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一枚の特選フォト「海 & 船」

One Selected Photo "Oceans & Ships"

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    海洋温度差発電所(OTEC power generation plant) のある未来臨海都市 [東京「船の科学館」での展示模型]

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    「船の科学館」(東京) には海洋開発や海洋空間利用についての未来の夢・構想を形にしたいくつかのジオラマ的模型が 展示されている。その中には、大洋の深海底に大量に賦存する鉱物資源・マンガン団塊 (manganese nodules) を連続バスケット方式で採取する 採鉱船 (a mining ship with continous bucket system) の模型も見ることが出来る。

    本画像に見る模型は、揚水発電所、洋上原子力発電所の他に、海の再生可能エネルギーを生成する波力発電所、海洋温度差発電所などを配 する未来臨海都市を形にしている。温度差発電プラントでは、海中に浅く伸びるパイプから温かい表層海水を汲み上げ、海中深く伸びる パイプからは冷たい深層海水を汲み上げ、その温度差を利用して発電する。

    [2011.8.31. 「船の科学館」での展示][拡大画像: x23988.jpg][拡大画像: x23989.jpg][拡大画像: x23990.jpg]





    OTECの一般原理について
    海洋温度差発電 (Ocean Thermal Energy Conversion=OTEC; 海洋熱エネルギー変換) の源は無尽蔵に降り注ぐ太陽エネルギーである。 太陽熱エネルギーの約70%は海洋に吸収され、表層付近の海水を温めている。 赤道の南北緯20度以内の熱帯や亜熱帯地域では、表層海水温は27~29度にも達する。他方、深海をゆっくりと循環する深層海水の温度は 、深海へ太陽熱が伝わらず、温度は世界中でほぼ一定である。例えば水深1000mでは海水温は約5度であるから、その差は20度以上にもなる。 この表層海水と深層海水の温度差を利用して、気化しやすい作動媒体(熱交換媒体)としてのアンモニア、フロンなどを沸騰させ、 そのガスをもってタービンを回転させ発電する。

    具体的には、沸点の低いアンモニア、フロン (低温で沸騰する媒体。アンモンニア水は沸点が33度と大変低い) などを、 ポンプで汲み上げた温かい表層海水をもって蒸発器内で加熱・沸騰・蒸発させる。そのガスをもってタービンを回転させ発電機で 電気を起こす。

    深層水ポンプで深い海 (例えば水深600~1000m) から汲み上げた冷たい深層海水をもって、凝縮器内で、その回転後のガスを冷却し、 元の液体アンモニアなどに戻す。そして、このサイクルを繰り返す。これが「クローズド・サイクル (closed-cycle)」と 呼ばれるOTECシステムである。

    OTECの最適地は、表層海水と深層海水の大きな温度差が得られる、赤道をはさんで南北緯20度の間に位置する熱帯・亜熱帯地域である。 OTECの実用化に向けての最大の課題は、
    ① 利用可能な海水温度差がせいぜい25度程度であるがゆえに、エネルギー変換理論熱効率、すなわち 熱エネルギーの電気への変換効率が発電原理上最大でも数%であること。

    ② この温度差を得るのに水深1000mの深層海水を汲み上げる必要があり、正味電力量 (ポンプ作動電力分を差し引いた正味の発電量) は それだけ減じられ、発電の経済性が低下することである。

    OTECの経済性を高めるためには複合的利用が不可欠であるとされる。発電と並行的に、深層海水利用によるミネラル水の製造、 海水淡水化による水不足地域への飲料水の供給、余力電力をもって水の電気分解による水素製造、深層水の採取過程におけるリチウム回収、 深層海水の冷熱利用による地域冷房化 (例えば住居・農業施設の冷房化) などへのさまざまな応用が期待される。



    OTEC技術開発の系譜・略史について
    * 1881年、フランス人物理学者ダルソンバール (Jacques-Arsène d'Arsonval)、OTECの原理を最初に考案する。

    * 1930年、フランス化学者ジョルジ・クロード、キューバで最初のOTECプラントを建設し、低圧タービンで22kWの発電に初めて成功する。

    * 1935年、クロード、ブラジル沖にて10,000万トンの輸送船にプラントを施すも、正味電力をえる前に天候悪化で破壊される。 [注] 正味電力: 生成した電力からシステム作動に必要な電力を差し引いたもの。

    * 1956、フランスの科学者たちがアフリカのコートジボワール国のアビジャンにて3MW のOTECプラントを設計したが、 完成するにいたらず。

    * 日本では、1970年頃からOTECの調査・研究が始まり、1974年に新エネルギーの研究を推進する「サンシャイン計画」の 中に組み込まれた。また、1970年代、東京電力や九州電力がOTEC実証実験を実施し、発電に成功する。

    * 1974年、米国は、「ハワイ州立自然エネルギー研究所 (NELHA) 」をハワイのコナコーストに設立し、OTECの研究を開始する。

    * 1979年8月、ハワイ島ケアホーレ岬沖で、水深650mの冷海水を取水し総出力50kWの発電実験に成功する。

    * インド、1MWの浮体式OTECプラントをタミル・ナドゥ近くで試験的に稼働させる。(年代不詳)

    * 1981年、東京電力、ナウル共和国で120 kWの発電に成功する。

    * 1982年、九州電力、徳之島で50 kWの発電に成功する。

    * 佐賀大学では、1973年から上原春男教授を中心として研究開発が続けられ、1994年に同教授グループが、アンモンニアと水との混合媒体 を冷媒に用いた「ウエハラサイクル」を開発する。 媒体に純アンモンニアを用いる従来のランキンサイクルと比較して、50~70%もサイクル熱効率が向上し、実用レベルの発電プラント を実現する。

    * 2003年、「佐賀大学海洋エネルギー研究センター」が伊万里に建設される。同センターは海洋エネルギー研究を専門 にする国内唯一の大学研究機関である。
    同施設には30 kWのOTEC実験装置、海水淡水化基礎実験装置、リチウム回収基礎実験装置などの実験装置が設置され、 OTECと同時に複合的な利用技術の確立を目指して研究開発が進められている。
    民間部門では、日本のベンチャー企業である「ゼネシス」が、同研究センターなどと共同で長年にわたりOTECの研究開発 を続けている。

    * 2012年沖縄県の発表によれば、久米島町・海洋深層水研究所で、2013年初頭に100kw級のプラント設置、実証試験を行うとの計画である。

    世界では、今後いずれの研究機関・事業体が、いつ頃どこでOTECの大規模実証プラント、あるいは実用プラントを建設するかに関心が 注がれている。



    参考データ
    * 海洋温度差発電"ウィキペディア、キーワード「海洋温度差発電」にて検索
    * 特定非営利活動法人(NPO法人) 海洋温度差発電推進機構(略称:OPOTEC:オポテック)で検索
    * NEDO再生可能エネルギー技術実白書、第7章海洋温度差発電の技術の現状とロードマップ


    関連図書
    ・ 「海洋温度差発電システムの研究―海洋環境における熱交換特性」、佐賀大学 (著)、出版社: 佐賀大学 (1979/03)
    ・ 「海洋温度差発電読本」(復刻版)、上原 春男、出版社: GEC (単行本、2007/10/25)
    ・ 「未来をひらく海洋温度差発電」、上原 春男 、出版社: サンマーク出版 (単行本、2007/01)

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