一枚の特選フォト⌈海 & 船⌋
小樽運河・寸景 [北海道]
運河といえばその殆どは、陸地を掘り込んで、海と海、川と川、或いは海・川と湖などを人工的につなぐ水の通路 (waterway) である。
だが、小樽運河はそのような陸地を開削する運河とは異なる。本土地先の海を埋め立てて人工の陸地を造成し、その陸地間にできた
水の通路なのである。その通り路は「埋め立て式運河」と呼ばれる。 小樽運河べりには貨物倉庫が立ち並ぶ。沖合に停泊した貨物船からはしけ(艀、バージ)に船荷を積み替え、運河沿いにあるこれらの 倉庫へと荷揚げされた。波止場の大勢の荷揚げ人夫によるこのような搬出入は、戦後に入って樺太などとの交易が途絶えたりしたために、 海上物流拠点としての隆盛は廃れて行ったという。 1960年代に運河を埋め立て、道路整備などを行うという計画が構想された。運河の全面埋め立てか、全面保存か? 市当局と保存を 求める市民らとの間で紆余曲折の協議・接渉などを経て、結局のところ1986年 (昭和61年) に運河の半分を埋め立て、北海道道17号小樽港線 (通称小樽臨港線) および運河沿いのプロムナード(散策道やガス灯などを整備した臨港線部分)が建設された。プロムナード・ エリアは特に小樽の観光スポットとして脚光を浴びてきた。 夜には運河沿いにライトアップされ、昼間とは異なる趣きを醸し出す水辺風景を楽しむことができる。
運河とJR小樽駅との間の地区には、旧日本郵船、旧日本銀行、その他旧財閥系銀行などのいくつもの古い西洋風の館が軒を連ね、
小樽の往時の繁栄振りを偲ぶことができる。また、この地区には小樽市総合博物館運河館、小樽美術館、小樽文学館などの文化施設が
集中しており、散策の楽しみも倍増しよう。 |
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1. 運河沿いに倉庫群が立ち並び、往時の経済的繁栄ぶりを偲ばせる。 [拡大画像: x26094.jpg][拡大画像: x26091.jpg]
運河周辺案内地図 |