2019.4.4/撮影場所:しながわ水族館にて]
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