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    第16章 パラグアイへの赴任、13年ぶりに海外の協力最前線に立つ(その2)
    第3節 米国東海岸の海洋博物館を巡る旅に出る(その2)


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       第16章・目次
      第1節: 「海あり近隣諸国ブラジル、アルゼンチン、チリ、ウルグアイ」に海を求めて旅をする
      第2節: 米国東海岸沿いに海洋博物館を訪ね歩く(その1)
      第3節: 米国東海岸沿いに海洋博物館を訪ね歩く(その2)
      第4節: 古巣のフォローアップ業務に出戻る
      第5節: 国連海洋法務官への奉職を志し、情熱を燃やし続けて
      第6節: 国連への情熱は燃え尽きるも、新たな大目標に立ち向かう




米国ボストンの海軍工廠埠頭に係留される「コンスティテューション号」
米国東海岸の海洋博物館に展示されるアメリカズ・カップ参加艇



  米国東海岸の旅は日数的にはほぼ3分の1を終え、ドライビングの出発点となったボストンへ戻りつつあった。 8月30日ボストン近郊のノース・クインシー地区(North Quincy, MA)にある「米国海軍造船工廠博物館(U.S. Naval Shipbuilding Museum; USNSM)」の一部として係留・一般公開される戦艦「USSサーレム号(USS Salem CA-139)」を訪ねた。その後、ボストンから北25㎞ ほどにあるセーラム(Selem)という、18世紀に東洋貿易で大いに繁栄した古い港町に立ち寄った。サーレムの港界隈には、東洋交易での繁栄 の証である東洋美術品の他、船舶艤装品、精巧な船舶模型コレクションなどを巡覧できる幾つかの博物館がある。

  例えば先ず、「セーラム海洋国立歴史地区(Salem Maritime National Historic Sites)」にある「ピーボディ・エセックス博物館 (Peabody Essex Museum)」を訪ね、その後サーレムの港のウォーターフロント界隈を散策した。埠頭には大型帆船「フレンドシップ号 (Tallship "Friendship")」が係留される。また「ニューイングランド海賊博物館(New England Pirate Museum)」が所在したが、 5時には閉館となってしまい館内巡覧は叶わなかった。P・エセックス博物館には、帆船などの精巧な模型、海洋画、船首像、航海計器など が、美術館を思わせるような麗しくきちんとした環境下で展示されていた。

  翌31日、セーラムからニュー・ハンプシャー州ポーツマスを経て大西洋岸沿いに北へドライブし、更にカナダとの国境を目指して 先ずはメーン州ポートランドに辿り着いた。だが、国境はまだかなり遠く、ポートランドの海洋関連施設を散策することにした。 最初に岩石海岸の突端に建つ「ポートランド・ヘッド灯台 (エリザベス岬) &博物館(Portland Head Light (Cape Elizabeth) & Museum)」 に立ち寄った。被写体として切り撮った同灯台とその附属施設は絵葉書にしたくなるような美しさであった。博物館には主にポートランド・ ヘッドの灯台の建設史や仕組みに関する諸資料が展示される。

  その後、ポートランドのダウンタウンやウォーターフロントをそぞろ歩きし、船具の骨董屋 「ザ・チャート・ルーム(The Chart Room)」 で掘り出し物を物色したり、「ポートランド・ハーバー博物館&灯台(Portland Harbor Museum & Lighthouse)」で艦船模型、 海図、古い帆船写真、船舶設計図面、船大工用具、灯台資料、米国最後のクリッパー船の資料などを巡覧した。同港では4脚の ポンツーンをもつ着底型の巨大石油掘削リグ(oil drilling rig/platform)が陸揚げされ修理中であった。これまで海洋学などの 教科書でしか見たことがなかった。今回偶然にも生まれて初めて間近に見上げ、その巨大さに圧倒された。その後、ブランズウィック(Brunswick)を経てメーン州バース(Bath)へと向かった。

  9月1日日曜日、バースでは「メーン海洋博物館(Maine Maritime Museum)」を巡覧した。同博物館の5,6棟ある展示館はケン ベック川沿いに点在し、川岸には大小8隻ほどの帆船などの船舶が係留される。数多くの古帆船・近代艦船の模型、海洋画・帆船画、 船首像、ハーフモデル、1824年建造のバース船籍のブリグの船首像、船乗りの生活を偲ばせる衣装箱、木造帆船の木工・組立の工房、 船大工用具などの展示が充実しており必見すべき価値がある。再びポートランド市街地とハーバー界隈を探索した後、バースで折り返し南下 することにし、メーン州ウェルズ(Wells)へと向かった。

