ニカラグア運河雑論: 課題&展望(その1)

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⌈ニカラグア運河雑論⌋のめざすところは、ニカラグア運河の建設・運営管理などに関し、キーワード、重要な事実 (fact-findings)、視点・視座などを簡潔に取り纏めることである。



最近の動向

* 中米地峡およびニカラグア運河をキーワードにして過去200年ほど歴史を遡ると、中米ニカラグア国にとって、自国領土内の 中米地峡を通過する太平洋・大西洋間運河、即ちニカラグア運河なるものを建設することは積年の夢であった。

* ニカラグア政府は、2006年8月に、⌈ニカラグア大運河計画概要書⌋ (略称:GCIN)なるものを発表した。 同概要書は、ニカラグア政府によって組織された委員会が行なったニカラグア運河建設に関するいわばプレ・フィージビリティ調査  (実現可能性に関する事前調査、プレF/S調査、pre-feasibility study) の結果を 取り纏めたものである。建設に関する技術・工学、法律、環境、財務的分析などを扱っている。
⌈ニカラグア大運河計画概要書⌋ (略称:GCIN)/スペイン語公式サイト
同上の概要書/現在、部分的な和訳

* 同報告書では、最大25万重量トン級の船舶の通航が想定され、6つの運河ルートが比較検討された。 そして、最有望候補ルートとして (下記図のルート③)、カリブ海沿いのブルーフィールズ湾に注ぐククラ川→ エル・ラマ川上流部 → 分水嶺を通過して、ニカラグア湖西岸に注ぐオヤテ川→ ニカラグア湖→ ニカラグア湖東岸に注ぐラス・ラハス川→  太平洋に注ぐブリット川を結ぶ、総延長距離 286km (パナマ運河の3倊以上) に及ぶルートを推奨する。




* 2013年6月14日に、ニカラグア政府ダニエル・オルテガ大統領は、香港系企業の⌈香港ニカラグア運河開発投資会社⌋ (HK Nicaragua Canal Development Investment Co. Limited; 略称 HKND Group) のChairman Wang Jing会長との間で、運河建設プロジェクトおよびその他のサブプロジェクト (⌈ニカラグア運河&開発プロジェクト⌋と称される) に関する計画立案・設計・資金調達・建設・オペレーション・維持管理などの事業権(コンセッション)を取り決めた排他的商業協定 を締結した。
・ サブプロジェクトとしては、港湾、国際空港、自由貿易区、およびカナル・セコ(canal seco)と称される鉄道・原油パイプ ラインのインフラ整備などが含まれる。
・ 事業権の付与期間は50年間であり、その後50年間の延長も可能とされ、最大100年間である。
・ ニカラグア議会は、大統領・会長との調印の前日(2013年6月13日)に、同協定の締結について承認した。

* ⌈香港ニカラグア運河開発投資会社⌋(HKNDグループ)とはいかなる会社か。

      同投資会社は、2012年11月7日に、グラン・ケイマン(Gran Caimán)において設立された。
      本社は香港。
      ニカラグアにおいては、首都マナグア所在の弁護士事務所が同会社を代表する。
      会長はWang Jing (2013年現在、40歳)。
      HKNDはコンソーシアムを組織するいくつかの構成員のうちの筆頭会社なのか? 
      HKNDは中国国営銀行あるいは国際的な大手銀行によって出資(融資)されているのか?
      コンソーシアムの構成員は、⌈中国鉄道建設会社(China Railway Construction)⌋である。 その他、Wang会長の会社の ⌈Xinwei Telecom Enterprise Group⌋である。それらの出資の構成比率はいかに。 企業活動はいかに。

* 総論としては、同協定締結によって、ニカラグアの積年の夢の実現に向けた第一章の1ページがめくられたことを意味する。 ニカラグア国民にとって記念すべき歴史的な日といえよう。 (但し、真の記念日となるかは、今後の運河建設に関わる進捗と 歴史的評価を待たねばならない)。

