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中米のニカラグア政府(ダニエル・オルテガ大統領政権)は、自国領土内にて東西方向に横断し、
大西洋(カリブ海)と太平洋とをつなぐ総延長290kmほどの中米地峡運河の建設を今年 (2014年) 12月から開始する旨、2014年9月9日に
発表したという。画像はそれを報じる2014年9月11日付けの朝日新聞の記事である。
2014年後半から建設が始められると従前より報じられてきたことも含め、記事内容の殆どはこれまでも
報道されてきたことである。では、記事内容の何がビッグなニュースなのか? 最もビッグでホットなニュースは、ニカラグア政府が
正式に「(9月)9日、… (中略) …運河の建設を12月から始めると発表した」ということである。
広く一般的には、「運河の本格的な開削工事がいよいよ始まる」、と受け取られるに違いない。
実際に開削が始まるとすれば、この記事は運河開削の着工を報じる「記念碑的な」、あるいは「記念紙的な」ものといえる。
香港系の運河開発投資有限公司(HKND社)が2013年に締結した運河建設プロジェクトのコンセッション
契約の中には、運河建設だけでなく、港湾、空港、観光複合施設などの関連サブプロジェクトが含まれている。その他コンクリート
製造や電力供給などの下準備的な付帯施設の建設も計画されている。
従って、記事が言及する運河建設といっても、具体的に運河建設プロジェクトのいずれのコンポーネントがいかなる手順で着工されるのか、
この記事では明らかではない。
2014年7月の運河計画概要を公表する段階では、事前環境評価作業は完了しておらず、終了するまで
運河建設の着工はないと発表されていた(但し、評価書の承認手続きなどの詳細は不明である)。
また、2014年7月に、定規で直線的に大まかに引かれた運河ルート(所謂、修正No.4ルート)が公表されたが、HKND社による、或いはニカラグア
の現政権自身による運河計画の本格的なフィージビリティ調査(=F/S調査、実現可能性調査)、あるいはそれ以上の詳細設計調査
(Detailed Design調査、D/D調査)の報告書が作成・公表された形跡は見られない。
[注] 2006年8月に、当時のニカラグア政府は、運河計画のプレ・フィージビリティ調査報告書なるものを作成・公表していた。
それ以降、本格的なF/S調査やD/D調査の報告書が作成・公表された形跡は見られない。
運河は将来世界の地政学的構造に大きなインパクトをもたらす可能性は大である。運河の本格的な
開削工事がこの12月から始まるとすれば、それは一つの歴史的出来事の始まり、或いは起点である。この小さな記事はまさに
「記念碑的」なものといえよう。同記事によれば、運河は2019年に完成予定とされている。
運河建設が歴史的事実となるかは今後の進捗の結果による。深い関心をもって注視していきたい。
[注] 本格的な開削工事が着工される場合、先ずはリーバス地峡(太平洋とニカラグア湖との間の数10kmの地峡)の太平洋沿岸、
即ちブリット川河口域での開削ということになろう。
更に進めば河口から7,8km内陸部に建設予定のブリット閘門に向けてのアプローチ水路とその沿岸寄りでの港湾水域のための開削、
および関連港湾施設の建設ということになろう。
それと平行して観光複合施設(運河建設関係者や一般国民のための商業・娯楽関連施設など)の建設ということになろう。その理由としては、
港湾と周辺関連付帯施設の建設は、運河そのものの建設に何年かかろうと、また中断されようと、単独で経済的採算性をとりうる可能性を秘める
数少ないコンポーネントである。
[2014.9.16. 初記 KN][拡大画像なし]
辞典内関連サイト
・ ニカラグア運河(目次)
・ ニカラグアの海洋博物館
・ 世界の海洋博物館
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