海洋総合辞典Japanese-English-Spanish-French Comprehensive Ocean Dictionary, オーシャン・アフェアーズ・ ジャパンOcean Affairs Japan, 深海底鉱物資源マンガン団塊、日本と海洋

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深海底鉱物資源マンガン団塊(その1)

1. 深海底に敷きつめられたマンガン団塊

画像は、韓国・釜山の国立海洋博物館に展示される深海底マンガン団塊(Mn nodules, manganese nodules)の写真である。 マンガン団塊が深海底においてどのような状態で賦存するかをよく示している。

ジャガイモ・サイズの黒色の塊が、玉砂利を敷きつめたように海底を覆い尽くしている。 団塊は海底土に半埋没しているのが見て取れる。 遠い将来完全に埋没し、見えなくなるのであろうか。完全に埋没していないのは、団塊の成長速度が埋没速度よりも 速いからであろうか。なおも科学的謎の多い深海底鉱物資源である。

マンガン団塊は、英国船「チャレンジャー号」による世界海洋探検の周航(1872年~1876年)において、 世界で初めて深海底から引き揚げられ、以来その存在は知られてきた。しかし、人類はその商業的採鉱をまだ経験していない。

国連海洋法条約によって、公海に賦存するマンガン団塊などの海底資源は「人類の共同財産」と位置づけられ、国連の国際海底機構 がその資源開発を管理する制度となっている。2016年現在、大国では米国のみが同条約に加入していない。

写真には、"The sea's black gold mine, Manganese nodules"、即ち「海のブラック・ゴールド(黒い金)・マンガン団塊の鉱山」 と記されている。
[写真撮影: 2016.09.15. 韓国の国立海洋博物館/釜山にて][拡大画像: x27384.jpg]



2. マンガン団塊 (Manganese Nodules) [東京・国立科学博物館/特別展⌈深海⌋ 2013]

画像は、東京・国立科学博物館で開催された特別展「深海」 (2013年7月7日~10月9日) において展示されたマンガン団塊 (Mn nodules, manganese nodules, ferromanganese nodules) のサンプルである。
説明書き曰く、「マンガンノジュール Mn Nodule: 北西太平洋の水深5,270‐5,426mでドレッジサンプラーにより採取された マンガンノジュール。核を中心に同心円状に成長している」。鉱物塊が「成長している」とは、海水中の金属元素などを 取り込みながら、更に凝集化あるいは凝固化しつつあるという意味であろう。 何万年に、あるいは何百万年に、厚さにして何ミリメートルの成長なのであろうか。大変興味を沸かせる「自生鉱物」である。

世界中の海にマンガン団塊が賦存すること、それも莫大な量にのぼることが世界で最初に発見されたのは、英国海洋調査船「 チャレンジャーI世号」による探検航海 (1873年から76年までの3年半) においてである。 帰国後「チャレンジャー号委員会」の手で、調査結果が、全50巻、本文3万ページ・図版3000枚以上の報告書に取りまとめられた (一般に「チャレンジャー・レポート」と称される)。この海洋調査とその成果は、近代海洋学の基礎を築いたと評価されてきた。

マンガン団塊は、通例数mm~数10㎝程度の、ジャガイモのような、やや扁平の球状の塊 (ノジュール、nodule) であるが、 それらが多数付着し合って板状・皮膜状あるいは層状の「クラスト」 (crust; 殻・外皮) になって、海底表面を覆っているものもある。 これを「マンガン・クラスト」 (manganese crust) という。

マンガン・クラストのうち、特にコバルトに富んでいるものは、「コバルトリッチ・クラスト」 (cobalt-rich crust) と呼ばれる。 例えば、西太平洋の海山の水深800~2000m程度の山頂や斜面に、数mm~10㎝程度の厚さで覆う板状のコバルトリッチ・クラストが見られる。 南鳥島付近の海底では、厚いコバルトリッチ・クラストの賦存が知られている。