* 今後、特に運河建設の実現に向けてどのような工程を進み行くのか、HKNDグループの取り組みの進展などに関し、 注視して行きたい。 注目点については、例えば:
・ 中米地峡第二の運河の「2006年のニカラグア大運河計画概要書に次ぐ本格的なフィージビリティ(実現可能性)調査《の実施、
・ 詳細な環境・社会的影響評価、
・ ルートの最終選定、
・ ニカラグア湖西側のリーバス地峡における閘門 (船舶の昇降のための水の階段) の建設位置と内容、
・ 全閘門の安定的オペレーションに欠かせない巨大水源 (ニカラグア湖に加えて、その他の人工堰き止め湖あるいは貯水湖など)  に関する技術的実現可能性調査、
・ 船舶通航量などの将来予測(プロジェクション)の精査、
・ 数兆円に及ぶ巨額資金の調達・返済計画および運河とサブプロジェクト事業の長期収支バランス (運河建設・運営管理などの全歳出 と通航料などの全歳入および資金返済などの長期収支シミュレーション) 
などに関して、今後の進捗・見通しにつき強い関心が払われることになる。

* HKNDグループは、天然の大水源であるニカラグア湖から流れ下るサン・ファン川 (コスタリカと国境を接する) を経る候補ルート  (下記図のルート⑥のことと思料される) を選択しないことは既に決定済みである、と協定締結の早い段階で発表した。 (100km以上にわたり国境を接するコスタリカとの利害調整に多大な時間、労力をかけたくないとのニカラグア政府の意向が 働いているものと推察される)




ニカラグア政府によって2006年に公表された⌈ニカラグア大運河計画概要書⌋ (Gran Canal Interoceánico por Nicaragua / GCIN - Perfil del Proyecto; 略称GCIN) において運河の候補ルートとして 選定された6ルート(A, Bの①~⑥)の概略図を示す。

A

B

画像説明:
A=2006年概要書で比較検討された6つの候補ルートと、ルート①~③の拡大図。③は最有望候補とされるルート。
B=大西洋側のプンタ・ゴルダとニカラグア湖とを結ぶルートとして2つのルート④と⑤がある。画像に示されているのは、 そのうちのルート⑤およびリオ・サンファン川に沿うルート⑥である (出典: A・Bとも同概要書)





2014年7月7日のHKNDグループ・ワークショップにて公表された資料、⌈ニカラグア大運河総合開発プロジェクトに関する 設計計画報告書⌋(西語: Informe de Plan de Diseño, Proyecto de Desarrollo Integral del Gran Canal de Nicaragua)

1

* プロジェクトは、運河建設の他に、港湾、空港、道路、自由貿易区、観光複合施設などを整備する6つの関連サブプロジェクトからなる。 公表された資料における運河建設計画に関する要点は以下の通りである。

* 2013年3月以来、HKNDグループは、CRCC(China Railway Construction Company)、Mckinsey、ERM(Environmental Resources Management)、およびMECなどと協力して調査研究を行なってきた。 CRCCは、フィールドにて地理、地質、水文(陸水・hidrología)関連の調査を行なってきた。 又、環境、社会、経済、技術的諸要素を統合&総合しながら、運河ルートの詳細調査を行なってきた。

従前の調査で6ルートが選定されていたが、そのうちのルート3および4に焦点が注がれてきた。ルート3は、水資源や水の調達の観点から ルート4よりも優位であること、又プロジェクトへの投入額が3%ほど少なくて済むことになり、ルート4よりも優位性がある。 しかしながら、世界的に注目を浴びている環境・社会的インパクトを減じることに十分配慮するという観点から、ルート4が推奨される。

* ルート4の地理的位置について
太平洋側での運河への入り口はブリット川河口近くとなる。ニカラグア湖西岸における運河への入り口はリーバスの南側に位置する。 ニカラグア湖東岸での運河への入り口はテューレ川の北に位置することになる。カリブ海側での運河への入り口はプンタ・ ゴルダ川河口近くとなる。運河の推定される総延長距離は278kmである(ニカラグア湖を通過する区間の105kmを含む)。

