一枚の特選フォト⌈海 & 船⌋
二本マストの木造韓船
韓国・南西部の全羅南道にある漁港町・木浦 (Mokpo・モッポ)。そこに文化財庁所属の有名な国立海洋文化財研究所 (National Research
Institute of Maritime Cultural Heritage) がある。研究所には国立海洋博物館
(National Maritime Museum)が併設されている。 画像の船は、その博物館の地先海面に展示されている、復元された木造の韓船である。博物館には、この船とほぼ同型あるいは 類似すると思われる船の模型が数多く展示されている。それらの模型船にまつわる史実や技術仕様などについては、 いずれも韓国語(プラス簡略な英語)表記であったり、時に説明書きがなかったりである。 この木造韓船の説明書きにはついにお目にかかれなかったが、外観から捉えられるこの韓船の特徴としては、
(2) 船首の形状としては、鋭角に尖った水切りではなく、現代の強襲揚陸艦のように平面的で、少し丸みを帯びている。 (3) 船首甲板に木製の大きな錨と、それを揚げ降ろしする横胴型車地(キャプスタン、巻き揚げ装置)をもつ。横胴の両端には いくつかの回転棒をそなえる。 (4) 船尾には木製の大きな中央舵が据え付けられ、その舵軸が甲板上に長く突き出ている。 (5) 右舷側上縁に沿って幅1mほどの張り出し部をもつ。左舷も同じと推測される。この張り出し部は、船乗りが帆を操作したり、 櫂を漕ぐなどのために利用されるのであろう。
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[雑記帳] 国立海洋文化財研究所&国立海洋博物館について
研究所の主な活動は、水中文化遺産の発掘・保存・展示・教育である。過去の古い沈没船、伝統的な韓船の復原、海洋
文化遺産の収集・保存、海洋交流史や民族学的研究とともに、海に隠された文化遺産の再発見よって韓国の海洋の歴史・文化を
再評価するなどの研究活動を行っている。
○ 第2展示室: 中国の商業貿易交易船の「新安船」は、1323年に中国から日本への航海途中新安沖で難破したものである。 船には中国の多様な工芸品、高麗の青磁、日本の陶器、東南アジアの香辛料、薬剤など積載されていた。沈船の船底・船側の部材も 展示されている。 ○ 第3展示室: 各種の伝統的な沿岸漁具、豊漁祭りなどの漁村民族学的な資料、1814年著の海洋水産生物辞典などが展示される。 ○ 第4展示室: 先史時代から近代までの韓国の船舶史を紹介する。古代船形土器、高麗から朝鮮時代、近代にいたるまでの 韓国の伝統船の模型などが展示されている。 |