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海辺を散歩していると思いがけなく非日常的風景に出会うことがある。
海浜の陸側にできたデューン(dune)と呼ばれる砂丘を駆け上がって広々とした砂浜海岸を見渡した。
遠くの方で、金属探知器を肩掛け、砂浜をゆっくり歩く初老の人が目に入ってきた。
最初は何をしているのか分からなかった。
そのうちにはっきりと認識できた。
耳にはヘッドフォンを付け、どんな小さな金属片からの反応音をも逃すまいという真剣さが見て取れた。
だから、かなり接近してビーチコマーの探知作業の様子を見守ったが、
彼の邪魔をすまいと最後まで声を掛けるのをためらった。
腰にはあたかも電気工のように七つ道具を収めたベルトを巻き付けている。
黒潮にのってはるか南洋の島から漂着した椰子の実の殻、
通信文を閉じ込めたガラス瓶、
遭難船からの遺品のようなもの、
何か思いがけない漂着物に出くわすかのようなかすかな期待を抱いて砂浜を徘徊する。
そんな優雅な散歩というイメージではない。
近代的「武器」を身にまとい、中世のスペイン金貨でも探し当てようとする、
何かプロのにおいが漂っていた。
何かを探知すると、その場でひざまずき、もう一つの装置で探索する。
もっと精密な探知器なのであろう。
小さなふるいで周りの砂を瀘す。
時に丹念に砂を握りしめ、手で金属片を探り当てようとする。

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米国大西洋岸ノース・カロライナ(NC)州
オーク島(Oak Island)のカスウェル公営ビーチ(Caswell Public Beach)にて。
公営ビーチに行くには、NC州Wilmingtonから少し南に位置する
小さな港町Southportからオーク島(Oak Island)へ。
目指すはオークアイランド灯台(Oak Island Lighthouse)。
公営ビーチ入り口はその灯台の数キロ手前にある。
Wilmingtonには、戦艦 North Carolina が船舶博物館として
係留展示されている。
また、Southport にはノース・カロライナ海洋博物館がある。

オーク島のカスウェル公営ビーチ。オークアイランド灯台が見える [拡大画像(x5341.jpg)][Sept. 2002]
同じ金属探知器での探査であっても、
カンボジアでの対人・対戦車地雷探査・除去とは大違いである。
地雷探知を見落としたらどうなるか?
生命への危険と隣り合わせの探知である。
カンボジアでの地雷探しと、この海辺での 「宝探し」 とが妙に重なりあってしまう。
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