* 主要な技術仕様
運河の計画幅員は230~520m(船舶待避のための側湾では幅員520m)、計画水深は27.6m~30mである。25,000TEU積載コンテナ船、 40万トンのばら積み船、32万トンの石油タンカーの通航を可能とする。年間通航可能量は5,100隻で、船舶の通過所要時間は30時間である。

* 運河には2つの閘門が建設される。太平洋側では、ブリット閘門(la esclusa Brito)がリーバス県内の村落リオ・グランデ 近くに位置することになる。 カリブ海側ではカルニロ閘門(la esclusa Carnilo)が、カーニョ・エロイサ(Caño Eloisa) およびリオ・プンタ・ゴルダの 合流地点近くに建設されることになろう。

* 閘門は一つのレーンで、3連続式の閘室の階段(3 escaleras continuas)をもつ(3段の水の階段システムをもつことになる)。 水資源を節約するために、又閘門での水の消費量 (閘門操作に伴う排水量) を減じるために、各閘室につき3つの節水槽 (3 estanques de ahorro de agua para cada escalera)が付帯して設けられることになる。

* 運河のオペレーションによってニカラグア湖の水位に実質的な変位をもたらすことなく、基本的にいつもの状態を維持する。 ニカラグア湖流域の住民らの生産活動にも、又家庭への水の供給においても、影響をもたらさすことはない。 運河はプンタ・ゴルダ川を堰き止めてできる水を利用することになる。即ち、カリブ海側のアトランタ(Atlanta)の近くに、 パナマ運河のガトゥン湖のような人工湖を造る。アトランタ湖と称され、その湖水面積は395平方kmである。 その水量は運河のオペレーションにとって十分である。 アトランタ湖の水位はニカラグア湖とそれと同じ高さに維持される。アトランタ湖は生態、観光、水産養殖面での中核として開発される。

* 運河プロジェクトの建設期間中、運河に沿って浚渫土のデポジットが設けられることになる。そのデポジット区域が占める 総面積は158平方㎞である。当該デポジット区域の表面は平らにされ、土壌品質の高い農業用土地として利用される。 あるいは再生措置を取った後に他の案をもって利用されよう。

* 中国国家地震局地質研究所の研究によれば、火山は運河の通常のオペレーションに負の影響をもたらすことはない。 国際的にみてより最先端の設計理論を採用することによって、運河建設上十分な対策を施し、地震が発生しても搊害を被らない、 又所作に対して負の結果をもたらさないとの保証がなされる。

* 港湾開発: 太平洋側にブリット港、カリブ海側にプンタ・アギラ港が建設される。
・ ブリット港: 石油タンカー用埠頭1、多機能の埠頭1が建設される。多機能埠頭は、運河建設終了後には自由貿易港の 埠頭として利用される。 又、石油タンカー埠頭は石油製品の輸入や船舶への燃料供給に役立てられる。年間の受け入れ規模としては、 石油関連製品280万トン、TEUコンテナの195万個である。
・ プンタ・アギラ港: 280万トンの石油関連製品、265万個のTEUコンテナの受け入れ。
自由貿易地区: ブリットには商業貿易区が設けられる。パンアメリカン道路やリーバスへは20㎞、首都マナグアへは120km、 観光複合施設へは8㎞、サン・フアン・デル・スールへは17㎞、リーバスの新規空港へは16㎞の距離にある。

2
2=両洋間運河ルート図、アトランタ人工貯水湖、その他空港、港湾、自由貿易区、観光複合施設などの主要サブプロジェクトを示す。
3
3=閘門(水の階段)は、3つの連続した閘室(チャンバー)、および閘門での水消費量 (閘門操作に伴う排水量) を減じるため、 各閘室につき3つの節水槽からなる。
4
4=従来からの6つの候補ルートと自然保護区などとの位置関係を示す。
* 画像の出典: 1=下記参考資料の(1)の⌈ラ・プレンサ⌋ネット記事。2~4=(2)の付属資料


