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北極海航路と南回り航路のルート比較図 [釜山/国立海洋博物館]


* 拡大画像(z21144.jpg)はこちらです。

画像は、釜山の国立海洋博物館に展示される北極海航路と南回り航路のルート比較図である。 図絵によれば、北極海航路(欧州ロッテルダム~ベーリング海峡経由~アジア・釜山)の航海距離は「12,700km」で、 南回り航路(欧州ロッテルダム~シンガポール・スエズ運河経由~アジア・釜山)のそれは「21,000km」であるとされる。 当然の帰結として、航海日数は大幅に短縮され、また燃料コストも大幅に低減されることになる。

地球温暖化の影響で北極海の海氷も溶解しつつある。その海氷面積は縮小化の傾向をたどり、その最小傾向をさらに更新し続けている。 世界のさまざまな研究機関や「国連気候変動に関する政府間パネル」(IPCC) などがそれを報告し、警告を発出してきた。
* CO2の排出量が現在の水準で続くと、北極の夏の海氷は今世紀半ばに消滅する、とドイツなどの研究者が まとめ米国科学誌サイエンスに2016年4月4日付で発表した (朝日新聞・朝刊2016年11月4日)。
海氷の全面消滅よりももっと早い段階で、北極海での通年航行が確実に可能になると予測される。

北極の海氷、南極大陸の氷床、グリーンランドなどの陸地の氷河などは地球の気温を調節している。地球規模での氷の融解 は、気流や海流の循環に影響をもたらす。世界全体の平均気温の上昇が産業革命前に比べて2度を超えると、河川洪水、 大干ばつの異常発生、沿岸部の高潮・高波による浸水などの自然災害、さらに農作物への被害、病害虫の発生拡大、 海の酸性化など、農漁業や生態系への被害は計り知れない。いろいろな悪影響が予想されるなか、今後ますます 現実化したり、またある時点において人類にとって不可逆的な深刻な悪影響に直面するかもしれない。

北極海の海氷の完全融解は地球的規模で負の甚大な影響をもたらす一方、世界の海運関係者はその副次的プラスの影響 として「前向きの評価」を下すかもしれないのが、北極圏での通年通行である。航路の大幅短縮でいかに経済的実利や 恩恵を受けようと、真に褒められる話なのか。産業革命前の地球の自然環境こそが守られるべき環境ではないのか。

最近、地球温暖化の影響で北極海の海氷の溶融による面積縮小化にまつわる象徴的出来事があった。即ち、2016年の夏、大型客船 が史上初めて北極海を航行した。米国クリスタル・クルーズ社所有の「クリスタル・セレニティ号」(68,870トン) が、同年8月、太平洋沿岸の港町アラスカ州シュワードを出港し、北米大陸北岸に沿って北極海を航行し、北大西洋へ抜け ニューヨクにいたった。 [To be continued]

[画像撮影: 2016.9.15 韓国・釜山の国立海洋博物館にて][拡大画像: x27424.jpg]


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