一枚の特選フォト「海 & 船」


One Selected Photo "Oceans & Ships"

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潮の満ち干でエビを捕獲する、自らは動かないエビ・トロール漁船 (2)/その巨大な木製錨

韓国・南西部の全羅南道にある漁港町・木浦(Mokpo・モッポ)。そこに文化財庁所属の有名な国立海洋文化財研究所(National Research Institute of Maritime Cultural Heritage)がある。研究所には国立海洋博物館(National Maritime Museum)が併設されている。

画像は、同博物館の展示品としてすぐそばの岸壁に係留・展示されるエビ・トロール漁船の巨大な木製錨である。何故、こんな巨大な錨がこんな小さな漁船に 必要なのか。その漁船は、韓国語で「Meong-teong-gu-ri-bae」という名前で呼ばれ、韓国西海岸でのエビ漁に使われていた。 「Meong-teong-gu-ri-bae」とは「fool boat」(バカな船)という意味である。何故そんな名前なのか。 外見からすればエンジンを装備して自走できる漁船のように見えるが、自身では動くことができないから、という。

だが、ある意味では「環境に優しく、賢い船」ではないか。 この重くて巨大な錨を着底させて、この「船形木箱の漁船」は強い流れに抗して留めおかれるのである。そして、両舷から張り出した長いブーム・桁 に施された網の中へ、流れとともに自然と入り込んで来るエビを気長に待つのである。昨今高騰する燃油も必要なく、また漁船乗組員を常時雇い 入れるための人件費もかからない。自然をうまく利用しながら持続可能な漁撈を実現する。雨にも負けずエビ捕りを行ってくれる「賢い船」 ではなかろうか。難点は、これでは到底経済的採算が合わないということであろうか、、、、。

博物館の研究者や関係漁民が、2006年に、このエビ捕獲船が装備するのと同じような巨大な木製錨を復元した。博物館正面玄関前の広場にそれが展示 されている→ [木製錨の画像参照; 主要目:長さ8.3m、幅5m]。

[2011.09.27 木浦・国立海洋博物館(National Maritime Museum)にて][拡大画像: x24356.jpg]

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1-2 引き潮時。両舷から張り出したブームにトロール網(引き網)が施されている様子がよく分かる。
  [拡大画像: x24417.jpg][拡大画像: x24418.jpg]
3-4 満ち潮時。錨で固着された「船形木箱の漁船」の両舷に展開されるトロール網にエビが入り込んで来るのを待ち受ける様子が再現されている。
  [拡大画像: x24425.jpg][拡大画像: x24426.jpg]

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[雑記帳] 国立海洋文化財研究所&国立海洋博物館について
全羅南道の光州から南西方向へ70kmほどの距離にある木浦。研究所には国立海洋博物館(National Maritime Museum)が併設されている。

研究所の主な活動は、水中文化遺産の発掘・保存・展示・教育である。過去の古い沈没船、伝統的な韓船の復原、海洋 文化遺産の収集・保存、海洋交流史や民族学的研究とともに、海に隠された文化遺産の再発見よって韓国の海洋の歴史・文化を再評価するなどの 研究活動を行っている。

    ○ 第1展示室: 高麗時代の青磁宝船である「莞島船」が引き揚げられ、その部材や高麗青磁、航海用具、船上生活品などが展示される。 高麗青磁の大部分は康津、扶安、海南などで生産されたもので、海路を通じて地方と開京に運送する際に沈没したものである。
    ○ 第2展示室: 中国の商業貿易交易船の「新安船」は、1323年に中国から日本への航海途中新安沖で難破したものである。 船には中国の多様な工芸品、高麗の青磁、日本の陶器、東南アジアの香辛料、薬剤など積載されていた。沈船の船底・船側の部材も展示されている。
    ○ 第3展示室: 各種の伝統的な沿岸漁具、豊漁祭りなどの漁村民族学的な資料、1814年著の海洋水産生物辞典などが展示される。
    ○ 第4展示室: 先史時代から近代までの韓国の船舶史を紹介する。古代船形土器、高麗から朝鮮時代、近代にいたるまでの韓国の伝統船の模型 などが展示されている。


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