[参考資料]
(1) ニカラグアの新聞社⌈La Prensa⌋のネット記事、 ⌈HKND presenta ruta del Gran Canal de Nicaragua⌋, 7 julio, 2014.
執筆者 Leonor Álvarez.
> http://www.laprensa.com.ni/2014/07/07/ambito/202195-hknd-presenta-ruta-gran

(2) ⌈Confidencial⌋社のネット記事、⌈Aunque aún no tienen estudios de viabilidad técnica, económica o ambiental Gobierno da OK a ruta del Canal⌋, 7/7/2014.
執筆者 Wilfredo Miranda Aburto、
> http://www.confidencial.com.ni/articula/18340/hknd-le-da-ok-a-ruta-del-canal






2014年7月7日のHKNDグループ・ワークショップにて公表された資料、⌈ ニカラグア大運河、2014年7月、HKND & ERM ⌋ (西語: Gran Canal de Nicaragua, Julio de 2014, HKND Group/ERM)。その運河関連計画の要点については以下の通りである。

* ニカラグア運河はより大きな船へのサービスを提供し、アジアと米国東岸および欧州の諸港とをより短いルートで結びつける。 将来には、WTO発表の最近の世界成長よりも3倊もの世界商業発展が見込まれるとが期待される。それは船復(la capacidad naviera) へのより大きな需要を作り出し、次の10年間にパナマ運河における混雑をもたらすことになろう。
船舶の大型化は現存運河の通航可能容量(la capacidad de los canales existentes)を上回ることになろう。 船腹がより大きく効率性の良いコンテナ船はパナマ運河を通航できなくなって行くこととなろう。
第二の中米運河は、より低コストの新海上商業輸送ルートを提供し、もって世界規模で海上輸送需要を満たす上で大きな役割を 果たすことになろう。

* EIASのためのプロジェクト概要
・ 両洋間運河について: 運河の総延長距離は約278km。可航船舶としては、25,000個積載コンテナー船、40万積載重量トン(dwt) の石油タンカーおよびばら積み船。 計画水深は27.6m~30m。計画幅員は230m。尚、幅員520mの通過待避に供される側湾(bahías laterales de paso)が建設される。
・ 閘門: カリブ海および太平洋側に建設される。開削されるおおよその最大標高差(máxima elevación aproximada del corte) は、「~海抜200メートル《(海抜: msnm/metro sobre nivel marítimo)である。

* これまで確認されてきたルート: ニカラグア地峡東側・カリブ海寄りのルート区間について。
・ ルート1&2: ブルーフィールズ湾とセロ・シルバ保護区。
・ ルート3: ブルーフィールズ湾とセロ・シルバ中央地域。
・ ルート4: プンタ・ゴルダとトゥーレ川。
・ ルート5: プンタ・ゴルダ、サン・ファン川、サン・カルロス。
・ ルート6: インディオ・マイス、サン・ファン川、サン・カルロス。

* ルート1&2の削除
ナグーナ・ペルラス(Laguna Perlas)とブルーフィールズ湾には、絶滅が危惧される海亀4種が棲息する。ブルーフィールズ湾は ラムサールの湿地帯(humedal)に指定されている。ブルーフィールズ湾と河口域の水の力学的特性(la hidrodinámica)への 潜在的インパクト、エコシステムへのインパクト、隣接する珊瑚礁・先住民の重要な居住地域・人口の多さ・工学とコストへの配慮。

* ルート5&6の削除
ニカラグアの行政府の決定によって(decisión ejectiva del Gobierno de Nicaragua)、サン・フアン川が絡むルートは削除された。
環境上の理由がある: インディオ・マイスの生物学的保護区へのインパクト、エル・コラルにおける海亀の営巣(anidamiento) の重要な場所であること、サン・フアン川のエコシステムへの考慮。

* ルート3&4との比較: 生物多様性との関連項目(保護区、RAMSARの湿地帯、陸上棲息域の質、河口域(estuarinos)、 サンゴと海亀の絶滅危惧種の存在。
社会・経済的なインパクト: 人口、先住民の村落、社会的な変革、文化的な感受性(センシビリティ)。