  9月2日、ウェルズでは多種多様にして膨大な数の灯台関連グッズを専門に扱う「灯台デポ(Lighthouse Depot)」というギフト ショップに立ち寄った。灯台を模したありとあらゆる置物・飾り物・小物などのデコレーショングッズが陳列・販売されている。 日本ではめったにお目にかかれない灯台デコグッズ専門の、びっくり仰天の大規模ショップである。その後、「灯台ギャラリー博物館(Lighthouse Gallery & Museum)」にも立ち寄った。更に南下を続け、マサチューセッツ州のエセックス・リバー・ベースン・ハーバー(Harbor of Essex River Basin)にある「エセックス造船博物館(Essex Shipbuilding Museum)」に立ち寄った。同館周辺域内では、 1650~1982年に4,000隻の木造船が建造されたといわれる。さてその後、再度「セーラム海洋国立歴史地区」を経てボストンに戻った。

  翌3日ボストンを後にして、シャーロン(Sharon)という少し内陸部の町に所在するはずの「ケンダール捕鯨博物館(Kendall Whaling Museum)」を目指してドライブしたが、方角を見失ったため長時間探し回った。捕鯨の博物館というのに何故か海には遠い内陸部にあって、 しかも深い森の中に所在していた。辺りを探索したものの、野外にわずかに残された展示物が博物館のかつての存在を示していた。 同館は閉じられたままとなっており、殆どの展示品はニューベッドフォードの「捕鯨博物館」に移管されたようであった。同館の ホームページを事前にチェックしていたが、閉館を知らせる明確な情報に接した記憶がなかった。それとも見落としてしまったのかも しれないが。

  その後、コネチカット州グロトン(Groton)にある「サブマリーン・フォース図書館・博物館(Submarine Force Library & Museum)」 を訪ねた。そこには、最初の大陸間弾道ミサイル潜水艦の「ジョージ・ワシントン号(USS George Washington; SSBN 598)、 1959-85(Groton, CT)」の実物の艦橋部分が屋外展示されている。さらに原子力潜水艦「USSノーチラス号博物館(USS Nautilus & Museum)」を訪ね、艦内をじっくりと巡覧した。また、デイビッド・ブッシュネルが1776年に建造した、手足でペダルなどを漕いで 人力推進する潜水艇「ザ・タートル(The Turtle)」が展示される。同艇にて敵船に機雷をセットしたという潜水装置で、一見する 価値がある。

  翌4日、コネチカット州ニューロンドン(New London)の「沿岸警備隊アカデミー博物館(US Coast Guard Academy Museum)」を訪ね、 近代艦船の数多くの模型、海難救助活動に関連する装置・用具類などを見て回った。その後、ニューヘブンを経てノーウォーク(Norwalk) へと向かった。米国本土にあるこれらの都市の対岸にはロングアイランド(Long Island)が横たわる。

  ノーウォークでは「ザ・マリタイム水族館(The Maritime Aquarium)」に立ち寄った。同じ建物内に海の生き物を展示する水族館と 海洋・船舶博物館とが同居している様相である。小型ボートの製作工房、特殊ヨットや小型汽艇などの数多くの実物のボートも展示される。水族館では魚類説明用パネルを沢山切り撮った。また、ノーウォーク港のウォーターフロント界隈を散策した。

  その後、少し引き返してブリッジポート(Bridgeport)へ急いだ。そこからフェリーで南の対岸に横たわるロングアイランドの ポート・ジェファーソン(Port Jefferson)へ渡海した。先ずは車ごと乗船し船内で乗船券を購入する。下船時に係員に同券を 手渡せばOKである。生まれて初めて車両を自ら運転してのフェリー乗船の体験であった。

  ロングアイランドでの目的地は、ウェスト・セイビーユ(West Sayville)の町にある「ロングアイランド海洋博物館(Long Island Maritime Museum)」であった。規模は小さいが、外観的には「ミスティック・シーポート」にどこか似ていて、海と漁業のテーマ パークのようであった。入り江にはカキ採取船をはじめ、各種小型船が係留され、また屋内にも多くの小型船が収容・展示される。 その他、カキの採取や加工用具の展示施設、小型船の製作工房などが点在する。

