Page Top


    第16章 「自由の翼」を得て、海洋辞典の「中締めの〝未完の完"」をめざす
    第7節: 海洋辞典の承継編者探しを家族に口頭・書面で依願する


              Top page | 総目次(全章全節) | ご覧のページ



      第16章・目次
        第1節: 嘱託として「健康管理センター」に勤務する
        第2節: 東日本大震災、早期完全離職の決断を後押しする
        第3節: 理想と現実のはざまで「選択と集中」に取り組む(その1)/辞典たるゆえん
        第4節: 理想と現実のはざまで「選択と集中」に取り組む(その2)/データベース&フォトギャラリー
        第5節: 理想と現実のはざまで「選択と集中」に取り組む(その3)/新しいビジョン&チャレンジ
        第6節: 辞典づくり、「中締め(2020年)の〝未完の完″」をめざして
        第7節: 海洋辞典の承継編者探しを家族に口頭・書面で依願する

      序章~第15章 | 第15章 第17章 | 第18章~最終章


  JICAからの完全離職後数年を経た頃になってようやく、ウェブ海洋辞典づくりが軌道に乗り出した。やがて、辞典づくりに一区切りをつけるターゲット・イヤー を「2020年」と定め、半ば強引に「中締めの”未完の完”」を目指すようになった。片や、国内の 海洋博物館や自然史・歴史文化施設などを散策したり、また時に海のシルクロードに位置する国々を訪ねることも楽しんでいた。 そんな頃になって、心の底に潜んでいた悩みがむくむくと覚醒し始め、頭に重くのしかかるようになってきた。離職以来ずっと頭の片隅に あった悩みではあったが、冬眠から目覚めたかのようであった。その悩みとは、海洋辞典づくりの未来を託すこと のできる承継編者のことであった。

  辞典の未来を託すことのできる承継編者はこれまで随分永い間探し出せていなかった。承継編者はどんな人が適任なのか、 候補者の具体的なイメージ像や人的要件などをいろいろと思い巡らせてきた。英語・スペイン語・ フランス語などの語学力の要件をどう考えればよいのか。どんな教育的バックグランドをもつ人がいいのか、海・船や海の生物等とどんな関わり合い をもつ職歴の人であればよいのか。年齢の上限を設けるべきか。推薦状や応募の動機に関する作文の提出を求めるべきなのか。候補者を募る に当たってのいろいろな要件を考えては悩んだ。公募するにしても、ネット上にどんな内容の広告を掲載して募集すればいいのか。時々思い出しては 熟慮を積み重ねたが、すっきりと整理できたためしがなかった。また、具体的な名前を思い浮かべられるだけの候補編者はいなかった。だが、悩む途上で気付いた ことが一つあった。

  自身が存命中であれば、何とか承継者探しに目途を立てることができ、その点心配するには及ばないと考えた。だが、何の具体的な承継編者の当てもなく 、また「継活」も首尾よく完了しないまま、突然私自身が世を去ることになれば、話しは全く別である。辞典づくりの引き継ぎはどうなるだろうか。 突然辞典づくりに終止符が打たれることになることを想像すると、俄然気掛かりになった。かくして、如何なる策を案じ、講じるべきか、いろいろ と思い巡らせた。

  私自身が存命中であれば、承継編者を何とか探し出し、辞典づくりのバトンを手渡すことも大いに期待できる。候補者の要件をいろいろ と熟慮し、悩みながらも最終的に決断を下し、もって公募するに及び、必要な面談も執り行ない、何とかバトンの引き継ぎが可能となろう。 場合によっては、暫くは辞典づくりの共同作業をしながら、承継編者の意向を強固にして行くというプロセスを経ることも可能かもしれない。その過程で、候補者本人もますます辞典づくりに 遣り甲斐を感じ、辞典づくりの明るい未来を見通し、編纂続行にさらに自信を深めてもらえるようになるかもしれない。 早目の引き継であれば、時に立ち止まって、編纂を続けられるかの意向を再確認することもできよう。かくして、存命中に、素晴らしい未来の 承継編者に巡り会えるかもしれない。万が一途中で辞典づくりを辞退されたとしても、遣り直しが出来る時間が残されているかもしれない。 心配することはほとんどないと思われる。