* ルート3の削除
・ IFC PS6*エコシステム関連: ルート3は、影響を受ける村落(コミュニティ)にとっては、エコシステムには 高い優先順位が付与され、それにかなりのインパクトがもたらされることになる。ブルーフィールドのコミュニティは、 ブルーフィールド湾によって形成されるエコシステムに大きく依存している。
・ IFC PS6*決定的な重要性をもつ(クリティカルな)棲息域: ルート3は、ブルーフィールズ湾内のラムサール 関連区域にインパクトもたらし、 又重要な棲息域に対する宣言の動議付けにもなった生物多様性の価値に重大な負の影響をもたらし、又その生物多様性を源にして維持 されている生態学的プロセスに負の影響をもたらすことになる。
・ IFC PS7*先住民部落: ルート3は、ブルーフィールズ湾やラマのコミュニティがもつ伝統的な領域(テリトリー)に対して 影響をもたらし、ラマ・キーおよびそこに居住する人々ならびに伝統的な文化の中心や中枢に影響をもたらす。

* 調整されたルート4、選定されたルート
選定ルート: 25,000TEU積載コンテナ船、40万積載重量トン(dwt)船、計画吃水27.5-30m、計画幅員230-520m(通過待ちのための 側湾を含む)。閘門はカリブ海・太平洋側に各1つずつ。
選定ルートの実現可能性(viabilidad)に対して抑制的な効果をもたらす諸項目: 生物多様性(保護区、ラムサール、ユネストの生物圏(Biosfera)保護区、 種に関する国際自然保護連合(UICN)およびニカラグアのレッドリスト(lista roja)、メソアメリカの生物回廊(Corredor Biológico Meso-America)、 非自由意思による再入椊。

(以下内容省略)
* 資料に提示されたその他の諸項目
生物多様性*保護区について。
生物多様性*危惧種について。
ニカラグア湖と水資源。
先住民の村落。
非自由意思による再入椊。
熱帯森林の被覆傾向。
ネット・ポジティブ・インパクトの概念。
インディオ・マイスとプンタ・ゴルダ保護区の保全。
サン・ミゲリートのラムサール関連サイト。
再入椊*より良い土地へ。
実際の活動*生物多様性と水の質について。
進行中および将来における活動。

資料吊
・ ルートの完成図*カリブ海側の入り口、セロ・シルバ自然保護区を横切るルート、主要環境および社会的インパクトなど。
その他、Corredor Biológico Mesoamericano, Bajo Punta Gorda, Cruze de Territorio Indigena, Efectos Potenciales en Booby Cay, Efectos Potentiales sobre Tortugas Marinas, sobre el Delfin de Guyana, Estrategia de Mitigación del Impactos.

・ ルート完成図: アトランタ~トゥーレ、主要環境・社会的インパクト。アトランタ閘門~トゥーレ、主要な環境・社会的 インパクト、インパクト軽減のための戦略。
・ ルート完成図: ニカラグア湖、主要な環境・社会的インパクト。
・ ルート完成図: 太平洋入り口、主要な環境・社会的インパクト、インパクトの軽減措置。
・ 要約: 暫定的な結論について。





課題&展望/視点・視座について

* 海上貨物輸送量(荷動き)
全世界における貿易貨物の輸送量、そのうち海上貨物の輸送量(荷動き)の推移は拡大しているといえるが、その傾向および 将来に向けたプロジェクション(将来の需要予測)はいかに。又、主要貨物の地域間別(輸送ルート別)、船種別の海上貨物輸送量 の実績および将来の需要予測はいかに。その予測の有効性はいかに。

* 船舶の大型化
経済的スケールメリットの観点から船舶は大型化の傾向にある。船種および大きさ別の世界の船腹量に関し、過去の実績の推移と 将来の需要予測はいかに。 因みに、Panamax, Postpanamax, Nicamaxサイズの船舶建造の実績と将来の需要予測はいかに。