マンガン団塊の断面は、年輪のように縞状の構造となっている。塊の中心内部では、サメの歯、 鯨の耳骨、貝殻などが核となっていて、 それに酸化マンガンが皮殻状に凝固していることが非常に多いとされる。 これもチャレンジャー号によって発見されたところである。

団塊は水深4,000~5,000メートルの平坦な深海底の表面に賦存することが多い(海底堆積泥に少しだけ没しているが、何故没して ほとんど隠れてしまうということがないのか、不思議である)。団塊はマンガンと鉄を主成分とする重金属水酸化物の塊である、 マンガンの含有に富むものと、ほとんど鉄を成分にするものとに大別される。資源として高い関心を集めるのは前者のマンガンに富む ものである。

重金属含有量の成分比はさまざまである(事例: マンガンと鉄を合わせて30~40%、ニッケル1%、銅0.5~1%、コバルト0.2~0.5%、 亜鉛0.1%程度の含有率)。 中部太平洋の海山斜面に賦存するものの中には、コバルトを1%以上も含有し、コバルト・リッチクラストとして注目される。

[2013.10.4 画像/国立科学博物館・特別展「深海」][拡大画像: x25559.jpg][拡大画像: x25558.jpg]



3. 深海底鉱物資源「マンガン団塊(だんかい)」 (実物標本 1)

標本解説パネルには次のように記されている。

「マンガン団塊: 1870年代に初めて発見されたマンガン団塊は、その後、4,000~6,000メートル の深海底に広く分布していることがわかりました。マンガン団塊は、貝殻やサンゴ、岩石、骨片などを核として成長した 直径0.5~25センチメートルぐらいの鉱物の塊(かたまり)で、多量のマンガンの他、ニッケル、コバルト、銅などの重要な 金属を含んでいます。」

[拡大画像: x21919.jpg][拡大画像: x21920.jpg][拡大画像: x22163.jpg: 解説パネル]
[2010.03.東海大学海洋科学博物館(Tokai University Marine Science Museum)にて]

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1.  展示パネルには 「海底のマンガン団塊:深海カメラが水深5,200メートルの海底でとらえたマンガン団塊です。 海底面をおおうように、びっしり敷きつめられています。提供:金属鉱業事業団」 と記されている。  [拡大画像: x21921.jpg]
2.  展示されているジャガイモ大のマンガン団塊の実物標本 [拡大画像: x22160.jpg]



4. 深海底鉱物資源「マンガン団塊」 (実物標本 2)

画像に添付された解説パネルには「マンガン団塊: ハワイ南東沖の推進5,200メートルの海底から採取したものです。 断面を見ると年輪のような模様があり、長い年月を経て形成されたことがわかります。提供:金属工業 事業団」と記されている。

また、別の標本解説パネルによれば、

「マンガン団塊は、貝殻やサンゴ、岩石、骨片などを核として成長した直径0.5~25センチメートルぐらいの 鉱物の塊(かたまり)で、多量のマンガンの他、ニッケル、コバルト、銅などの重要な金属を含んでいます。」

画像のマンガン団塊の断面中央部に見られる薄茶色の部分はその核となっているものであろうか。
マンガン団塊は非生物資源でありながら、100万年単位で見ればごくわずかずつではあるが成長=大きくなって行くと考えら れている。 [拡大画像: x21922.jpg]

[2010.03.東海大学海洋科学博物館 (Tokai University Marine Science Museum) にて; http://www.umi.muse-tokai.jp/]

 [拡大画像: x21923.jpg]



5. 深海底マンガン団塊の実物標本

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2014年10月2-4日、海洋技術に関する日本最大の展示会・シンポジウムである「テクノ・オーシャン 2014」が神戸 で開催された。画像1・2は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)によって展示された深海底マンガン団塊 (deep sea-bed manganese nodules) の実物である。画像2は、南鳥島近海の水深5,503mの深海底 (北緯24度35.7分、東経157度01.0分) から採取された マンガン団塊である。

[画像撮影: 2014.10.2 神戸「テクノ・オーシャン2014」にて][拡大画像: x26561.jpg][拡大画像: x26567.jpg]



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[2017.02.26 記]


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