英国グリニッジのテムズ川沿いの国立海洋博物館(National Maritime Museum)に併設され展示される、全長86m、全幅11m、総トン
数936トンのクリッパー型快速帆船「カティ・サーク号」(Cutty Sark)。
2007年5月21日、大規模補修の途上にあったカティ・サークから出火し大きな損害を被った。修復作業を完了した現在同号は装いを新たに再び一
般公開されている。
「カティ・サーク号」の船名: スコットランド語で「Cutty」は「短い」を、「Sark」は女性の「シュミーズ」を意味する。
かくして、カティ・サーク号は「短いシュミーズ」、即ちカティ・サークを身にまとった魔女をその船首飾りにもつ。
それも、「男を乗せて自分から逃げ去って行く馬の尾の毛をその手に握りしめる魔女」をいただく。
[2013.6.3-4 英国グリニッジにて][拡大画像: x25324.jpg]
「カティ・サーク号」略史
・ 1869年11月22日、「カティサーク号」、ダンバートン (Dumbarton) のScott & Linton社の造船所で進水する。船主はジョン・
ウィリス (John Willis) である。
同号は、先ず英国~中国間の紅茶輸送に従事する。107~122日間で中国から航海し、紅茶を輸送した。当時、新茶をその生産年内に英国
に運び込めば莫大な利益を上げることができた。
(注: 同年11月17日、スエズ運河が開通する。帆船時代が急速に終焉に向かう時期と重なる。)
・ 1878年、同号は最後の紅茶輸送航海をもって引退する。その後5年間はさまざまなルートで各種カーゴの輸送に従事する。
・ 1883年以降、英国~オーストラリア間の羊毛輸送に従事する。
1885年、英国からオーストラリア(シドニー)まで72日間で航海し、大記録を打ち立てた。
・ 1895年、ウィルスは同号をポルトガルに売却する。以後27年間、ポルトガルと南米や東アフリカとの間の輸送に従事する。ポルトガルでは
「フェレイラ」(Ferreira)と改名された。
・ 1916年、Ferreiraは、南アフリカへの輸送航海中にマストを破損し、補修されないまま3本マストから2本マストの帆船へと改装される。
・ 1922年、英国人船長ウィルフレッド・ドウマン (Wilfred Dowman) が購入し、「カティ・サーク号」と元に改名される。
彼はまた3本マストに補修し直した。彼の死後、未亡人は、1936年テムズ大学に寄贈し、航海学校の練習船として使用される。
・ 1951年、カティサークトラストに寄贈される。1954年、グリニッジに移設され保存展示される。
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