* パナマ拡張運河の展望など
パナマ拡張運河の閘門の大きさ、閘門開閉に要するオペレーション時間数とそれによる制約、閘門開閉に伴う水資源使用量 (排水量、節水可能量)とそれから見た船舶の日間・月間・年間の最大通航可能量、通航量の限界点はいかに。船舶通航量が 再び飽和状態になることの将来予測はいかに。
それらデータから予見される、パナマ拡張運河の再拡張工事(あるいは、第二パナマ運河の建設)、ニカラグア運河建設の必要性、 妥当性はいかに。 パナマ拡張運河とニカラグア運河との間の予見しうる競合関係はいかに。

* パナマ拡張運河、ニカラグア運河、南米大陸大回りルート、北極海南西航路・北東航路の輸送コスト(時間節減含む)のもつ競争力 (competitiveness)に関する比較考量はいかに。北極海航路の利用度アップによる運河利用へのインパクト。

* ニカラグア運河の展望について
・ ポストパナマックス・サイズ~25万重量トン級船舶の建造に関する需要予測はいかに。
・ パナマ運河の拡張工事が2016年には完成するとの状況下 (当初計画では2014年に完成予定であった)、ニカラグア運河の 通航に関する潜在的需要予測とその精査はいかに。
・ 運河通航料の設定はいかに。
・ 運河建設費等の資金調達および償還計画、運河建設・事業運営の全歳出と年間最大通航料などの全歳入および資金返済等の 長期収支バランス予測、経済的採算性 (単年度・中長期) はいかに。

* ニカラグア運河ルート3および4における人工湖、閘門操作、水資源の収支バランスについて
2006年のニカラグア大運河計画概要書において最有望候補ルートとして推奨されるルート3、および2014年のHKND グループ・ワークショップにて公表された⌈ニカラグア大運河総合開発プロジェクトに関する設計計画報告書⌋で 選定されたルート(従前の候補ルート4)について、
・ ニカラグア湖(自然湖、自然貯水湖)以外に、閘門の安定的オペレーションに欠かせない水源としての⌈人工堰き止め湖 (貯水湖、貯水調整湖)⌋(パナマ運河の人工貯水湖であるガトゥン湖と同じような湖)を地理地形学的な観点から、 いかように設置することができるか。その技術的実現可能性はいかに。
人工湖の地理的位置、流域面積、最大湖水面積、年間平均貯水量、水量の年間収支見込み、水位差、閘門数と閘室数、 閘門のオペレーションに伴う水の平均使用量(排出量)と節水可能システムはいかに。

・ 因みに、日本の琵琶湖・パナマ運河のガトゥン湖・ニカラグア湖・ニカラグア運河の人工貯水湖について:  周辺の分水嶺によって取り囲まれる流域面積、年間最大および平均貯水量、水量の年間収支。




関連資料 (インターネットからのニカラグア運河関連記事・資料含む)
● ニカラグアの新聞社⌈La Prensa⌋のネット記事、 ⌈HKND presenta ruta del Gran Canal de Nicaragua⌋, 7 julio, 2014.
執筆者 Leonor Álvarez.
> http://www.laprensa.com.ni/2014/07/07/ambito/202195-hknd-presenta-ruta-gran

● ⌈Confidencial⌋社のネット記事、⌈Aunque aún no tienen estudios de viabilidad técnica, económica o ambiental Gobierno da OK a ruta del Canal⌋, 7/7/2014.
執筆者 Wilfredo Miranda Aburto、
> http://www.confidencial.com.ni/articula/18340/hknd-le-da-ok-a-ruta-del-canal

● ⌈中米⌈新運河⌋建設を狙う中国 * 米国の⌈裏庭⌋を掻き乱す戦略 * ⌋、定期刊行雑誌 ⌈選択⌋、2013年7月号、No.461(年間定期購読誌)
● ニカラグア運河、環境関連記事→ http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20140226005
● ニカラグア運河、中国+ロシア関連記事→ http://japanese.ruvr.ru/2014_04_08/270932638/
● 青森市ホームページの⌈あおもり今・昔⌋ No.71
⌈淡谷清蔵とその時代(下)⌋
 (注:「広報あおもり《2000年7月1日号に掲載されたもの)に以下のような記載がある。 ⌈市制施行したばかりの青森市が最も力を入れて取り組んだ政策は、青森港の外国貿易港としての開港であった。当時 ロシアではシベリア鉄道を建設中であり、米国では中米に大西洋と太平洋を結ぶニカラグア運河(後にニカラグアに代わり、 パナマ運河を開削する)を開削していた。青森市民はシベリア鉄道の終着駅であるウラジオストックと北米間航路の中継地として、 ……⌋