  その他、「米国商船アカデミー(U.S. Merchant Marine Academy; USMMA)」の「米国商船博物館(American Merchant Marine Museum)」 にも立ち寄ることができた。アカデミーの桟橋にはカッター揚げ降ろし操作の訓練用ダビッド、操練用カッターなどが整備されている。 ロングアイランドからはニューヨーク(NY)の摩天楼を遠目にしながら、フィラデルフィアへ向けてハイウェイを疾走した。 喧騒の大都市NYは鼻から敬遠、迂回路の走行を選択し先を急いだ。

  先ずはデラウェア川岸のフィラデルフィア(Philadelphia)の対岸に位置する町カムデン(Camden)に足を踏み入れた。カムデン では「ニュージャージー州立水族館(New Jersey State Aquarium)」をじっくり観て回った。また、カムデン側の川岸に係留 される「戦艦ニュージャージー号(USS Battleship New Jersey)」に乗艦しじっくり巡覧した。

  その後、対岸のフィラデルフィア側へフェリーで渡り、「インデペンデンス・シーポート博物館(Independence Seaport Museum)」 を訪れた。フィラデルフィア側の川岸ピアには、大型帆船(tallship)、潜水艦をはじめ、戦艦「オリンピア号」(Battleship Olympia)や客船「Cuna号」などが、同博物館の一部として展示される。かくして、川をはさんで向かい合うフィラデルフィア とカムデンのリバーサイドのプロムナードを散策することで、長距離ドライブの疲れを暫しほぐすことができた。

  翌7日・土曜日ボルティモアに向かったが、途中メリーランド州のハーブル・ドゥ・グレース(Havre de Grace)という、チェサピーク 湾の一角にある入り江の岸沿いの美しい田舎町に立ち寄った。そこで、絵に書いたような風景に包まれたハーバー&マリーナを のんびりと散策し、またミニサイズの「アーブル・デ・グレース海洋博物館(Havre de Grace Maritime Museum)」を訪れた。 近くには1827年にサスケハナ川河口に建てられた米国最古参の「コンコード・ポイント灯台」がそびえる。その後ボルティモアを目指した。

  ボルティモア(Baltimore)のダウンタウンに足を踏み入れ、真っ先にハーバーフロントへと急いだ。ダウンタウンのインナー ハーバーに突き出た桟橋の一角には「ボルティモア国立水族館(The National Aquarium in Baltimore)」と「ボルティモア海洋博物館 (Baltimore Maritime Museum)」が陣取っていた。埠頭には、同博物館の重要構成要素として、「灯台船チェサピーク号(Lightship Chesapeake)」、「潜水艦トルスク号(USS Torsk Submarine)」、コーストガードのカッター「タニー号(USCG Cutter Taney)」、灯台(Seven Foot Knoll Lighthouse)の他に、米国戦列艦の一翼を担う帆船「コンステレーション号」が船舶 博物館(USS Constellation Museum)として係留され一般公開される。ウォーターフロントは再開発され、市民と観光客で賑わう 近代的な海洋歴史文化保存エリアとなっていた。

  その後、首都ワシントンを大きく迂回し南下した。ワシントン東方に位置するアナポリスは「海軍士官学校」の所在地であるが、訪問を 断念し、ほぼほぼチェサピーク湾に沿って南下を続け、ニューポート・ニュース(Newport News)を目指した。同地には海洋博物館として 大変名高い「ザ・マリナーズ博物館(The Mariners' Museum)」が所在し、そこに束の間立ち寄った。というのは、十分な 見学時間を確保できそうになかったので改めて出直すことにしたものである。そして、大きな入り江に架かる長大橋を渡り、バージニア州 ノーフォーク(Norfolk)へと向かった。

  翌8日ノーフォークに所在する海洋文化施設のコンプレックスを訪ねた。目当ては、ウォーターフロントに係留される戦艦「USS ウィスコンシン号(Battleship USS Wisconsin)」の他、同艦に隣接する著名な「ハンプトン・ロード海事博物館(Hampton Roads Naval Museum)」であった。博物館の愛称は「ノーチカス(Nauticus)」と呼ばれている。館内には数多くの帆船、 蒸気船、艦船などの模型、航海用具などが展示される。傍には実物のタグボートを係留しての「タグボート・ハンチントン号博物館 (Tugboat Huntington Museum)」がある。さて、その足でお隣の海軍港湾都市のポーツマス(Portsmouth)へ向かい、「ポーツマス 海軍工廠博物館・灯台船(Portsmouth Naval Shipyard Museum & Lighthouse Ship)」を訪ね、数多くの帆船や近代艦船の模型など を巡覧した。また「国立海洋センター(National Maritime Center)」を訪ねた後、ニューポート・ニュースへ舞い戻ることにした。

