|
(1)太平洋と大西洋(カリブ海)とをつなぐ中米ニカラグア運河ルートに関し、2006年8月ニカラグア政府は6つのルート案を公表した。
うち、ルートNo.4とは、カリブ海沿岸の集落プンタ・ゴルダ~ニカラグア湖東岸トゥーレ川~ニカラグア湖~リーバス地峡~
太平洋を結ぶものである。その後、運河建設のコンセッション契約をニカラグア政府との間で締結した「香港ニカラグア運河
開発投資会社 (略称 HKND Group)」は、2014年7月に、運河ルートの選定を含む計画の概要(因みに運河のルート・計画規模・
環境影響配慮など)を、①「ニカラグア大運河総合開発プロジェクト
に関する設計計画報告書」、および ②「ニカラグア大運河、
2014年7月、HKND & ERM」 をもって公表した。
(2)ニカラグア政府・HKNDが選定したのはルートNo.4であった。2006年時に最も有望視されたルートNo.3(ブルーフィールズ湾・
ククラ川~エル・ラマ川上流~オヤテ川~ニカラグア湖~リバス地峡~太平洋) は退けられた。その最大の理由は、カリブ海沿岸
都市ブルーフィールズ及び周辺住民とそのコミュニティー、同市近傍の島ラマ・キー (Rama Cay) などに居住するラマ族先住民への
大きな社会的影響と、ラムサール条約登録湿地帯のもつ生物多様性などの自然環境への影響配慮であった。
(3)2006年時の推奨ルートNo.4から若干修正された上で2014年に選定されたそのルートNo.4は、下記のルート4概略図に示される
通りである。ルートはカリブ海に注ぐプンタ・ゴルダ川(Río Punta Gorda)本流に沿って遡る。同河川とカーニョ・エロイサ
(Caño Eloisa)という川との合流点 (confluencia) 近くにカルニーロ閘門(la esclusa Carnilo)が建設されるという。
その上流部には、パナマ運河のガトゥン湖のような人工湖が造られることになっている(最下図5参照)。
同湖はアトランタ湖 (Lago Atlanta) と称され、湖水面積は 395平方km (縦20km×横20㎞ほどの大きさ) である。
そして、アトランタ(Atlanta)という集落は浸水するものと思料される。
アトランタ湖の水位はニカラグア湖のそれと同じ標高に維持される(閘門システムによって32mほど水位が上げられる)。
運河は主に人工湖に堰き止められる水資源が利用され、その水量は運河のオペレーションには十分である、と報告書は述べる。
(4)また、同報告書によれば、カルニーロ閘門は1レーン式で、3段連続式の閘室(3 escaleras continuas)をもつ。即ち、3段連続する
水の階段によって標高差32mを昇降する。閘門操作による水の消費量 (閘門操作に伴う排水量) を節減するために、各閘室には3つの
節水槽(3 estanques de ahorro de agua para cada escalera)が付設される (現在パナマ運河では第3の3段連続式閘門を建設中であるが、
その新設閘門の各閘室 (チャンバー) にはそれぞれ3つの節水槽が付設される。カルニーロ閘門もそれと同じ構造と見受けられる)。
(5)ルート4は、人工湖を経て、さらにプンタ・ゴルダ川本流沿いにほぼ西方へとたどり、最奥の源流にいたる。図A・B・Cは、ニカラグア
南部のニカラグア湖東側セクションの3枚の地図である。それらの地図では、ルート4の何の道筋も大まかにしろ敢えて描かれていない。
最下部に掲載するルート図1~5(出典: 同報告書①・②)を参考に、地形を与件なく見つめながら、自由な発想で、3枚の"ルート
の白地図"をベースにルートをたどることを暫しお楽しみいただきたい。5万分の1の地図であれば、想像力を最高に発揮して
いただけるのであろうが、、、。
地図1~4は、2014年7月にHKNDが公表した図である。直線的な粗いルート図のように見えれるが、運河ルートがどのような河川筋と谷筋を通り、
開削労力を最小限にしつつ、最短距離・最低高度の分水嶺を通り、また人工湖をもってどのように水資源を確保しようとしているか、
大まかにしろ運河建設構想を理解することができよう。
[2014.9.5 初記/To be continued and revised]
|