一枚の特選フォト⌈海 & 船⌋
[白浜海洋美術館 Shirahama Marine Art Museum]
千葉県・房総半島最南端の地に野島埼灯台が立ち、殊に東京湾に出入りする船の道しるべとなっている。その灯台のすぐ脇に創設されて
いる「白浜海洋美術館」。世界広しといえども、海洋の工芸美術にフォーカスするような美術館は他に見ないのではないだろうか。 1965年8月、柳八十一・和子夫妻が私財を投じて創建されたもので、海洋国家にふさわしいものを美術の面から探りたいとの思いをもって、 日本全国から蒐集したものを展示する。江戸時代から大正・昭和初期までの先人たちの「海への心」を感じ取れるユニークな美術館である。 最大の展示品は、房総半島発祥の「大漁半纏(はんてん)・万祝(まいわい)」とのこと。半纏とは、折り襟や胸元を締める紐がなく、 羽織のような短いうわっぱりのことである。江戸~大正時代にかけ、船主や漁師たちが大漁を祝う際に羽織ったものである。
その他の海の工芸美術品としては、弁財船などの船絵馬や大漁絵馬、手漕ぎ舟の船首飾り(例えば、いわき地方のカツオ舟の舳につけた
船首飾り)、網針入れ(網針を収納する木箱)など、いろいろである。
[雑記帳] 宮中において貴族や女官らが大勢で遊んだのであろうか、「貝合わせ」という遊び道具も稀有な展示品である
(下記画像1の右下の2つの容器がそれである)。 |
1 2 3 1. 大漁半纏・万祝の展示。画像右下にある2つの円筒形容器が「貝合わせ」の遊び道具入れである。 [拡大画像: x24186.jpg] 2. 入り口に飾られた、外房における伝統的な八手網(はちだあみ)によるイワシ漁が描かれている絵馬。「上総国夷隅郡浪花村」の浅野・ 白井氏の名が付されている。 [拡大画像: x24187.jpg] 3. 美術館の外回り風景。正面中央奥が入り口である。 [拡大画像: x24188.jpg]
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