  最も深刻なケースは、そんな希望的観測に反して、私自身が突然の不慮の死に至ることである。 過去数十年を思い起こせば、ほんの少し時空を違えていれば、天災や人災で生と死の境をさまよっていたかもしれない出来事に多々遭遇してきた。 ニューヨークの貿易センタービル階下での地下鉄駅爆破事件では、下車予定の一駅手前で突如電車から強制下車させられ、幸いにも事件に遭わずに 済んだことがあった。東京・地下鉄霞が関駅でのオウム真理教団サリン・テロ事件では、官庁との打ち合わせのため日頃から高い頻度 で乗降していた。JR新宿駅トイレでのサリン・テロ未遂事件では、いつもの帰り道にあって乗車前に立ち寄ることが多かった。 東日本大震災での福島第一原発の核燃料格納容器のメルトダウンでは、事の次第では、首都圏エリアも高い放射能汚染に曝されるかもしれない と多くの国民が恐怖心を抱いたことであろう。私の家族は恐怖の余り東京から実家のある大阪へと疎開した。 2001年のニューヨークでの貿易センター双子ビルへの航空機による同時多発テロ事件、地球温暖化の影響なのか、50年に一度のスーパー台風・ 集中豪雨と大水害など、我われを震撼させるとんでもない事件や自然災害が起こり、誰しもいつ巻き込まれ不慮の死に遭うか全く分からない世の中である。

  時代はずっと後の事になるが、落命の危険を感じる歴史的な出来事が身近にまた一つ起こった。新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)が発生した。2019年暮れから2020年初め にかけて騒がれ始め、一年後には世界で一億人以上の人が感染し、死者200万人以上に達した。日本でもコロナウイルスに何時何処で感染 してもおかしくはない事態となった。もうすぐ後期高齢者となり、かつ基礎疾患のある私などは、感染すればあっという間に命を落とす ことになろう。パンデミックは今なお進行中(日本では第三波)である。2020年7月開催予定であった東京五輪は一年延期された。 市中で何故か感染し、そのまま隔離入院となり、家族と再会できないまま遺骨となって帰宅することにもなりかねないのが昨今の状況である。

  私的には、最悪のケースは辞典づくりの未来を承継編者にバトンを渡せずに突然他界することである。自身が存命である間の早い段階で、 何とか承継編者を探し、首尾よくバトンを渡せるものと構えていたが、そうはいかないこともありうる。万が一の場合に備えてどうするか、 頭の重しとなってきた。承継編者に辞典づくりのバトンを託すことができて初めて、未来における辞典の「進化」に期待を寄せることが できるが、それ以前のところで深く悩んでいた。

  私の場合は心臓発作に襲われ突然他界する確率の方が高いかも知れない。ニカラグアで九死に一生をえるという「奇跡の生還」を経験してきた。 そのことが深く心に刻み込まれている。人生、ほんの少し時空が違えば突然生死の分かれ目に立たされる。心臓発作で一度は死の淵に立ち、奇跡的な 生還ができた身である。いわば一度死んだのも同然であった。万一の事態が起こりうることは、単なる想定ではなく、自らが体験したことである。

  ニカラグアのオヤテ川上流の山奥で突然心臓発作に襲われ、胸痛に堪えながら、2時間以上も馬の背に揺られ村にたどりつき、4時間かけて車で 首都に運ばれ、翌日奇跡的に心臓手術を受けることができ、死なずに済んだ。運が悪ければ、ニカラグアの山中でその日のうちに命を落とし、 自然淘汰されていたかもしれない。突然の死は他人ごとではないことをニカラグアの山奥で思い知らされた。 奇跡的に生きながらえてきたが、いつまた突然深刻な胸痛に襲われ、生死を彷徨うかも知れない。日本にいるからと100%安心はできない。 突然襲われても、新型コロナ禍で重傷者用病床数がひっ迫する昨今のこと、病床にありつけず急に他界するケースがないとは言えない。 だから、そんなリスクを肝に命じ、いつでもバトンを託せるようにしておく準備が肝要であった。

