一枚の特選フォト⌈海 ＆ 船⌋
One Selected Photo "Oceans & Ships"
Back to: Top Page |
ニカラグア太平洋沿岸サン・ファン・デル・スールの海景（その2）
|
中米ニカラグアの太平洋岸の漁業&観光の町サン・ファン・デル・スール。美しい三日月形をした湾に面し、白砂の海浜がのびる。
シーズンともなれば大勢の海水浴客で賑わう。湾の北岸には海抜100mほどの急峻な丘が迫っている。その頂上には、
ブラジルのリオ・デ・ジャネイロの「コルコバードの丘」のキリスト像の小型版がそびえたつ。画像はその丘から湾を
見下ろした海景である。画像に写る岩だらけの岬はプンタ・ラ・バランカ (Punta La Barranca、ラ・バランカ岬) という。
左手には、弓なりの浜辺がのび、背後に街が広がっている。岬の背後にうっすらと
見える陸地は隣国コスタリカの海岸線である。沖合の海は、これが大洋かと疑ってしまうほどに滑らかである。
鏡のような海に、ほんのわずかに盛り上がるうねりの縞模様を見る。感動の海景である。 今ではサン・ファン・デル・スールの存在は忘れ去られているが、かつて1800年代中期の米国カリフォルニアでのゴールド・ ラッシュ時代においては、大勢の「異邦人」と、それを運ぶ蒸気船で賑わっていたはずである。パナマの中米地峡において、 そこを横断する鉄道も運河もなかった頃には、サン・ファン川～ニカラグア湖の水上ルートは大変貴重なものであった。 その当時における地峡横断最短ルートとしては、大西洋・カリブ海からサン・ファン川を遡上し、ニカラグア湖へ取りつき、 湖を西航してラ・ビルヘン辺りで上陸した。その後、リーバス地峡と称される、ニカラグア湖と太平洋との間の狭い陸地部分を、 乗合馬車などでサン・ファン・デル・スールへと通り抜けた。そこから蒸気船に乗って米国サン・フランシスコ へ向かった。もちろん、その逆ルートを行く旅人も大勢いた。「トムソーヤの冒険」を著したマーク・トウェインはサン・ フランシスコから東部海岸へ移動する時このルートを利用した。
米国の鉄道王といわれるヴァンダービルトは、このサン・ファン川～湖～リーバス地峡横断路の開拓・運営によって1850年代の
5年間で10万人の乗客を輸送したとされる。だが、1869年にパナマ鉄道の開通に伴い、早くもこの旅客輸送路としての
ニカラグア横断通航路は急速に衰退し、ついには閉鎖される運命となった。
3  4 1. 湾の北岸にそびえる丘からサン・ファン・デル・スールの湾&街を見下ろす。三日月状の浜に沿って白く泡立った波が、 綺麗な円弧を描いて収斂して行く。浜上に乗り上げては静かに消え、また寄せる白泡。海の美しいグラデーションをも切り 撮ることができた。[拡大画像: x24161.jpg] 2. 同上。 [拡大画像: x24162.jpg] 3. 湾の北岸にある断崖の丘上にキリスト像が立つ。 [拡大画像: x24163.jpg] 4. キリストの頭部を取り付ける工事中であった。 [拡大画像: x24164.jpg] ＊  中央に見えるのがニカラグア湖。中南米では、ボリビアのチチカカ湖に次いで2番目に大きな湖である。琵琶湖の13倍の面積をもつ。 湖中のヒョウタンのような島はオモテペ島 (Isla de Ometepe)。淡水湖に浮かぶ島としては世界最大といわれる。 湖の東南端からサン・ファン川がカリブ海へと流れ下る。また、湖の東南端にある米粒のような島嶼群はソレンティナメ群島 (Archipiélago de Solentiname) である。 [拡大画像: x23963.jpg] 地図1  左下の海は太平洋。右上はニカラグア湖である。左上端に首都マナグア(ピンク色)がある。右下のピンク色は隣国のコスタリカである。 ひょうたん形のオメテペ島の下に「Rivas」の文字が見える。ここが「リーバス地峡」である。「Rivas」の文字下に錨マークが 記されている地がサン・ファン・デル・スールである。(拡大地図2参照)[拡大画像: x24036.jpg]
地図2 |
|
辞典内関連サイト ・ 世界の海洋博物館－中米・ニカラグア ・ ニカラグアの海と船のある風景 [2] [2007-2009] ・ ニカラグアの彩色世界 ・ ニカラグア運河 |
Back to: Top Page |