  9日には、一昨日時間不足のために巡覧が叶わなかった「ザ・マリナーズ博物館」に舞い戻り、じっくりと巡覧した。一度は訪ねて 見たかった海洋博物館である。その最大の見ものは、1940年代の建造の実物の「USSモニトル艦」のエンジン部分が水中から引き揚げられ、 現在は水槽に入れたまま保存されているという沈船遺物である。19世紀末の砲艦であったモニトル艦は、喫水の浅い沿岸航行用の低い乾舷をもつ 戦艦で、巨大な旋回砲塔を備えていた。南北戦争中の1862年南部の「メリマック号」と戦った北部の「モニトル号」がその最初の モデルであった。

  また、同博物館には、オーギュスト・ピカール(ジャック・ピカールの父)が設計した精巧な潜水艇「USSトリエステ号」 の模型をはじめ、近代船や帆船の数多くの巨大模型や船首像、「タイタニック号」の古い写真・歴史資料、航海計器、古地図、 船体構造模型などが展示されている。その後、ヴァージニア・ビーチ(Virginia Beach)にある「ヴァージニア海洋科学博物館 (Virginia Marine Science Museum)」に立ち寄った。海洋科学に関する展示の他、水族館が併設され海洋生物の展示もある。

  翌10日、ノースカロライナ州ウィルミントン(Wilmington, North Carolina)へ移動し、「戦艦ノースカロライナ号(Battleship North Carolina)」の艦内をくまなく見学した。艦載の水上飛行艇も展示される。またその後、「ノースカロライナ海洋博物館(North Carolina Maritime Museum)」を訪れた。なお、サウスポート(Southport)には2つの有名な水族館 (Aquarium at Carolina Beach, Aquarium at Fort Fisher)があるが、旅程の都合で素通りするに至った。

  その後、オーク・アイランド(Oak Island)へ。先ず「オーク・アイランド灯台(Oak Island Lighthouse)」を目指した。 骨休めのつもりで灯台近傍にある公営の海浜を散歩したが、その砂浜で金属探知機をもって真剣にビーチコーミングをしている男性に出会った。ノースカロライナ州からフロリダ州にかけての沿岸海域でも、16世紀から18世紀にかけて金銀財宝を積んだスペイン等の数多のガレオン船が 座礁などの海難事故で沈没したことはよく知られている。そんな沈船の金銀財宝の欠片でも探しているのか、邪魔しないように暫し 眺めていた。

  オーク・アイランドのカスウェル・ビーチ(Caswell Beach)には長大の木製桟橋が沖へ伸びていた。その背丈は7、8メートルもあるが、 周りは遠浅の海である。如何なる船が何用でいつに接岸するためのものなのか想像しながら、心地よい潮風にあたって疲れを癒した。 海岸の背後にはかなり大量の砂が吹き寄せられ、ドューン(dune)という盛上が続いていた。一方で、この辺りは海岸浸食が相当 深刻なものであるとの印象を抱いた。その後、サウスカロライナ州チャールストン(Charleston)へと向かった。

  翌11日にチャールストンで向かった先は「パトリオット・ポイント海軍博物館(Naval Museum at Patriots Point)」であった。 最大の展示は、第二次大戦の「戦う貴婦人」と称された「空母ヨークタウン号 CV-10 (Aircraft Carrier USS Yorktown, The Fighting Lady of WW II)」である。第二次大戦時の艦載戦闘機「ワイルドキャット」から現代の軍用機まで、25機以上を展示する。 その他第二次大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争に参加したという潜水艦「クラマゴア号(Submarine Clamagore)」、駆逐艦 「ラフィー号(Destroyer Laffey)」をはじめ、コーストガード・カッター「インガム号(Coast Guard Cutter Ingham)」 などが展示される。

  その後、「チャールストン海軍ヤード博物館(Charleston Navy Yard Museum)」や「サウス・カロライナ 水族館(South Carolina Aquarium)」を経て、ジョージア州サバンナ(Sabannah)、バランズウィックへ、そしてフロリダ州 ジャクソンビル(Jacksonville)へと向かった。

  9月12日、ジャクソンビルでついにフロリダ州の土を踏んだ。「セント・メリー潜水艦博物館(St. Mary Submarine Museum)」に 立ち寄った。潜水艦の操艦システム、潜望鏡やハッチ・システムの他、多数の潜水艦模型、歴史的史料などを見て回った。次いで、様々な 船舶模型、船大工用具などを展示する「ジャクソンビル海洋博物館(Jacksonville Maritime Museum)」を訪れた。