  最近の出来事の極めつけは実兄の他界であった。突如兄に発作が襲いかかり、救急車が駆けつけた時には既に心臓は停止状態だったという。 全くの想定外の急逝であった。数年前のこと、早朝に一報を受け、大急ぎで東京駅へ駆け込み新幹線 に飛び乗り大阪へ向かった。5時間後大学病院の救急センターに飛び込んだ。その後暫くして生命維持装置が 外された。言葉を交わすこともできなかった。思いもしなかった兄との突然の別れであった。ついに、血縁のある年上の身内は誰もいなくなってしまった。 さて、自分自身に突然に同じことが起これば、辞典づくりはどうなるのか。

  ニカラグア体験があったとはいえ、自身の突然の他界に備えての対処策の準備については先延ばしになっていた。 だが、兄の急逝を機に、万一の時の諸準備の絶対的必要性をはっきりと悟った。承継編者に辞典づくりが引き継がれなければ、何十年も向き合ってきた 辞典もいとも簡単に自然消滅への道を歩むことになろう。そんな致命的リスクのことを決定的に思い知らされた。我が身に万一のことを想定し、 現実的でベストな策を急ぎ講じておくことを決意をした。もう先送りばかりしている場合ではなかった。

  客観的に見れば、万が一急逝した場合、辞典をフォローしてくれる家族などが不在のままであれば、ウェブ辞典の消滅はほぼ確実である。 銀行口座やクレジットカード(クレカ)保有者が亡くなれば、引き落とし用の銀行口座は閉じられ、早晩カードは使用できなくなるか、届出されて 解約されることになる。ドメイン(ウェブサイトのネット上のアドレス)やレンタル・サーバーの契約の延長手続きや支払いについて、 クレカによる「自動延長・自動支払い」にしていたことがあった。支払いは、クレカと紐づけられている 銀行口座からの「自動引き落とし」であった。だが、万一の急逝の場合、口座は早晩に凍結・解約され、支払いの引き落としは打ち切りとなり、 クレカ払いがストップする。家族などに申し送りがなければ、誰も知らないうちに契約延長と支払いが滞り、ウェブ辞典はネットから消滅する にいたる。

  支払いにはある「電子財布」システムがあって、事前にまとまったポイントを購入し、その財布にプールしておけば、そこ から「自動支払い・自動延長」がなされるシステムもある。 この支払い専用の「電子財布」からポイント(=お金)が自動引き落としされることで、毎年延長が可能であった。クレカでポイントを自動補充 できたとしても、同じ問題が起こる。「自動延長・自動支払い」が正常に機能するには、常に一定の前提条件が満たされる必要がある。 どんな便利な方法でも、クレカの有効期限が到来したり、万一の場合は早晩紐づけられている口座の解約、クレカによる引き落としの打ち切り となり、誰にも気付かれないままに、契約が自動解約に至るリスクがある。誰もフォローする者がいなければ、ウェブ辞典の消滅さえも気付かれない。 だから、再びマニュアル方式での延長手続き・支払いの執行に復帰した。毎年2~3月中旬、所得税・住民税などの「確定申告」の時期 が来れば、コンビニ支払いにて契約延長を済ませてきた。毎年一回の定期行事として、納税時期には忘れようもなく確実に手続きをすることを習慣づ けてきた。

  ウェブ辞典は35年間の辞典づくりの努力の証である。その消滅を是が非でも避けたいとずっと想い続けてきたが、そのための唯一でベストな対処策 にようやく辿り着いた。その策は至極シンプルなものであった。家族(あるいはその他信頼のおける誰か)に、依願する事項をしっかりと伝え、 万一の場合の場合には実際に対処の骨折りをしてもらうことである。依願内容を一言でいえば、ドメインとサーバー契約の延長・支払い、さらに ネットによる承継編者の公募である。そしてまた、承継編者へ辞典というバトンを渡す骨折りである。

