一枚の特選フォト⌈海 & 船⌋
南洋の島サイパン、その歴史・文化・自然を切り撮る
南洋の島サイパン/観光潜水艦 & 海底に眠る戦争遺物。 イエローボディの潜水艦。巨大人工プールの海底に敷設されたレール上を潜航する艦よりも桁はずれに迫力がある。 観光用とはいえ、完全自航型で無ケーブル式の本格的な潜水艦「シープスターDeepstar」である。 ゆっくりと潜航開始。深度計は23メートルを指す。各舷に7、8の丸い観察窓が並ぶ。熱帯魚、サンゴが舷窓をゆっくり流れ行く。 海底には太平洋戦争時の人工遺物が眠る。 米軍の爆撃機のプロペラや機関銃、撃沈されて鋼板がばらばらになりひん曲がる日本船「Suehiro Maru」が眼前に横たわる。 閉塞された異空間内にいる艦客のほとんどは、今では中国人である。日米海軍大国がかつて太平洋の海洋覇権を争った結果 である遺物をどんな思いで眺めているのであろうか。中国は今世紀中にさらに膨張し続け、いずれ海洋超大国となって米国と 太平洋の覇権を二分し、さらに世界海洋での覇権を掌握することをも視野に入れているのであろうか。 観光潜水艦「シープスターDeepstar」(1) (2) (3)
博物館で興味をひいたのはガレオン船の難破遺物である。 通称「マニラ・ガレオン」というスペインの交易船である (その昔、メキシコのアカプルコとフィリピンのマニラ間を行き来した。 サイパン、グアムはそのルート上にあった)。1638年9月、同島南岸沖で ガレオン船「ヌエストラ・セニョーラ・デ・ラ・コンセプシオン号」(2,000トン、全長45m)が沈没した。 博物館には沈船から大量に引き揚げられた陶器製貯蔵壺、金属の人工遺物などの他、同艦のものとされる小型砲・弾丸も展示される。
また、「サクマン・Sakman」と呼ばれる帆掛けカヌー (「飛走するプラウ船 flying proa」
とも称される) の模型も展示される。その艇体は細長く、非対称的で片舷のみに張り出す外舷浮材 (single outrigger) と、ラティーン・セール
(lateen sail・大三角帆) をもつのを特徴とする。チャモロ族の伝統的なカヌー様式である。
南洋の島サイパン/太陽が描いた「超大の水彩画」。 |