  次いでセント・オーガスティンへ南下し、そこで「セント・オーガスティン灯台&博物館(St. Augustine Lighthouse & Museum)」 にも立ち寄った。同灯台の外観は特徴的であり、灯塔には黒い帯を螺旋状に巻いたようなデザインが施されている。螺旋階段を伝って 光源装置のある最上階まで登り、大西洋と大地を360度見渡す絶景を眺望した。かくして、人生において米国で高い塔頂に立ったのは これが初めてであった。その後、フロリダ半島大西洋岸沿いにデイトナ(Daytona)に向けて南下し、デイトナ・ビーチへと急いだ。

  13日、デイトナでは「ポンス・ド・レオン入り江灯台および海洋博物館(Ponce de Leon Inlet Light & Museum of the Sea)」に 立ち寄った。同灯台の灯塔は高く、その全体がレッドカラーに染め抜かれているのが外観的特徴である。灯台紹介資料の他に、 各種の船模型、昔の航海計器、船首像、帆船を描いた大判絵皿などが展示される。また、「海洋科学センター(Marine Science Center)」 では魚類水槽展示の他、数多くの貝類標本や海洋哺乳類骨格標本を陳列する。 その後、無事にメーン州バースからフロリダ州まで辿り着けた喜びを噛みしめながら、デイトナビーチの海浜(Daytona Beach shores) をそぞろ歩きした。

  さて、インターステート・フリーウェイをドライブを続ける途上で、名称だけは記憶に留めていた「ハーバー・ブランチ海洋研究所 (Harbor Branch Oceanographic Institution)」の傍を偶然通りがかった時は自身でもハッと驚いた。折角の機会と思い直しすぐに引き返した。広々とした研究所内のウォーターフロントまで車を寄せ、キャンパス内を散策するなかで、幾つかの調査潜水艇を観る機会を得た。 旅の出発点としたマイアミは目と鼻の先で100kmほどの距離であった。

  翌14日、フォート・ピアース・ハーバー(Harbor Fort Pierce)に立ち寄り探索した。フォート・ピアースとその近辺には幾つもの 海事関連歴史文化施設が点在していた。先ず、海軍博物館の一つ「海軍UDT-SEAL博物館(Navy UDT-SEAL Museum)」に足を運んだ。 ここは海軍潜水士誕生の地とされる。海軍のいわゆる水中作戦実行部隊が所在し、その関連兵器や装備品が数多く展示される。 「フォート・ピアース海軍水陸訓練基地」も併設される。また、「セント・ルーシー郡歴史博物館(St. Lucie County Historical Museum)」 では、帆船の模型や艤装品、ガレオン沈船からの引き揚げ遺物などが展示される。「海洋科学センター(Marine Science Center)」 では多くの水槽に海洋魚類が展示される。

  次にハッチンソン・アイランド(Hutchinson Island)へ足を踏み入れ、「難破船博物館(Shipwreck Museum - Gilbert's Bar House of Refuge)」を訪ねた。その後は、フォート・ローダーデールを経て、マイアミからの出立 起点となったベイサイド・マーケットプレイス(Bayside Marketplace)に帰還し、暫し長距離ドライブの束の間の休息を取った。 旅はまだ終わった訳でなく、米国本土最南端の地キーウェストが残されていた。

  9月15日、いよいよ最後の目的地であるキーウェスト(Key West)へ向けて出立した。マイアミから本土側のフリーウェイを南下、 その後は点在する島嶼を繫ぐコーズウェイに乗っかり、数多くの海上橋を次々とホッピングして行った。爽快かつ圧巻なのは「セブン ・マイル・ブリッジ(Seven Mile Bridge)」と称される、長さ11㎞に及ぶ海上に架かるブリッジでの疾走であった。 アクション映画シーンでしばしば登場する例の海上の道である。目の覚めるようなブルースカイの下、右も左もエメラルドグリーン のカリブ海が広がるなか、潮風を一杯に受けながら快走した。そして、ついに米国本土最南端の都市キーウェストに辿り着いた。 同地では真っ先に「難破船歴史博物館(Shipwreck Historeum Museum)」、「メル・フィッシャー海洋博物館 (Mel Fisher Maritime Museum)」を見学した。その後、カリブ海を周航する大型豪華クルーズ船が絶えず横付けされる「キーウェスト・ ヒストリック・シーポート(Key West Historic Seaport)」の埠頭界隈をのんびりとそぞろ歩きした。

