波穏やかな碧き太平洋の上には真っ青な大空が広がる。中米・ニカラグアの太平洋沿岸にある小さな漁村ラ・ボキータ (La Boquita)
での風景。そこにはセレブさを感じさせる人工的なものは何一つない。
椰子の葉っぱで葺いただけの掘っ立て小屋、それが「レストラン兼海の家」であり、海岸沿いに7、8軒立ち並ぶだけである。
週末の今日、都会からやって来た人々が思い思いに憩う。レンタルの馬で浜をのんびり散歩する人。太平洋沿岸沿いにたくさんの
活火山があるニカラグアでのこと、砂浜は黒ずんでいる。白砂ではなく火山灰で黒ずんでいる砂を掘り起こし、母親を砂中に
埋めようと夢中になる子供たち。今日は週末であるが、人はまばらで閑散としている浜辺である。
我々は、潮の満ち干がつくり出す自然美「ハーフ・ムーン」のタイミングを気にしながら、まずは腹ごしらえとする。
ロブスターの塩焼き、海魚の姿焼き、魚介スープ、海の幸一杯のパエーリャ、、、それにビーノ・ブランコ(白ワイン)などなど、
シーフードを思い切り楽しみたい、とメニューを眺める。
ゆったりと時間が流れ、会話がはずみ、至福を感じる週末の昼下がり。海は何と平和なことか。午後の太陽が海面に反射して
キラキラと輝き眩しい。手の込んだ人工的なものがほとんどなく、あるがままの大自然に包み込まれる。ニカラグアではどこに
行ってもそう感じさせるものがある。
ランチにたっぷりと時間をかけた後、腕時計を見る。そろそろ潮が満ちて来る頃だ。今度こそは「ハーフ・ムーン」を見逃したくない。
日本からの友人二人を急き立てて、その海岸へと急ぐ。
満ち潮がつくる綺麗な海岸美、ついに半円弧を見ることができた。ものの半時間もしないうちにさらに潮が差して来た。
潮が入り込むごとに、「ハーフ・ムーン」の半円弧は、わけの分からない曲線へと変形して行った。とにかく見た、我ら大満足なり。
[2009.03.28踏査][拡大画像: x24091.jpg]
ラ・ボキータは、中米ニカラグア国の太平洋岸の小さな漁村カサレス (Casares) のすぐ近くにある。首都マナグア (Managua) から
南西の方角に位置する。
マナグアから国道2号線 (国際縦貫道路パンアメリカンハイウェイの一部。南方へ下るとコスタリカへ通じる) を走って、カラソ台地
という高みにある町エル・クルセーロ (El Crucero) を経て、さらにディリアンバ (Diriamba) へ。
そこで右折れして地方幹線道路 (2009年には完全舗装された) を通って太平洋岸へ向かう。マナグアからカサレスまで車で約2時間
くらいの行程である。
そのカサレスのすぐ北隣にラ・ボキータがあるが、いわば首都近郊の海水浴場といった感じで、海岸沿いに「海の家」風の
シーフードレストランが立ち並んでいる。
綺麗な半円形をした、箱庭のような小さな凹形の海岸があることで有名で、知る人ぞ知る名所である。
この地形を含む海岸一体は「ラス・コルティーナス」(Las Cortinas) と呼ばれている。「cortina」とはスペイン語で、
カーテン、幕、垂れ幕、幕状の物などの意味である。満ち潮になると、海水がこの凹地に入って来て一枚の幕のように見える。
潮が入り込んで来るそんな凹地が海岸線沿いにいくつも連なり、いかにもカーテンを広げたように見える。
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1. 「ハーフ・ムーン」は遠くに見える崖のコンクリート法面の下辺りにある。 [拡大画像: x24092.jpg]
2. 砂遊びに興ずる親子ら。 [拡大画像: x24095.jpg]
3. のんびりと散歩する乗馬三人連れ。 [拡大画像: x24094.jpg]
4. グッドタイミングで「ハーフ・ムーン」を崖の上から見る。差し潮と引き潮の周期がうまく合い続ければ、そのうちに
白い泡は円形に近づく。これを見る機会はかなり稀であろう。打ち寄せる波の強さ、速さ、向きなどの海象条件がそろわないと、
白波は円形をつくりださない。
今回、円形に近い「フル・ムーン」を見れることができて、超ラッキーであった。
我ら全員大満足なり。 [拡大画像: x24093.jpg]
辞典内関連サイト
・ 世界の海洋博物館/中米・ニカラグア
・ ニカラグアの海と船のある風景 [2] [2007-2009]
・ 中米ニカラグア運河
・ ニカラグア運河の旅: サン・ファン川、サン・カルロス~エル・カスティージョ
[200902.20-22]
・ ニカラグア運河の旅: エル・カスティージョの博物館
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