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瀬戸内海に突き出す広島県の沼隈半島(福山市)。半島の東側の付け根には福山市街が、西側のそれには
松永町(福山市)が広がる。半島南端には「阿伏兎(あぶと)岬」があって、国重要文化財・阿伏兎観音が岬にそそり建つ。
半島の西海岸沿いに走る県道47号線をその南端から北上する。松永町に入り、とある小さな川に架かる橋を横切る。
画像1&2に写る川の上流奥に架かる橋で、その上流のすぐ左側に市立柳津小学校がある。
かつてこの橋のたもとで川は松永湾に注ぎ込んでいたであろう。何時の日にか、地先海面が埋め立てられていった。
埋立地は川筋を残しながら湾へと突き出した。翻って、川はその埋立地の間を抜けてその先の海へと注ぎ込んだ。日本のどこにでもある
埋め立ての風景である。
多くのボートが川岸に繋留されている。この辺りの潮位差は1-3mほどである。潮が満ちて来るとボートは浮き上がり、
ボート同士ぶつかり合う危険がある。
その防止策として、細いパイプがボートの周囲にたくさん差し込まれている。正式に許可されての
公有水面の占有なのか知る由もない。引き潮ともなれば、このようにボートは着底状態となる。
松永湾奥周辺が今のように埋め立てられる以前までは、橋のある辺りに自然海岸が伸びていて、引き潮ともなればその地先に
広大な干潟が広がっていたはずである。そんな過去の自然の姿が今もこの川筋風景にほんのわずか残されている。
かつて東京湾、大阪湾、伊勢湾、瀬戸内海などの内湾沿いには自然豊かな干潟や遠浅の海が広がっていた。今では自然海岸と
地先の遠浅の海の多くが、産業・生活立地などのために垂直型コンクリート製護岸をもって埋め立てられ、いわば「成長・
発展・開発」と引き換えに失われてきた。
開発で失われる自然の干潟や浅海域、それと同程度の価値をもつ自然をいずこかの海で創造し埋め合わせするというアイデア
があるにはあった。全国の自治体でどれほど実行され、その実効性がどれほど検証されて来たのであろうか。「埋め立ては易く、
自然の補償はなし難い」という結論で終止符を打つことができる課題ではない。
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