  翌16日、真に地理的に米国最南端の地とされるポイント(Southernmost point)を訪ね、周辺のビーチを暫しそぞろ歩きをしたた。 その後、博物館として一般公開されるアーネスト・ヘミングウェイ(Ernest M. Hemingway)の邸宅(ヘミングウェイ博物館)をはじめ、 「キーウェスト灯台・灯台守居住地博物館(Key West Lighthouse and Keeper's Quarters Museum)」、「タートル博物館(Turtle Museum)」、「キーウェスト水族館(Key West Aquarium)」などを訪ね歩き館内巡覧をした。最後は、離れ難い思いを抱きつつ再び客船埠頭 にて大型クルーズ船を見上げながら遅めのランチタイムを過ごした。

  キーウェストからマイアミまどの最後の一走行区間を迎えた。事故を起こさぬよう気を引き締めた。紺碧の空と海との境目がほとんど 見分けられないほどの快晴に恵まれたその日、海上ハイウェイをマイアミ目指して疾走した。起点としたベイサイド・マーケットプレイス にて全ての肩の荷を降ろし骨休めした。長距離ドライブでの無事を改めて感謝し、また諸々反省もし多くの教訓も得た。

  予備日に充てていた17日は、マイアミ大学キャンパス(University of Miami campus)を散策したり、また「マイアミ大学ローゼンタイル 海洋学部(University of Miami Rosentiel Marine Science School)」、と水族館「シークアリアム(Seaquarium)」をじっくり 散策した。海洋学部のメインビルディングは入り江のすぐ傍に建ち、桟橋には大学の調査船が停泊し、周囲は緑豊かな森に包まれ海洋 研究には良好この上ない環境を擁していた。

  18日、アスンシオンへの帰路に就く日がやってきた。昨日レンタカーを返却したので、路線バスを利用して最後の見納めにと再度 マイアミ・ビーチに出掛け浜をぶらつくことにした。夏休みはとっくに終わりを告げ、海岸は更に人がまばらであった。その後 マーケットプレイスに戻り、一人ランチを取りながら長い旅を振り返った。マリーナを前にして、オープン・スタイルのレストラン で潮風に吹かれながら、一人ビールを傾け旅の疲れを癒した。パラダイスのような「海のある世界」を離れ現実の世界パラグアイ へ帰国するに当たって、何よりも旅を無事に終えられることに再度神に感謝した。車の運転からも解放されていたので、ビールの味も 格別なものであった。その後、夕刻マイアミを後にして空路パラグアイへ。翌19日サンパウロで乗り換え後首都アスンシオンに帰着した。

  米国東海岸の旅は「ウェブ海洋辞典」づくりに多くの刺激と大量の画像をもたらしてくれた。辞典のビジュアル化を進める上で真に 重要な第一歩となった。そして、その後の博物館巡覧の旅の楽しみを倍加させてくれた。また、辞典づくりの楽しさを大いに膨らませてくれた。 米国に海洋・漁業・捕鯨・艦船などの博物館がこんなにも数多く存在することに驚きを隠せなかった。日本のそれとは単純に比較はできないが、 その質量の差異にかなりの衝撃を受けた。また、感銘を受けたこととして、ミスティック、ハンプトン・ロード、ザ・マリナーズ などの幾つかの海洋博物館の展示内容がとび抜けて充実し、個性豊かであったことである。海洋・漁業・艦船などの歴史・文化・科学の 知的学習をするうえで、ポジティブな刺激とインセンティブを与えてくれた。

  辞典の見出し語やその他の関連語彙に貼り付けるに相応しい画像については、今後加工処理しながら抽出することになるが、 それ以外の海・港ウォーターフロント風景、リアルな戦艦・駆逐艦・潜水艦、さらに数多の陳列品の画像をどのようにウェブ辞典に アップすべきか、模索する必要があった。ずっと後のことになるが、その模索の結果、「一枚の特選フォト・海と船」と題しての フォト・ギャラリーを創成し、もって辞典をさらにビジュアル化するというアイデアへと結びつくことになった。言葉では十分語り 尽くせないことが多くある。画像は500文字の説明文章よりも、何十倍もの表現パワーをもつ場合がある。画像はまた人に感動を与えたり、 歴史や文化への造詣を深めたり、思索やインスピレーションに影響を与えることも多い。「特選フォト」コーナーの創成は辞典づくり そのものを益々楽しいものにさせてくれることを確信した。

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