一枚の特選フォト⌈海 & 船⌋
画家・柳原良平の「船&港の世界」(1)/「船の本」(全5巻)
[大阪・なにわの海の時空館]
大阪の海洋博物館「なにわの海の時空館」が2013年 (平成25年) 3月末で閉館になる前にもう一度は訪れたいと願っていた。
東京から出向いてこの博物館に何度足を運んだことであろうか。「海洋立国・日本」から又海の博物館、海の文化伝承施設が
消えると思うと、寂しくてならない。「海洋立国・日本」を標榜する中にあって、このような文化施設の一つや二つを維持
することができない昨今の現況を心から憂い悲しむ人は多いことであろう。 時空館への見学は2012年10月12日に実現した。名残りを惜しんで、これまでになく館内をゆっくりと見学した。朝から6、7時間ほど、 昼食抜きで見学し続けていた頃に閉館の案内放送が流れた。ガラス張りドーム状の本館から海底トンネルを経て、 エレベーターで地上階へ、そして一息ついてから出口へ足を運ぼうとした。 その時、出口付近で何やら展示会を開催する案内立札のようなものを見つけた。柳原良平氏の特別展の案内であった。 願ってもないいい機会に遭遇したものである。
閉館間際にその展示を知ったが故に、駆け足で展示会場を見学するはめになった。見過ごしてしまうことなく、兎に角、その展示を一通り
見学でき、満足感の増幅を覚えて館外に出た。そして、岸壁に立って、海に浮かぶドーム状の本館を見上げ、潮の香りを吸い込みながら、
西方に広がる大阪湾の海を眺めた。秋の空は夕陽で茜色に染まっていた。
めずらしく神戸・六甲山の山並みの輪郭が鮮明で、しかも近くにあった。神戸・須磨と淡路島とを結ぶ斜張橋の明石大橋も、夕焼け空の下、
小粒ながら遠望することができた。
特別展では、柳原良平氏のユニークな「船と港の世界」、そして同氏が若い時から歩んで来た船キチ人生の航跡・功績全般を たどることができた。画像は展示されていた同氏著作の「柳原良平 船の本」 (至誠堂、全5巻) である。同氏が著した船・港の絵画集 などの出版物の展示だけではなかった。 同氏が世界中で収集した数多くの船の模型や置き物なども並べられていた。また、彼がまだ学生にして、これから船と港の絵画の世界へ 駆け出そうとしていた頃に描いた船のスケッチや絵の数々、高校生~大学生当時の手描きによる船の同好会機関誌「波涛」、その他若き頃に 制作したいろいろな船模型、その製作を報道する当時の新聞記事など、盛りだくさんに展示されていた。 * 戦前に発行された大阪商船のPR誌の「海」 (一揃え84冊)、船会社の乗船・航路案内冊子などの陳列も興味深かった。 [2012年10月12日 大阪・なにわの海の時空館 Osaka Maritime Museum にて][拡大画像: x25725.jpg]
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![]() ![]() 3 ![]() ![]() 2. 高校生~大学生当時、手描きの船舶同好会機関誌「波涛」。 [拡大画像: x25727.jpg] 3. 当時京都に住んでいた小学校以来の船好きの友人・寺田昌平氏と交わした手書きの船会社ごっこの機関誌 (昭和21年~23年)。 [拡大画像: x25728.jpg] 4. 大阪川口付近 (安治川河口の天保山辺りのことか?) の船溜まり風景。これをもとに30号の油絵を製作し、関西新制作展にて入選した (1951年頃) という。 [拡大画像: x25729.jpg] |