地理などの事実関係

● ニカラグア湖について/西語: Lago de Nicaragua, Lago Cocibolca, Mar Dulce Gran Lago, Gran Lago Dulce, Lago de Granada  (現地では Lago Cocibolca、または Mar de dulce「淡水の海《とも呼ばれる)。

    湖の表面積 surface area:  8,264 km2 (3,191 sq mi)
    流域面積 catchment area:  23,844 km2(確認中)
    最大水深 max. depth: 26 m (85 ft.)
    平均水深 average depth: 上明
    貯水量 water volume:  108.00 km3 (確認中)
    湖水面の標高 surface elevation:  32 m(100 ft.)
    湖内の島嶼: 400 islands (Ometepe, Zapatera, Solentinameなどの島)

* 中米では最大である。中南米(ラテンアメリカ)ではチチカカ湖(Titicacaよりわずかに小さい)に次いで2番目に広い湖、 世界では10番目に大きい淡水湖である。面積では世界で21番目に大きい。
マナグア湖(Lake Managua)とは、ティピタパ川(Tipitapa River)でもって断続的につながる(intermittently joined)
* 淡水溯上性をもつオオメジロザメが生息し、ニカラグア湖からカリブ海に注ぎ出るサン・ファン川で見られる。 ニカラグア湖はサン・ファン川にてカリブ海につながり、歴史的に湖の北西岸に発展してきた都市グラナダは「大西洋の港《と 位置づけられる。
* パナマ運河完成以前においては、ニカラグア湖岸から乗り合い馬車にてリーバス地峡といわれる小高い丘を経て太平洋側へ 通り抜けていた。 最初の大洋間運河計画としては、このサン・ファン川~ニカラグア湖~リーバス地峡を利用するニカラグア運河が考えられたが、 最終的にはパナマ運河が建設されるにいたった。現在までニカラグア国内では政権交代の機会ごとに自国領土内を通す運河の 建設計画が持ち上がってきた。




Under construction

パナマ運河
採算:中国、日本、韓国など東アジアー米国東部の海上貿易量拡大程度、世界・アジア経済の活性化拡大、船舶大型化の見込み、歳入増加 運河の拡張化、輸送効率化への要求。 パ吊マックスサイズ:33m以下、ゆえにそのままだとパナマ運河を通行できない大型船は2011年にはコンテナ船総数の 37%に達するとの見込み。これが早まっている?

通航量自体も年々増加、混雑化のために利用できない船も増加している。 運河拡張工事後、幅49m通航可能、積載量は現在の3倊の大型船可能。

現在運河からの国庫収入歳入4億8900万ドル、円570億円、運河拡張で現在の倊以上の歳入見込み。 ニカラグア運河、採算はどう取れるのか、世界貿易量はどこまで伸びるか、伸びのプロジェクションからして 建設は上可欠か?






2. リーバス地峡は別として、ニカラグア湖*カリブ海ルートは長距離、海抜100mの地理を40*50km にわたりルートが含まれる通過する。そのルートは。水路の開削ルート、閘門建設位置と数、人工貯水池・貯水量の確保など技術的課 乾期雨季対策*毎年の大洪水・水量の増減は激しいその調整法、10年のハリケーン対策、地震対策、大木の流出、50*100年に1度の、、

3. 環境への配慮。最大の課題は開削された両岸の沖積層のイロージョン浸食作用、じゃかごによる保護、 土のうによる、浚渫、事故対策油濁事故、沈没事故、椊林を大々的に土壌浸食徹底的防止、両岸の法面を噴射式種子噴射、 法面コンクリートブロック+樹木椊生、両岸200kmにはカカオ栽培椊林など、環境への最大の配慮。 大陸迂回回避による船舶燃料CO2排出削減に貢献。