  だが、家族等への口頭の依願や申し送りでは全く不十分である。また承継編者への口頭での申し送りだけでは大変心もとない。その時点では 依願内容が理解されていても、時を経るに従って依願された内容の記憶が曖昧模糊となり、ついにほとんど忘れ去られるリスクがある。 それを避けるために、書面にて家族等へベストな対処策とその実務事項を書き残し、申し送りをして、しっかり依願しておくことが肝要である。 書き記すことになれば、重要点などが漏れなく整理されるメリットがある。何を依願し何を託し、何に留意してもらいたいのか、その思いを しっかり伝え残すことができる。また、家族にとっての心理的な負担も少なくて済む。書き残すことで、辞典づくりの次世代への引き継ぎの 確実性をより担保できるものと期待したい。

  自身では対処できないので、実際に骨折りを託すことになる家族らにしっかりと対処策を申し送りする他に道はない。 だが、それ従って対処すれば100%事足りるという訳にはいかない。仔細に踏み込めば、託された家族らが自らの判断で対処する他にないことも 多々あろう。それは致し方なきことである。ただし、リクルートと辞典引き継ぎの労を取ってくれる家族等を余りに固縛するような、 ガチガチの対処案は避けておきたい。仔細のことへの対処判断は家族らに任せたい。

  次章次節で何をまとめておくか、そのテーマや課題が見えてきた。先ず、ドメインやサーバー契約延長・支払い、承継編者リクルートに 関する家族等への依願内容につき、書面にて記しておきたい。 さらに、承継編者を実際に公募する上で有用かつ実践的な「実務マニュアル(要約編)」と詳細編(参考資料)なるものを作っておきたい。
・ ネットを通じてのドメインやサーバーの契約延長の方法、契約料金の支払い方法。契約に関する基本情報など。
・ ネットを通じての承継編者の公募方法。広告のやり方。具体的な公募案や募集要項案。候補者の応募要件など。
・ 承継編者への特別なお願い事項。経費負担など特に理解を求めたい事項。
・ 辞典づくりでの重要実務事項: ウェブ辞典の階層構造や内容、辞典づくりに用いられている手法。直面する課題への対処などについて。
・ その他: 辞典関連全データの在り処や譲渡について。
家族らが対処や判断する上で困らないようにいろいろな想定をした上で、公募・募集要領案の作成等に関する下準備をしておく必要がある。 100%想定しきれないかもしれないが、家族が対処に戸惑い立ち往生することなく、第二世代の承継編者をスムーズに公募し、バトンを託してもら えるよう、要点を押さえておきたい。

  余談であるが、次章次節で纏められる資料は、第2代承継編者の公募や引き継ぎだけでなく、さらに次々代へと引き継がれる場合にも役に 立つと期待したい。第2代編者が何らかの事情で、辞典づくりを途中断念したい場合、是が人も次の第3代編者の公募や引き継ぎを切望する ものです。さらに、万が一の場合に備えて、当該第2代編者のご家族に、同じような対処を依願しておいていただきたいと切望しています。 将来の承継編者による辞典づくりにおいて想定されるいろいろな局面において、当該資料が辞典づくりのバトン承継にわずかでも役立てられれば 望外の喜びです。

このページのトップに戻る /Back to the Pagetop.



    第16章 「自由の翼」を得て、海洋辞典の「中締めの〝未完の完"」をめざす
    第6節 辞典づくりの承継問題と向き合う


              Top page | 総目次(全章全節) | ご覧のページ



      第16章・目次
        第1節: 嘱託として「健康管理センター」に勤務する
        第2節: 東日本大震災、早期完全離職の決断を後押しする
        第3節: 理想と現実のはざまで「選択と集中」に取り組む(その1)/辞典たるゆえん
        第4節: 理想と現実のはざまで「選択と集中」に取り組む(その2)/データベース&フォトギャラリー
        第5節: 理想と現実のはざまで「選択と集中」に取り組む(その3)/新しいビジョン&チャレンジ
        第6節: 辞典づくり、「中締め(2020年)の〝未完の完″」をめざして
        第7節: 海洋辞典の承継編者探しを家族に口頭・書面で依願する

      序章~第15章 | 第15章 第17章 | 第18章~最終章