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中米ニカラグア運河建設、2014年12月22日に着工へ [ニカラグア/日本]
画像は、⌈中国主導運河が着工へ⌋と題して、中米ニカラグア運河建設工事の着工を報じる、2014年11月23日付けの読売新聞
記事である。
記事によれば、中国系 (香港系) 企業⌈香港ニカラグア運河開発投資有限公司(HKND社)⌋とニカラグア当局は、
この11月20日 (2014年) に、ニカラグア運河計画の着工を来月12月22日に行うことを決定したと発表した。計画着工日を報じた邦字紙は、
恐らくはこれが最初であろう。
運河工事着工といっても具体的に何に着手するのか、具体的に報じられていない。インターネットなどで最新情報とキーワードを探ってみた。
要点は概ね以下のとおりである。
ニカラグア政府との間で、2013年に、運河建設コンセッション契約を結んだHKND社の最高技術顧問ビル・ウィルド(Bill Wild, el asesor jefe de ingenería de HKND)が、この11月20日 (2014年) に明らかにしたところによれば、運河建設メガプロジェクトは いよいよ来月12月22日に着工されることになった。
運河建設メガプロジェクトの構成要素としては、運河建設自体の他に、太平洋および大西洋側沿岸での港湾建設、そこでの
商業フリーゾーンの建設、太平洋側のリーバス地域での⌈サン・ロレンソ(San Lorenzo)⌋という観光複合施設の建設、
国際空港や両洋を結ぶ道路および石油パイプラインの建設などである。
開始されるのは、太平洋と大西洋の両岸において建設が予定されている2港(太平洋側のブリット港、カリブ海側のプンタ・ゴルダ港)の
サイトへ向けたアクセス道路建設工事である。 国際的レベルの高い技術を要するのは、高低差32メートルの水の階段である閘門の建設、ニカラグア湖水の保全、およびその水位の 維持管理そのものである。ブリットおよびカミロ(Camilo)の2基の閘門は、長さ525m、幅員80m、水深25mの規模をもち、 また節水槽が併設されることになる。 2014年10月中旬の人口センサスによれば、運河ルート上にある1,500平方㎞上の土地に7,000家族、おおよそ29,000人の居住が確認された。 それらの土地は、法律で収用(買い上げ)されるのであろうが、ニカラグア政府当局は、収用の影響を受ける国民に対して 正当な価格での補償(賠償)を約束することになる。 メガプロジェクトに要する資金は、5.9兆円(50 mil millones de dolares、50,000 millones de dolares×118円(2014年12月現在) にのぼると見積もられている。現在までのところ、事業関係者のいずれも、その資金調達の源や方法などを示すレポートを提示 していない。 また、経済的な実現可能性(F/S, estudios de factibilidad)調査のレポートも提示されていない。 さらに、メガプロジェクトの環境的観点からの実現可能性調査はまだ完了していない。それらのレポートが提示されないままに、 12月22日に着工なされることになりそうである。
ニカラグア政府および事業者のHKND社が運河建設計画の経済・技術・財政的な実現可能性評価および環境影響評価の結果を公に示さないまま、
既成事実を積み重ねて行くことになるのではと強く懸念されている。 [関連事項] * 2012年7月3日、ニカラグア議会は両洋間運河建設の法律(la ley de construccion del canal interoceanico, Ley 800)を承認。 * 2013年6月14日、ニカラグア政府ダニエル・オルテガ大統領は、香港ニカラグア運河開発投資会社 (HK Nicaragua Canal Development Investment Co. Limited; 略称 HKND Group ) の Chairman Wang Jing 会長との間で、 運河建設プロジェクトおよびその他のサブプロジェクト (⌈ ニカラグア運河&開発プロジェクト⌋ と称される)に関する計画立案・設計・資金調達・建設・オペレーション・維持管理などの 事業権 (コンセッション) を取り決めた排他的商業協定を締結した。 * 辞典内関連サイト: ニカラグア運河 |