* 世界の貿易量に影響する要因: 世界人口2012年で約71億、20120には77になると予測されている。人口増に伴い穀物の 世界貿易も2014年現在の約30%増の4億7000万トンに拡大するとみられている。




過去の系譜概略

* 中米地峡の運河建設計画が着手された19世紀には、パナマルートとニカラグアルートの2つの計画あった。 世界で10番目の大きさをもつ淡水湖があるニカラグアルートが有利と考えられ、有望視されていた。

しかし、19世紀半ばに米国カリフォルニアにおいてゴールドラッシュ時代を迎えると、米国東部からカリフォルニアへの道筋として、 パナマ地峡と、ニカラグア地峡、即ちサン・ファン川を溯上しニカラグア湖へいたるルートが利用された。

ニカラグアルートを開設したのが米国鉄道王バンダービルトで、多くの旅客を運んで巨万の富を築いた。 バンダービルトがニカラグア地峡通行ルートの独占権を確保したために、当時世界の海を支配していた英国との間でこの地域の 利権をめぐり衝突した。
当時の米国はまだ英国と対抗できる軍備はなく、その妥協策として英国政府との間で、ニカラグア運河建設には英米両国会議を 必要とする条約を締結した。

その後、米国は、米西戦争によってカリフォルニアをはじめ太平洋西海岸まで国土拡張するにいたったこと、軍事的観点から 太平洋と大西洋の艦船移動が求められたことから、中米地峡に運河を建設することが一層重要となり、パナマ運河建設と並行して、 サン・ファン川を利用した運河建設の候補地として関心をもつようになった。

米国はフランス運河会社からパナマ運河建設の権利を買い取り、パナマの商人たちと組んでパナマをコロンビアから独立させ 建設に取り掛かった。

1914年には、米国は、ニカラグア運河の独占掘削権を買い上げた。これには政治的意図として「ニカラグアには運河を作らせない《 という意図があった。パナマ運河はすでに1914年に完成しており、ニカラグア運河は必要なかったはずである。 ニカラグアにとっては、自国への恩恵をもたらす可能性のあった運河建設の夢が断たれたことにもなり、屈辱感が残った。 米国にとっては、他国がニカラグア運河を建設したら自国にとって大きな脅威になる可能性があったことが背景にある。

1848年以降のゴールドラッシュの際には、米国人らは、米国西部への移住者は東部からパナマまで船で渡航し、そこから51kmしかない陸路を 強引にたどり太平洋に出て、船でカリフォルニアへ向かうパナマルートを志向するようになった。米国の郵船会社がパナマ地峡横断 鉄道を建設した。それによってパナマ運河の建設は可能性を帯びた。他方、レセップスが米国に先駆けて運河建設に着手したが、 彼の建設事業は財政的に破綻を来たし挫折した。

米国セオドア・ルーズヴェルト大統領は、1904年コロンビアからパナマを独立させ、運河の建設に着工した。運河管理権を永久に 米国の下に置くこととした。1914年ウイルソン大統領の下でパナマ運河が完成した。

Before construction of the Panama Canal, a stagecoach line owned by Cornelius Vanderbilt's Accessory Transit Company connected the lake with the Pacific across the low hills of the narrow Isthmus of Rivas. パナマ運河の建設前では、コーネリュース・ ヴァンダービルト・アクセサリー・トランジット会社によって所有された定期駅馬車がリーバス地峡の低い丘を越えて太平洋と湖を結んだ。 ニカラグア運河は大洋間運河のルートとして優位性があたったが、パナマ運河が建設された。パナマ運河との競争を鎮静させるために米国は1916年のByyan-Chamorro Treatyにおいて、このルートに沿っての運河に対する全ての権利を取得した。その他のニカラグア運河ルートの アイデアが定期的に浮上する。エコカナル(ecocanal)はそのプロジェクトの1つである。

1999年末に運河の所有権が米国からパナマへと返還された。


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