その昔、帆船での動力源は人力のみであり、キャプスタン(車地)とともに、滑車は人力を効率よく発揮させる必需品
であった。展帆、畳帆、ヤードの操作などのため、また、船上での重量物の揚げ降ろしなどの作業には、大小
さまざまの滑車が単独で、あるいは滑車同士を組み合わせたテークル(組滑車)として用いられてきた。
日本丸では全体で836個の滑車が用いられているといわれる。
日本丸のように有桿錨(ゆうかんびょう)(錨の頭部に、錨爪と直角の方向に桿(かん)を差し込んだ錨)をもつ船では、それを錨鎖孔に
引き入れることができない。そのため、その錨を吊り上げて甲板上に収納するための揚降装置が必要である。この装置を
キャットクレーンといい、そのロープをキャットフォール、その組滑車をキャットテークル、錨を掛けるフックをキャットフック
という。この装置全体はキャットクレーンといわれる。
有桿錨の取り扱いには手間がかかり人手を必要とするにもかかわらず、錨桿(びょうかん)が付いている分だけ走錨*
の心配のない有桿錨が用いられてきた。一般には錨は船首両舷にある錨鎖孔に引き入れられて錨爪部分のみが見える形で格納されているが、日本丸
での船首大錨は船首部の甲板上に格納されている。なお、船首大錨の重量は約2.4トン、それに接続する片舷250mの錨鎖を
備えている。
[参考文献] 荒川博 「帆船への招待」 海文堂、昭和61年、17-18・62-63・88頁
* 走錨: 錨が海底でしっかり爪を立てて船を固定している状態から、船体に当たる風などによって船体ごとずるずると
引きずられ動き出す状態
[2010.03.日本丸メモリアルパーク(Nippon Maru Memorial Park)・練習帆船「日本丸」sail training ship Nippon Maru、横浜]
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